108 / 196
チュート殿下 79 王立学園に入学するまでに…… 1
しおりを挟む
俺が実技試験で見せた力、まぁキールに言わせれば俺の力のごく一部だが、それを目の当たりにした貴族の中には、どうにかして俺に接触してこようとする者も増えたようだ。
国王陛下がひいきしている伯爵王子のことは勿論無下にはできないが、精霊の加護、王家の証とされている光の精霊の加護が、どう見ても俺の方が強くあることが一目瞭然で在り、魔法能力も俺の方にあると判断したからだろう。
ここで、伯爵王子の人間性がものをいうのだろうが……あれだから……。
国内のややこしいあれこれは、すべてマーシュに丸投げをして、俺は自身のこれからのためになると思えることに力を注ぐべく、体術も魔術も精進を重ねて、この国の中では誰にも負けないと思えるぐらい強くなれたと思う。
10歳から15歳までの男子の成長はとても大きくて、髪と瞳の色を変えてしまえば、俺と判断できないくらい外見は変化したと思う。悔しいかな俺の見た目が両陛下に似ていることが否めないところはどうしようもないのが……。
乙女ゲームの世界だが、剣と魔法の世界であるからか、この国にも魔獣は出るのだ。
それに……冒険者ギルドもあったのだ!
ゲームの中には出てこなかったから、初めてのその存在を確認したときはうれしかったな!
乙女ゲームに冒険者ギルドは関係ないからね……ほぼ学園内の物語だったし……。
ただ思い起こすに、ゲームの中で騎士団が魔獣討伐に行った話は出てきていた。
だけど、俺というかゲームの中のアースクエイクはその様な政治的な動きなどには何の興味も持たないバカ殿下だったから、城の外の動きはアークがらみでは全く語られることがなかった。
ただの当て馬ですもん……俺……。
そんな、ゲームの中の役割なんかくそくらえ!おっと、王子様の話す言葉じゃないね。
とにかく、この世界の人物たちとほとんど関係を断って、5年間は自由に過ごさせてもらった。
マーシュの方にも何かしらの考え方はあったと思うが、俺の自由な時間を確保してくれたことに感謝しかない。
その時間を使って、冒険者ギルドにも登録した。
しっかりランクもあったんだよ、FランクからSランク。
異世界なのにアルファベット、そしてなぜか一番上はS。
Sって……。
やっぱりここは、なぜかわからないけど地球の何かに影響された神が創った世界なのかなぁ、と実感したことの一つだ。
そのような地球の影響がにじみ出ていることを知るたびに、ゲームの強制力の強さのことを思い、その力に負けるものかと、ランク上げに励んだのだ。
これで何かが変わるとはっきり言うことはできないが、離宮に籠って狭い世界で過ごすよりも、この世界の中に飛び込んで、きちんとこの世界の中で生きていること実感したかったのかもしれない。
冒険者登録するのに、何も戸籍のようなものはいらない自己申告。
俺はアースで、キールも実体化してきちんと冒険者登録をした。
冒険者登録はこの国では10歳からできる。その理由はもちろん精霊契約が済んだ年齢であること。
自分の適性を知ってから、この国の子供たちは仕事を探す者が多いからだ。
ただ、10歳で冒険者登録できても、12歳になるまでは見習い扱いで、15歳以上の冒険者が一緒でないと街中のお使いの様な簡単なクエストしか受けることができない決まりになっている。これも子供の命を守るための決まり。しっかりとした壁や、結界が張られていない所では、魔獣に襲われないとは限らないからだ。
ランクも15歳になるまではFランクまでと決められていて、Fランクから街の外に出ることができるそうだ。
そういえば俺のというかアースクエイクの最後に、辺境に行く途中で魔獣に襲われるという最後も存在していたな
ぁ……。
そういうわけで、俺が冒険者登録してランク上げのクエストを受けるためには保護者が必要ということがわかり、その保護者の役ができる者が必然的にキールしか居ない為、キールが実体化することで冒険者登録することになったのだ。
キールの見た目は何歳にでも設定できるから、とりあえず成人年齢の15歳以上。少し余裕を持って18歳ということにした。そして兄弟という設定で、見た目の色味などを同じようにした。
キールの手伝いのような形だが、パーティーを組む事でクエストで得たポイントもその時の働きの割合によって分配される。
ギルドに登録したときに渡されたランクや名前が刻まれたタグが、何故か様々な効果を持っており、『ビデオカメラ』も俺が作ったものしかないような世界のはずなのに、この冒険者ギルドの登録用のタグとか時々オーバーテクノロジーの物が現れて、この世界の歪さを体験すことが度々だ。
王城がある王都から離れれば、「ひと狩り行こうぜ!」の世界が広がっているところもあったり、この国にはないがダンジョンがある国も存在することを聞いた。
よくある東にある島国の噂も聞いたし、武器屋には日本刀のような刀があったり、忍者が使う苦無のような武器、鎖鎌のようなものまであった。
王都から離れれば離れるほど乙女ゲームというよりも、よくあるRPGのような感じ。どのゲームと特定できないけれど、ごく一般的なゲームのルールのようなものがこの世界にも流れていることを感じた。
俺は15歳から始まる運命を忘れるように、この世界を楽しもうと思った。
キールの力がチートなことは言うまでもないことであるが、キールは冒険者を始めて比較的すぐにCランクになった。俺も、12歳になって比較的早い時間でFに成った。
Cランク以上に冒険者ランクを上げるには試験が必要ということと、Bランク以上になると国からの強制クエストが発生すること等々、受けられる恩恵も大きいが果たさなければいけない義務もまた発生すること、キールの見た目も含めて俺も余りにも若すぎて高ランクになると悪目立ちすることを知り、冒険者のランク上げは止めて、自分の体術や魔術のスキルランクを上げる方にシフトした。
結果、いやいやながら王立学園に入学する前には、冒険者のランクとしてもSランククエストを簡単に受けることができるようなスキルランクになっていた。
国王陛下がひいきしている伯爵王子のことは勿論無下にはできないが、精霊の加護、王家の証とされている光の精霊の加護が、どう見ても俺の方が強くあることが一目瞭然で在り、魔法能力も俺の方にあると判断したからだろう。
ここで、伯爵王子の人間性がものをいうのだろうが……あれだから……。
国内のややこしいあれこれは、すべてマーシュに丸投げをして、俺は自身のこれからのためになると思えることに力を注ぐべく、体術も魔術も精進を重ねて、この国の中では誰にも負けないと思えるぐらい強くなれたと思う。
10歳から15歳までの男子の成長はとても大きくて、髪と瞳の色を変えてしまえば、俺と判断できないくらい外見は変化したと思う。悔しいかな俺の見た目が両陛下に似ていることが否めないところはどうしようもないのが……。
乙女ゲームの世界だが、剣と魔法の世界であるからか、この国にも魔獣は出るのだ。
それに……冒険者ギルドもあったのだ!
ゲームの中には出てこなかったから、初めてのその存在を確認したときはうれしかったな!
乙女ゲームに冒険者ギルドは関係ないからね……ほぼ学園内の物語だったし……。
ただ思い起こすに、ゲームの中で騎士団が魔獣討伐に行った話は出てきていた。
だけど、俺というかゲームの中のアースクエイクはその様な政治的な動きなどには何の興味も持たないバカ殿下だったから、城の外の動きはアークがらみでは全く語られることがなかった。
ただの当て馬ですもん……俺……。
そんな、ゲームの中の役割なんかくそくらえ!おっと、王子様の話す言葉じゃないね。
とにかく、この世界の人物たちとほとんど関係を断って、5年間は自由に過ごさせてもらった。
マーシュの方にも何かしらの考え方はあったと思うが、俺の自由な時間を確保してくれたことに感謝しかない。
その時間を使って、冒険者ギルドにも登録した。
しっかりランクもあったんだよ、FランクからSランク。
異世界なのにアルファベット、そしてなぜか一番上はS。
Sって……。
やっぱりここは、なぜかわからないけど地球の何かに影響された神が創った世界なのかなぁ、と実感したことの一つだ。
そのような地球の影響がにじみ出ていることを知るたびに、ゲームの強制力の強さのことを思い、その力に負けるものかと、ランク上げに励んだのだ。
これで何かが変わるとはっきり言うことはできないが、離宮に籠って狭い世界で過ごすよりも、この世界の中に飛び込んで、きちんとこの世界の中で生きていること実感したかったのかもしれない。
冒険者登録するのに、何も戸籍のようなものはいらない自己申告。
俺はアースで、キールも実体化してきちんと冒険者登録をした。
冒険者登録はこの国では10歳からできる。その理由はもちろん精霊契約が済んだ年齢であること。
自分の適性を知ってから、この国の子供たちは仕事を探す者が多いからだ。
ただ、10歳で冒険者登録できても、12歳になるまでは見習い扱いで、15歳以上の冒険者が一緒でないと街中のお使いの様な簡単なクエストしか受けることができない決まりになっている。これも子供の命を守るための決まり。しっかりとした壁や、結界が張られていない所では、魔獣に襲われないとは限らないからだ。
ランクも15歳になるまではFランクまでと決められていて、Fランクから街の外に出ることができるそうだ。
そういえば俺のというかアースクエイクの最後に、辺境に行く途中で魔獣に襲われるという最後も存在していたな
ぁ……。
そういうわけで、俺が冒険者登録してランク上げのクエストを受けるためには保護者が必要ということがわかり、その保護者の役ができる者が必然的にキールしか居ない為、キールが実体化することで冒険者登録することになったのだ。
キールの見た目は何歳にでも設定できるから、とりあえず成人年齢の15歳以上。少し余裕を持って18歳ということにした。そして兄弟という設定で、見た目の色味などを同じようにした。
キールの手伝いのような形だが、パーティーを組む事でクエストで得たポイントもその時の働きの割合によって分配される。
ギルドに登録したときに渡されたランクや名前が刻まれたタグが、何故か様々な効果を持っており、『ビデオカメラ』も俺が作ったものしかないような世界のはずなのに、この冒険者ギルドの登録用のタグとか時々オーバーテクノロジーの物が現れて、この世界の歪さを体験すことが度々だ。
王城がある王都から離れれば、「ひと狩り行こうぜ!」の世界が広がっているところもあったり、この国にはないがダンジョンがある国も存在することを聞いた。
よくある東にある島国の噂も聞いたし、武器屋には日本刀のような刀があったり、忍者が使う苦無のような武器、鎖鎌のようなものまであった。
王都から離れれば離れるほど乙女ゲームというよりも、よくあるRPGのような感じ。どのゲームと特定できないけれど、ごく一般的なゲームのルールのようなものがこの世界にも流れていることを感じた。
俺は15歳から始まる運命を忘れるように、この世界を楽しもうと思った。
キールの力がチートなことは言うまでもないことであるが、キールは冒険者を始めて比較的すぐにCランクになった。俺も、12歳になって比較的早い時間でFに成った。
Cランク以上に冒険者ランクを上げるには試験が必要ということと、Bランク以上になると国からの強制クエストが発生すること等々、受けられる恩恵も大きいが果たさなければいけない義務もまた発生すること、キールの見た目も含めて俺も余りにも若すぎて高ランクになると悪目立ちすることを知り、冒険者のランク上げは止めて、自分の体術や魔術のスキルランクを上げる方にシフトした。
結果、いやいやながら王立学園に入学する前には、冒険者のランクとしてもSランククエストを簡単に受けることができるようなスキルランクになっていた。
47
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる