転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 99 学園での生活 3

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 薬草学の授業は、初めての授業ということもあり初歩の初歩の内容であったが、これからの展開が楽しみな授業だった。

 この学園では薬草学はマイナーなことが否めないのか、教室も外れの方であったが、少し小さめの教室の隣には窯を備えた立派な実技室も備えられており、この様な授業を好んで受けようとしている生徒はみな真剣で、俺の正体が分かったとしても気にしないような期待が抱けるような教室だった。

 今日の二コマ目は受ける科目がないので、特別教室棟の控室で待っていたリフルを迎えに行って、そのまま馬車に向かった。

 一応キールには帰る旨の念話を送る。

『キール!俺はもう帰るけどどうする?』

 キールにはすでに空間とか距離とかの概念に関係なく移動ができるから、別に声をかけるようなことは必要ないのかもしれないが一応ね……。

『……ん~……戻る』

 頭の中にキールの返答が。

『る』の時にはそこにいたけどね……。
 
 その日も何事もなく、ガチガチに防御で固めた馬車で離宮に帰った。


 それからの数日は何事もなく過ぎた。

 一学年の間は必ず朝所属するクラスルームに顔を出して、担任からの連絡事項を聞くことになっている。

 一学年の時から午後の授業が選択科目であるため、帰り時間がばらばらであるためだ。

 この学園に通うことにあまり意味を持つことのできない俺は、直接受ける授業は必須科目と少しだけ興味のある科目しか受講しない。試験さえ受ければ単位を得ることのできる科目については、既に登録が完了したところで、学期末の試験を受けるだけだ。

 週に、2日くらいしか午後まで学園に残っていることは無い。

 毎朝教室の一番後ろの席で、気配を薄くして担任の話を聞く。

 相変わらず、担任は俺のことが気になっているらしく、気が何度もこちらに向かっていることがわかるのだが、今まで一度も声をかけられたことは無い。

 思わせぶりで朝から疲れる。

 初日に現れた実は用務員であった男は、本当にこの学園の教師を管理するもの以外その男の職業が教師ではなかったことを知らなかったらしく、表立っての処分がなされることなく、この学園から姿を消したようだ。

 この学園の管理はどのようになっているのか、本当に開いた口もふさがらないような状態であるが、この教室で起こったことに関してマーシュから正式に出された質問状に対しても「この学園には該当する教師・・は存在しない」というものだった。

 確かにあいつは用務員・・・であって教師・・ではない。

 うそを言っているわけではないが、この国の王子に対して行われたことについて、きちんと調査して報告したものであるとも思えない。

 学園の返答についてきた注釈のようなものには、「我が学園においてはすべての者を平等に扱うことが徹底されている、故に一生徒のみの訴えについて一つ一つ答えを出すということは本来行われることは無い。今回の回答については、生徒間のことではなく本学園教師についての質問であったため特別に回答した。これからはこの様な根拠のない苦情・・は受け付けることは無い。王族と言えども弁えて、学園生活を送るように求めるものである」

 マーシュが正式に抗議したことについての回答が、これ……。

 ツッコミたいところはたくさんあるが、マーシュが学園長に対して行った質問に対して、回答者の名前がない簡単な返答が届いたのが、選択科目のお試し受講が一回りして終わった日の夜であった。

 それでなくても気が進まない通学に、より拍車をかけられたように感じた日。

 担任は、いつものように本日のお知らせをぼそぼそと呟いた。

「本日は朝から講堂において生徒総会が行われますので、全員このまま参加するように。その後今日は終業です。明日からそれぞれが決めた選択授業が始まりますので購入する教材など準備が済んでいない者は、その時間を使って準備を終えてください」

 なんだか騙された感じの報告に、朝から一気に疲れたのだが、これから始まる生徒総会には厄介な感じしかしない。

 ほかの生徒から何の抗議の言葉がないところを見ると、このことは毎年ある行事の一つなのかもしれない。

「講堂における席順は、Sクラスの場所、入園式の時と変わらない位置ですが、そこであれば自由です」

 隣の部屋に連絡が行ったのか、廊下に侍従たちが出てきた気配がする。

「侍従は講堂の控室がありますのでそこへ。本日はこれで私の担当は終わります。また移動次第教室棟は閉鎖されますので、必要なものは持って出るように。それでは移動を開始してください」

 そう言うと教室から一番先に担任が出て行った。

 
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