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チュート殿下 109 そして王子はほぼ学園に行かなくなった
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お上品なお貴族様たちでも、イヤ、お貴族様だからか噂話は大好物のようだ。
まだ俺からしたら十分子供であるこの学園の生徒たちも、既にこの学園での生活自体が小さな貴族社会と言い換えることができるように、とくに上位貴族が所属するクラスはその色彩が強い。
このクラスも、俺が居ることで初めのころは随分と委縮していたようだったが、人間はどのような事にも慣れる動物だ。
俺の存在感を非常に薄くしている事にも一月もすれば慣れる。
王子様が居るはずなのにそのことを察知できないということは非常なストレスであると思う。
その状況を俺自身が進んで作っている事は、クラスメイトの感じている重さを思えば申し訳ないと思う。
が、結局、王子様が居るにはいるがどのようなことをしても反応すらない、つまりいない者と同じような存在の王子様なのだから居ないということにしてしまおう、という考えに至ったようで、俺の居る場所がわかっていることもありその場所に来ることは避けつつ俺の存在はないことにされたのだ。
なんか……さみしいものもあるがな……自分が決めたものであるけど……。
選択制の授業にも慣れ、初めの授業で「お前たちが俺に教えられるようなことはあるのか、オラァ!」の心の声を十分に知らしめるように、教師たちを精神的にまた実力で黙らせた結果、元々出席点を考慮しない科目を多くとっていたこともあり、その他の出席が必要な科目もその必要性をつぶしたことで、学園自体に通う必要をほぼ無くしてしまった。
学園で受ける授業がないのだから、必然的にクラスルームでの連絡事項である朝の担任からの連絡事項を受ける必要もなくなり、真に俺は学園に行く意味がなくなったのだ。
「リフルは学園に通わなくなってがっかりとかしないか?」
壁際で一人で立っていたことを見たから、その後とてもこの短時間で侍従仲間というか友達のような者を作ったとも思えなかったが、一応聞いてみた。
俺が学園に通うと決まった時、一緒に学園に通うことをとても喜んでいたから、その点も気になったのだ。
「殿下、ぼ……私のことを気にして頂きありがとうございます。生意気なようですが、私もあの学園に通ってみて、殿下に必要なことは何一つあの場にはないと思いました。私にも魔力があれば行ってみたかった学園ではありましたが……なんかこう……期待外れと言いますか……とにかく行く必要を全く感じない場所でした」
リフルは俺に紅茶を用意しながら、答えてくれた。
この場にはマーシュもいて、俺が学園長からもらってきた授業免除状ともいえる手紙を受け取り読んでいる。
学業に関しても、もちろん魔力操作に関しても、マーシュは俺の実力を知っているから、この学園のことも知っていることを鑑みれば、俺が入園する前からわかりきっていたことなのだろう。
マーシュが俺に求めていたのは、学園に通うことがこの国の貴族というか魔力持ちの者の義務であったとしても、それとは別の、一番大きな目的は同世代の味方をつくることで、その気持ちは十分にわかってはいたのだ。
しかし、思った以上にしっかりと伯爵王子が学園に君臨していて、あれと関わらずに友を作りながら平穏な学園生活を送ることなど無理!
何かを犠牲にしてまで得たいと思うような人物があの学園にいるとも思えなかった。
あの学園に短いながらも通ってみて得た収穫は、まず「ヒロイン」の存在がはっきりと確認できたことと、その「ヒロイン」がどうも前世の俺と同郷である、つまり転生者か転移者でゲームの記憶を持っているらしいということがわかったこと。
次に、やはり何かしらの神の力のようなものはあって、それなりのイベントを起こすくらいの力はあるということ。
そして、俺の性格や今置かれている状況がゲームのアースクエイクとは違い過ぎているためか、どうも元の俺の役どころを、異母兄である通称伯爵王子が努めるようになりそうな、性格及びポジションにいるということが分かったことが、収穫といえば収穫であるのだろう。
「ドキ恋」のアースクエイクは、わがままで甘ちゃんであったけれど、ヒロインを思う気持ちは本物だったし、婚約者をないがしろにするところは褒められたものでは無かったけど、結局当て馬扱いされて何もかも異母兄に奪われてしまうほどのことをしたとも思えない。
ゲームをする女の子から見れば他の攻略対象者にはかなわない、顔だけのチャラい王子様なのかもしれないけど、男の俺から見れば、臣下のくせに貴族として守るべき主君である王子様を、自身の恋の為に陥れてヒロインに選ばれて幸せになりました、という攻略対象の男どもには納得がいかなかったんだよねぇ。
まだ俺からしたら十分子供であるこの学園の生徒たちも、既にこの学園での生活自体が小さな貴族社会と言い換えることができるように、とくに上位貴族が所属するクラスはその色彩が強い。
このクラスも、俺が居ることで初めのころは随分と委縮していたようだったが、人間はどのような事にも慣れる動物だ。
俺の存在感を非常に薄くしている事にも一月もすれば慣れる。
王子様が居るはずなのにそのことを察知できないということは非常なストレスであると思う。
その状況を俺自身が進んで作っている事は、クラスメイトの感じている重さを思えば申し訳ないと思う。
が、結局、王子様が居るにはいるがどのようなことをしても反応すらない、つまりいない者と同じような存在の王子様なのだから居ないということにしてしまおう、という考えに至ったようで、俺の居る場所がわかっていることもありその場所に来ることは避けつつ俺の存在はないことにされたのだ。
なんか……さみしいものもあるがな……自分が決めたものであるけど……。
選択制の授業にも慣れ、初めの授業で「お前たちが俺に教えられるようなことはあるのか、オラァ!」の心の声を十分に知らしめるように、教師たちを精神的にまた実力で黙らせた結果、元々出席点を考慮しない科目を多くとっていたこともあり、その他の出席が必要な科目もその必要性をつぶしたことで、学園自体に通う必要をほぼ無くしてしまった。
学園で受ける授業がないのだから、必然的にクラスルームでの連絡事項である朝の担任からの連絡事項を受ける必要もなくなり、真に俺は学園に行く意味がなくなったのだ。
「リフルは学園に通わなくなってがっかりとかしないか?」
壁際で一人で立っていたことを見たから、その後とてもこの短時間で侍従仲間というか友達のような者を作ったとも思えなかったが、一応聞いてみた。
俺が学園に通うと決まった時、一緒に学園に通うことをとても喜んでいたから、その点も気になったのだ。
「殿下、ぼ……私のことを気にして頂きありがとうございます。生意気なようですが、私もあの学園に通ってみて、殿下に必要なことは何一つあの場にはないと思いました。私にも魔力があれば行ってみたかった学園ではありましたが……なんかこう……期待外れと言いますか……とにかく行く必要を全く感じない場所でした」
リフルは俺に紅茶を用意しながら、答えてくれた。
この場にはマーシュもいて、俺が学園長からもらってきた授業免除状ともいえる手紙を受け取り読んでいる。
学業に関しても、もちろん魔力操作に関しても、マーシュは俺の実力を知っているから、この学園のことも知っていることを鑑みれば、俺が入園する前からわかりきっていたことなのだろう。
マーシュが俺に求めていたのは、学園に通うことがこの国の貴族というか魔力持ちの者の義務であったとしても、それとは別の、一番大きな目的は同世代の味方をつくることで、その気持ちは十分にわかってはいたのだ。
しかし、思った以上にしっかりと伯爵王子が学園に君臨していて、あれと関わらずに友を作りながら平穏な学園生活を送ることなど無理!
何かを犠牲にしてまで得たいと思うような人物があの学園にいるとも思えなかった。
あの学園に短いながらも通ってみて得た収穫は、まず「ヒロイン」の存在がはっきりと確認できたことと、その「ヒロイン」がどうも前世の俺と同郷である、つまり転生者か転移者でゲームの記憶を持っているらしいということがわかったこと。
次に、やはり何かしらの神の力のようなものはあって、それなりのイベントを起こすくらいの力はあるということ。
そして、俺の性格や今置かれている状況がゲームのアースクエイクとは違い過ぎているためか、どうも元の俺の役どころを、異母兄である通称伯爵王子が努めるようになりそうな、性格及びポジションにいるということが分かったことが、収穫といえば収穫であるのだろう。
「ドキ恋」のアースクエイクは、わがままで甘ちゃんであったけれど、ヒロインを思う気持ちは本物だったし、婚約者をないがしろにするところは褒められたものでは無かったけど、結局当て馬扱いされて何もかも異母兄に奪われてしまうほどのことをしたとも思えない。
ゲームをする女の子から見れば他の攻略対象者にはかなわない、顔だけのチャラい王子様なのかもしれないけど、男の俺から見れば、臣下のくせに貴族として守るべき主君である王子様を、自身の恋の為に陥れてヒロインに選ばれて幸せになりました、という攻略対象の男どもには納得がいかなかったんだよねぇ。
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