シスターもどきは諦めが悪い

夜ノポテ人

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フレンドリーな少女

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冒険者ギルドの建物を後にし、中央地区にある様々なお店を覗いてみる。八百屋さん、惣菜屋さん、雑貨屋さん、電気屋さん…などなど…。お金が無いのでウィンドーショッピングで申し訳ないけど…。でも、良さそうな物があればそのうち買うかもしれないし…。今は許して下さい。ついでに求人広告が店内に張り出されていないかも確認していこう。

一時間ほど町をぶらつきお店を回ってみたけど、気になった物は電気屋さんで見た『爆速!湯沸かし電気ポット』と雑貨屋さんで見た『猿でも簡単!魔獣落とし穴セット』だけだった。どちらも今の所持金では買える商品ではなかったので諦めた。

それと、残念なことに今までに回ったお店は求人は募集していないようだった。みんなどうやってバイトしてるのかな…。求人情報紙も置いてないし、職業安定所も見当たらない。もう少し回ってみる…?

さらに一時間が経過した。今度はお店の人に『バイトの募集をしていませんか?』と直接聞いてみたけど、答えは『いらない』『間に合ってる』ばかりだった。言われてみれば、スーパーやファミリーレストランのような規模が大きいお店であれば、それだけバイトの人数も必要になるけど、この町にあるお店は小さな個人商店ばかり。経営者一人とバイトが少数いるだけで十分なような気がする。

困った…。とりあえず、お腹も空いたしママさんの食堂に戻ろう。ちょうど混雑してない時間だし。…私のお昼ご飯っていつも遅いような気がする。

ママさんの食堂に着きドアを開けると、今までに見たことがない少女がウェイトレスをしている。

「いらっしゃいませー!」

たぶんバイトの娘かも…。身長は私と同じくらい…。年齢は…よくわからない。私と同じくらいかもしれないし、もっと下かも…。薄水色のショートボブの髪がコスプレっぽく見えなくもないけど…とてもよく似合っている。ボーイッシュな美少女…。なんかこの世界の女性は綺麗だったり可愛い人ばかり。さすがは異世界ですね…。

「こちらのお席へどうぞ!」

「あっ…。はい。ありがとうございます」

カウンター席へ案内される。

「ユリカさん、いらっしゃい♪」

ママさんが笑顔で迎えてくれる。

「ナズナちゃん、この娘がさっき話してたシスター・ユリカさんよ」

ママさんが私をウェイトレスさんに紹介してくれる。

「ああ!この人が……血塗れで死にかけてたシスターさん?」

…改めて言われると少し情けない。そして、シスターではありません。でも、黙っておこう。

「初めまして。ユリカと申します。旅の途中なのですが、しばらくこの町に滞在する予定です」

「そうなんだー!ボクはナズナだよ!ここで週三日バイトさせてもらってるんだ!よろしくね!」

うわぁ…ボクっ娘…。リアルで初めて見た…。言っちゃダメだけど…少しイタイ…ゾ。個性が強烈だね…。でも、フレンドリーな感じだし…良い娘かも…。

「ん?どうかしたの?」

ナズナちゃんが不思議そうにこちらを見つめている。

「いえ…。こちらこそよろしくお願いします。ちなみにナズナちゃんは年齢はおいくつですか?」

「17歳だよ!ユリカは?あ!待って!当ててみる!うーん…22歳!どうかな?」

…近いけど…。もう少し若いって。今年二十歳だし。これって私が老けて見えるって事?そう言ってるのかな?しかも、いきなり呼び捨て?…心苦しいですが…鉄拳制裁を受けてもらう必要がありそうですね。

「えっと…惜しいですね。今年で二十歳なんです…老けていてごめんなさい」

「違う違うって!何となく大人っぽく見えたから!ほら!服装とか!ごめんね!怒らないで!」

それは私のファッションが若々しくないと?…まあ、別にセンスがあるとは思ってないけどね…。適当に買って着ただけだし。でも、少し傷付いた…ゾ。

「別にそんな事で怒ったりしませんよ。私は大人ですから。…ですが、次からは勝手にクイズ形式で年齢を言い当てるのは辞めた方がいいかもしれませんよ。軽はずみな言動が無意識に人を傷付ける事だってありますからね!」

「あれ?やっぱ怒ってる?」

「怒っていません。今後のためのアドバイスをしているのです」

「そっかぁー!良かったー!勉強になるよ!ありがとね!」

ちなみに初対面で、さらに年上の人にそのタメ口もあまりよろしくないと思うけど…。でも、二つしか違わないし説教っぽくなるからやめておこう。本人に悪気はないみたいだし…いつかママさんが教えてあげるのかもね…。

「そういえば、今日はシスターさんの格好じゃないんだね?」

ナズナちゃんが話を変えてくる。

「はい。今日は私用がありまして…」

「あっ!ごめん!注文聞いてなかった!何にするかな?」

…ころころ話を変えるね。別にいいけど…。

「では、きつねうどんをお願いします」

「これだけ?…大丈夫?若いんだからもっと食べなきゃ!」

私より年下のキミが言うんかい!…とツッコミたくなるけど…華麗に受け流そう。

「いえ、私は胃袋が小さいのでこちらで十分なのです」

本当はお金が少ないからだけどね。格好悪いから言わない。

「そっかぁ。シスターさんはみんなそうなのかな。店長!注文きつねうどんでーす!ボクが作りましょうかー?」

ナズナちゃんがママさんに声を掛ける。

「私が作るからそのままでいいわよー」

「了解でーす」

店長?ママさんとは呼ばないんだね…。そういえばミリーはどこにいるんだろう?休憩中かな…?

「ところで、ユリカって東の森の方で何かの作業してるって店長から聞いたんだけど…」

ん?先日のお墓作りの事だね。もう終わったけど…。

「はい。それが何か?」

「あのね…ボクここでのバイトの他に町の外で護衛の仕事もしてるんだ!」

「護衛ですか?」

「うん!積み荷の護送とか移動の障害になる魔獣の討伐もしてるよ!」

「そうなんですか…」

本当かな?ナズナちゃんは筋骨隆々って訳でもないし、身長だって私と同じくらい…ぶっちゃけ全然強そうに見えないんですが…。

「あー!何か疑り深い目してる!ほんとだよ!マジのマジだから!」

「いや、疑っているわけでは…」

「だったらさ!ユリカが実際に見て確かめてみるのはどう?」

「確かめる?」

「うん!東の森まで運んであげる!ボク、馬乗れるから!もちろん、魔獣が襲ってきたら退治してあげる!その代わり、少しでいいから護衛料金を頂けないかな?」

うーん…もうお墓は作り終わったからあそこに用は無いんだけど…。でも、キノコ狩りや薬草集めをするのに送って貰えると助かるかも…。毎回馬車に乗せて貰えるとは限らないし…。

「ちなみに帰りも送ってもらえますか?」

「もちろんだよ!時間さえ教えてくれてたら迎えに行くよ!」

「そうですか。では、一度お願いしてみましょうか。ナズナちゃんの腕前も見てみたいですし」

「やっぱり疑ってるじゃんー!いいよ!カッコいいとこ見せてあげる!じゃあ、予定決まったら教えてね!」

「わかりました」

と言っても携帯電話が無いんだよね。また食堂に来れば会えるかな。

話を終えたナズナちゃんがカウンターに下がっていく。

ちょうど良いタイミングでママさんが注文した商品を運んで来てくれる。

「お待たせしました♪ごゆっくりどうぞ♪」

良い香り。おあげもこんがり美しい。シンプル・イズ・ベスト!

「いただきます」

食べ終わったらまたバイト探ししなきゃ。次は西地区の工場エリアの方に行ってみようかな。肉体労働系のバイトなら何かあるかも…。体力に多少の不安もあるけど、四の五の言っていられない。やれるところまでやってみよう。
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