転生して10年経ったので街を作ることにしました

笹村

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第一章 街を作る前準備編

1 エロ神さまに相談しようそうしよう

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 王宮で無理難題をぶち投げられたその日、俺は愛しの女神に聞いてみた。

「どんな街が欲しいですか? エロ神さま」
「誰がエロ神よ」

 執務机の端に、ちょこんとお尻を乗せて。
 愛しの我が女神は遊ぶような声で返してきた。

「私には、情愛の女神リリスっていう、立派な名前があるんだから」
「え~、でもエロいじゃないですか~」
「貴方限定でしょ? 誰彼かまわずエロい訳じゃないもん。それとも、誰にでもエロい方が良いなら、これからそうするけど?」

 悪戯じみた問い掛けに、

「すんません! 寝獲ねとられ趣味無いんで勘弁して下さい!」

 俺は流れるような所作で土下座しながら謝った。
 調子こいて先に悪ふざけしたのは俺なのでしょうがない。
 そんな俺に、我が女神たるリリスはクスクスと笑いながら、

「あんまりいじめないでね、陽色ひいろ。私の一番は、貴方なんだから」

 執務机に乗っかったまま、素足で俺の頭を軽く踏む。
 どう考えてもイジめられてるのは俺の方です。

「ありがとうございます!」
「なにが?」

 楽しげな響きを声に滲ませながら、リリスは俺の首筋を揉むように足裏でふみふみし、くすぐるように俺の背中を足裏で這う。

「あ、なんか、新しい世界に覚醒めざめそうな気が」
覚醒めざめても好いけど、ずっとはダメよ。偶には私もイジめられたいもの」

 耳をくすぐるような心地好い声で、誘うような響きを滲ませリリスは、ねだるように言う。
 その声に誘われて、俺は顔を上げる。

 視線の先には小柄な少女。

 夜闇を思わせる艶やかな黒髪を背中に届くほどに伸ばし、透き通るような白い肌は瑞々しく張りがある。淡い空色のワンピースに包まれたその体は、これからのびやかに育つ硬さと共に、女としての柔らかさも同居していた。

 蠱惑的でありながら清純な、相反する魅力を持っている。
 それが我が愛しの女神たる、この世界に俺を転生させたリリスである。

 リリスは顔を上げた俺に、ぞわりと肌が粟立つような、欲情をかきたてる微笑みを浮かべながら、俺の顔の前に素足を差し出す。

 俺はうやうやしく右手に取って、華奢な肉感を確かめるようにやわやわと揉みながら、残った左手の指を、足の甲に這わす。

「ん……」

 僅かに熱を感じさせるような、甘えた声をリリスはこぼす。けれど、

(足らないな……)

 抑えが利かず、俺は唇でむように、リリスの足の甲にキスをする。

「あ……」

 濡れた泣き声をリリスは上げる。そしてもどかしげに、ねだるように言った。

「ねぇ……する?」
「いやしませんよ」

 即座の返事に、リリスは不満そうに軽く眉を寄せると、

「なんでよーっ。こっちをその気にさせといてひどーいっ」

 すねるように言った。

「うわっかわいいっ」
「ありがと。って、そんな言葉で騙されないんだからね」
「まんざらでもない表情かおで言われても」
「ちょろい、とか思ったでしょ」
「そこもかわいいですっ」
「もぅ……バーカ」

 くすくすとリリスは笑うと、やわらかな眼差しを向け言った。

「ひょっとして、気を遣ってる? 今日の姿は、ちっちゃいし」
「分かってるなら、もっと大人な姿になって下さい。そういう少女の姿じゃ、壊しちゃいそうで怖いです。もっと育った姿になれるんですから」
「別に良いのに、壊しても。人間じゃないんだから、壊れても治っちゃうわよ」
「趣味じゃないですよ~」
「そう? 私は嫌いじゃないんだけどなぁ。だって、いつもよりいっぱいになって感じられるんだもの」
「うわっ、エロっ。やっぱエロ神じゃないですかーっ」
「そうよ。だって陽色ひいろが相手だもん」

 嬉しそうに笑みを浮かべながら言い切るリリス。
 ……いかん、恥ずい。
 こうもストレートに好意をぶつけられると、誤魔化せない。
 顔が赤くなっているのが、鏡を見るまでもなく分かる。
 それぐらい、熱くなっている。
 ちょっと、くやしい。なので、仕返しめいた言葉を返す。

「今日、その姿なのは、その服を着るためですか?」

 いまリリスが来ているワンピースは、華やかではあるが可愛らしいもの。大人の姿なリリスも魅力的ではあるが、似合うかというと、やはり幼さの残る少女の姿の方がより似合う。
 そう思って言ったのではあるが、的を得ていたようで、

「ええ、そうよ。かわいいでしょ、この服」

 ご機嫌な声で返してきた。なので、

「ええ、とても。好く似合っています。かわいいですよ、リリス」

 本音を真っ直ぐにぶつけてやった。すると、

「ん……そう? ありがと……」

 恥ずかしいのか、すっと視線を逸らし、小さな声で頷いた。
 そんなリリスの可愛らしさに苦笑しながら、俺は手にしていたリリスの足から手を静かに離すと、皮張りのゆったりとした椅子に座る。そして、

「少しそれちゃったので、話を元に戻します。リリス、もう一度聞きますが、貴女はどんな街が欲しいですか?」

 これにリリスは、お尻を乗せていた執務机から、ぴょんと降り立ち。
 床に脱いでいたミュールを穿いて俺の傍にまで来ると、

「本気で街をひとつプレゼントしてくれるの? 陽色ひいろ

 リリスは俺の膝の上にお尻を乗せ座り、身体を預けてくる。
 やわらかな重みと、温かな肌の温もり。
 心地好いそれらを感じながら、俺は返した。

「はい。貴女のための街を、造ろうと思っているんです。貴女が受け入れてくれるなら、貴女にその街の、守護女神になって貰いたいんです。嫌、ですか?」
「嫌じゃないわ。でも、唐突ね。事情がまだ呑み込めないわ。王宮に呼び出されたかと思ったら、返って来るなり私をんで、そんなこと言うんですもの。ね? ちゃんと説明、してくれるんでしょう?」
「勿論ですよ」

 俺はリリスのお腹に手を当てるようにして抱き寄せながら、王宮での出来事を説明した。
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