陛下の恋、僕が叶えてみせます!

真木

文字の大きさ
32 / 33

最終話 ヴァイスラント公国のワルツ

しおりを挟む
 何度も考えたのに、どうしても思い出せない。ギュンターはまたふとそう思って、意識が浮くような気持ちになった。
 王城の大広間には大輪の花びらのように壁一面に灯りがともり、中央の階段を下りた先には正装に身を包んだ貴公子や貴婦人たちが集う。歴代の王の肖像画が彼らを見下ろすと共に、ギュンターも現在の王としてヴァイスラントの繁栄をみつめていた。
 ギュンターは精霊が本当に現れるかどうかより、この十日間を人々が楽しんで幕を閉じるならば、それが何よりだと思っていた。精霊との約束を果たすのが国王としての責務だが、歴代の王が誰一人果たしたことがないそれを、この平和な時代にたまたま在位している自分が果たせるかというと、どうも自信がない。
 王弟シエルはそんなギュンターに近づくと、困ったなという風に言った。
「兄上、上の空でいらっしゃいますね」
 グラスを渡して弟が苦笑交じりにからかったのはもっともで、ギュンターは舞踏会が始まってからというものまだ一度も踊っていなかった。本来なら国王のダンスを合図に始まるものだというのにシエルに代行してもらったほどで、まったく踊ろうという気がないのだ。
 ギュンターはうなってぼそりと言う。
「考えるべきことも、やるべきことも山ほどあるんだがな」
 やる気とかそんな子どもの言い訳みたいなことを言っている場合ではなく、星読み台や王族や重臣たち、そして名も知らない数々の国民が国王と最愛の人のダンスを望んでいるのだから、ギュンターはそれを果たす義務がある。実際、ギュンターも十日間そのゴールに向けて努力してきたし、真剣にダンスの相手を考えたはずだった。
 ところが今の自分ときたらどうだ。完全に言い訳だが彼女が側を去ったその瞬間から、ダンスのことなんて考えたくもなくなってしまった。正直眼下で踊る人々も、為政者の慈愛の心で見るどころか、いいよな相手がいる奴はそりゃ楽しかろうとどこかの負け犬のような目で見ていて、玉座に座ったまま腰が上がらない。
 最愛の人のところに行きなさいなどと格好つけるんじゃなかった。精霊のように夜空をくるりと回せるのなら、彼女の手を握ったときに時を戻したい。
 ギュンターは考えることにも嫌気がさして、お手上げ状態で告げた。
「マリアンヌ、私はもう国王として駄目だ。代理で最後のダンスを踊ってくれ」
 隣の席の妹にこぼした言葉は、笑えるほどに本音だった。今夜、抜け殻のように玉座についた時点でその結末は見えていた。
 泣き言を告げたふがいない兄に、マリアンヌは隣の席で奇妙なほどゆっくりと振り向いた。一呼吸分だけため息をついて、おもむろに答える。
「……怒るわよ」
 一瞬、その声とまなざしはマリアンヌのものではないように感じた。ギュンターが息を呑んだとき、一番近くの壁で灯っていた灯りが消える。
 宵闇にまぎれこんだ風が草原をなでていくように、静かに燭台の灯りが消えていく。はじめはざわめいた人々も、訪れた暗闇は不思議と恐ろしいものではなく、まもなく広間は水に広がった波紋が溶けていくように静けさに満ちた。
 眠りに落ちる直前のように、ギュンターはまたふと考えていた。彼女と……カティと初めて出会ったときのことを。
 これほど頭を占めている存在が初めて現れたときなのだから、それは劇的なものだと思うのだが、どうにもその瞬間が思い出せない。
 ギュンターがマリアンヌと何か話していて、カティはその間に他の仕官と混じって部屋に入ったらしい。カティという名前はマリアンヌから紹介があったと思う。あいさつくらいはしたはずで、最初は普通にギュンターの警護をしていた。
 でも気が付けばギュンターが書類仕事を言いつけて、半分叱っていたが、言葉を交わすようになった。ギュンターとしては、あまり良くは思われていないと自覚していた。カティが自分を見るまなざしは女性が男性を好むものではなかった。ギュンターだって、仕事なのだからそれでいいと思っていた。
 ……嘘を言うなと、一体いつ自分の本音に気づいたのだろう。事あるごとにカティを構うシエルや元上官がうらやましいと、足踏みするくらいに悔しく思ったはずではなかったか。
 ふいに風は動きを変え、大広間に息吹のように吹き込んでくる。
「みなさん! 大丈夫ですか!?」
 一つだけ灯った燭台を持って大広間に飛び込んできた少女を見て、ギュンターは最初のときなど別にどちらでもいいのだと気づいた。
 少なくとも、美しい少女を見染め、出会ってすぐ惹かれ合った、そんな恋物語の始まりじゃなかった。
 紅茶色の大きな澄んだ目を持つ、小柄で、時にへんてこな誤解をするまっすぐな騎士。いつの間にかギュンターの日常に転がり込んできた少女、それがギュンターにとって無性に愛おしいのだと、ただ認めるときが来たのだった。
 そのとき、暗闇が晴れ渡るように開けた。
 ギュンターは果てなく続く草原で、無数の星が降る音を聞いていた。冷えてはいないのに意識は冴え渡り、周りに人はいないのに喧噪に包まれていた。
 そこに満ちているのは歌のような息吹のような風で、ギュンターの周りをくるくると回って、笑っているようだった。
 ギュンターの前に進み出て、彼女は言う。
「陛下、僕……いいえ。私の秘密と嘘を聞いてくださいますか」
 けれどギュンターが今聞きたいのは彼女の声だけで、みつめたいと願うのも、宝石もくすむような星々の光ではなく、そこに立つ彼女の澄んだ瞳だけだった。
「ああ。……ただその前に一つ、俺の願いも聞いてくれるか」
 せっかく華やかに装った白いドレスに灰をこぼして、しかも子どもみたいに鼻の頭に黒いすすまでつけた彼女は、ギュンターが問いかけると、一瞬不思議そうに大きな目を見開いた。
 彼女は母親譲りのその容姿で、女性の格好をしたら精霊のような光をまとうのだが、ギュンターは今も彼女のそういうとぼけた表情の方が何百倍も可愛いように思う。
「カテリナ・バルガス嬢」
 胸に手を当てて一礼をすると、ギュンターはいつからか彼女にだけ言いたかった言葉を告げた。
「私と最後のワルツを踊ってくださいませんか?」
 幸い真夜中の鐘が鳴る前で、もっと幸いだったのは、そんなギュンターにカテリナは照れくさそうに手を預けたことだった。
 星降る草原の中で、二人はダンスを始めた。はじめはぎこちなく、裾を踏みそうになったり、リズムをまちがえたり、軽やかとはとてもいえないダンスだった。
 失敗のたび二人で顔を見合わせて、時にむっとして、うまくいったときは思わず笑って、ダンスは続いていく。
 いつしか音楽に合わせて人々がダンスを踊る王城の中に戻ってきていても、二人はお互いの手を離さないまま踊っていた。
「で、黙っていたことと、嘘をついていたことだが」
 ギュンターがいつものように不愛想に切り出すと、カテリナはかえって安心して口を開いた。
「いつから気づいていらっしゃったんですか? 私がゲシヒト総帥の娘で、女性だということ」
「アリーシャに振られた辺りから」
「えっ!」
 本気でダンスの足を止めかけたカテリナを回転させて、ギュンターは遠い目をする。
「遅すぎたくらいだと思うが? ゲシヒト総帥は毎日顔を合わせてる重臣だし、君は華奢すぎる。当然、気づいていたのは俺だけじゃないと思うが」
 ギュンターが舞踏会の中に通した最小限の近衛兵たちを振り向くと、彼らは一様に深くうなずいてみせた。
「……まじめに悩んだのに」
 思わずカテリナがへこむと、ギュンターは付け加えた。
「まあ名前は父上の馬鹿げた挑戦状で最終日にようやくわかったし、君が隠していることをわざわざ言うつもりはなかったがな」
 くるりと回転、軽くステップ、ワルツは彼らの十日間の奮闘などどこ吹く風で続く。
 カテリナはギュンターを見上げて十日間を思い返したが、もう細かいことは思い出せなかった。悩んでいたことも迷っていたことも山ほどあった気がするし、実際最終日まで父と最後のワルツを踊るつもりでいたのだから、こうしてギュンターと踊っているのは不思議な気もする。
 澄んだ目できょとんとしているカテリナに気づいたのか、ギュンターはカテリナを見返して言った。
「言っとくが、俺は君を離さんぞ」
 一瞬言葉の意味を考えたカテリナに、ギュンターは疑問を挟めないほどはっきりと告げた。
「君は、本気で国王が選んだ「最愛の人」。人生が終わるときまで俺と一緒に踊ってもらうからな」
 カテリナはなんだか頬がじわりと熱くなって、もぞもぞと返す言葉を探した。
 ふとまた燭台の灯りが一つ消えて、カテリナがそちらを見た時、マリアンヌの微笑みに出会った。
 精霊界ではみんな一緒にいられるから、もう会いに行く必要はなくなったんだけど。いつかのように半分切り取られた世界から、カテリナの耳に声が届く。
 でもね、どうしても子どもたちの運命を変えたいときが今もあるから。あなたたちの人生って、ヴァイスラント公国のワルツみたいに長いし。
 まだまだがんばって。じきに忙しないくらいにぎやかな贈り物がいっぱい届くから、楽しみにしててね!
 マリアンヌの声のようでそうではない声はそれきり消えて、カテリナは白昼夢のような瞬間から覚めた。
「どうした?」
「あ……」
 ギュンターに問いかけられて、カテリナはまばたきをしながら思う。
 子どもの頃の記憶はあいまいで、それははっきりと確信を持てるものではなかったけれど、カテリナは思ったことを告げていた。
「……お母さんの声に似てたような」
 カテリナはそう言ったものの、長いことで有名なヴァイスラントのワルツはまだ半分も終わっていない。
 ギュンターはカテリナをくるりと回して、彼女が前を向いたときに叱った。
「よそ見をしない。……愛の言葉もたっぷり教える必要があるな」
 カテリナの耳に口を寄せてギュンターが何事かささやくと、カテリナは今度こそ耳まで真っ赤になった。
 二人の間にどれだけの愛の言葉が通ったか、そしてこれから交わされるのかは、精霊だけが知っている。
 降臨祭の最終日、最後のダンスを踊って気持ちを確かめ合ったヴァイスラントの人々には、きっと素敵な未来が待っている。
 ところでその夜、流星群と共に精霊もあらゆるところで目撃情報が語られたが、精霊の言葉はしばらく星読み台にも解読できなかった。
 けれどその日カテリナの耳に届いた言葉の意味は、一年後に妃となったカテリナのお腹に触れていたとき、奇跡的にギュンターが閃いて解明したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜

侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」  十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。  弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。  お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。  七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!  以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。  その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。  一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。

処理中です...