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第一章 街を作る前準備編
2 王に街を作れと命じられました その③
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(公妾、ねぇ……)
俺は王の言葉を吟味する。
いま王が口にした公妾とは、王族や、それに連なる公爵位持ちの上級貴族が囲っている愛人のことだ。元々は後継者の混乱が起きないように、ヤることヤって子供が出来ても継承権が発生しない相手を確保しても良いという、非常にただれた制度である。
この公妾、愛人となっていた王が死ぬと、国からは報奨金という名目で金を渡されて放り出されるのだが、俺に面倒を見ろという事は、その金も含めてどうにかしろってことなんだろう。
(前王が死んで半年。そろそろ喪に服する時期が過ぎた、と見てるってことか。前王が残した不良債務は、とっとと誰かに押し付けて、自分の治世を始めたいってことなんだろうな……押し付ける相手が俺ってのは――)
イイ性格してやがんなこの野郎。
思わず口に出しそうになった言葉を飲み込んで、俺は変わらぬ余裕を浮かべた笑みを向けながら、
「公娼権を頂けるなら、その申し出お受けいたします」
王の言葉を俺は待つ。すると王は、僅かに考えるような間を置いて返してきた。
「許す。汝に公娼権を与えるものとする。これで、そちらの望みは終わりだな?」
「いえ。あと一つ、ございます」
いきなり交渉打ち切って話をまとめようとする王に、そうはさせるかと俺は言った。
「魔界最接近領の領主の任を命じられましたが、あの地は人の住まぬ荒野な上、魔界より魔物が常に現れる危険な地です。そのような地を開拓し領地として維持するには膨大な費用が掛かり続けます。その費用は、王国より供与頂け――」
「ならぬ」
俺の言葉を遮り、王は続けた。
「此度の命は、汝に辺境伯としての責務を与える物だ。辺境伯がどういう物であるか、知っておるな?」
「もちろんです。王よ――」
王に任じられた領地内の徴税権と司法権を独立して得られる代わりに、なんらかの災害や戦の際に資金や戦力の提供を行うのが辺境伯である。
つまり、領地を実効支配する正統性を認めてやる代わりに、何かあれば金やら人は寄こせ、でも王国からは一切金は払わんし人もやらんぞ、と言ってるのだ。
それを理解した上で、俺は硬くした声で王に言った。
「――此度の領主任命の件、辺境伯として一切を執り行えという事で、よろしいのですね?」
「そうだ。王国より派遣する代官ではなく、領地の開拓と自治を行う辺境伯として汝には命ずる。それに伴い、汝には侯爵の爵位を与えるものとする」
この世界の侯爵は、王族とその親族以外に与えられるものとしては最上級の物だ。
だから王がこちらのことを想いやってるかと言えば、そんな事は無い。ここで爵位を受け取るという事は、私はあんたの子分になります、と言ってるのに等しいのだ。
その全てを理解した上で、俺は応える。
「承知いたしました、王よ。此度のお申し出、受けさせて頂きます」
俺の応えに、周囲の雰囲気は和らぐ。何をしでかすか分からない異世界の勇者たちに、これで首輪を付けて扱える、とでも思っているのだろう。
俺は、そんな中で、表情を強張らせたままだった。
なにしろ、思った以上に美味しい話が舞い込んできたせいで、緩んでしまいそうになる表情を抑えるのに必死だったのだ。
(めっちゃウメー!! 帰ったら早速リリスに言わないと!! 街をひとつプレゼントしてあげるって!!)
そんなことを思いながら。
俺は王の言葉を吟味する。
いま王が口にした公妾とは、王族や、それに連なる公爵位持ちの上級貴族が囲っている愛人のことだ。元々は後継者の混乱が起きないように、ヤることヤって子供が出来ても継承権が発生しない相手を確保しても良いという、非常にただれた制度である。
この公妾、愛人となっていた王が死ぬと、国からは報奨金という名目で金を渡されて放り出されるのだが、俺に面倒を見ろという事は、その金も含めてどうにかしろってことなんだろう。
(前王が死んで半年。そろそろ喪に服する時期が過ぎた、と見てるってことか。前王が残した不良債務は、とっとと誰かに押し付けて、自分の治世を始めたいってことなんだろうな……押し付ける相手が俺ってのは――)
イイ性格してやがんなこの野郎。
思わず口に出しそうになった言葉を飲み込んで、俺は変わらぬ余裕を浮かべた笑みを向けながら、
「公娼権を頂けるなら、その申し出お受けいたします」
王の言葉を俺は待つ。すると王は、僅かに考えるような間を置いて返してきた。
「許す。汝に公娼権を与えるものとする。これで、そちらの望みは終わりだな?」
「いえ。あと一つ、ございます」
いきなり交渉打ち切って話をまとめようとする王に、そうはさせるかと俺は言った。
「魔界最接近領の領主の任を命じられましたが、あの地は人の住まぬ荒野な上、魔界より魔物が常に現れる危険な地です。そのような地を開拓し領地として維持するには膨大な費用が掛かり続けます。その費用は、王国より供与頂け――」
「ならぬ」
俺の言葉を遮り、王は続けた。
「此度の命は、汝に辺境伯としての責務を与える物だ。辺境伯がどういう物であるか、知っておるな?」
「もちろんです。王よ――」
王に任じられた領地内の徴税権と司法権を独立して得られる代わりに、なんらかの災害や戦の際に資金や戦力の提供を行うのが辺境伯である。
つまり、領地を実効支配する正統性を認めてやる代わりに、何かあれば金やら人は寄こせ、でも王国からは一切金は払わんし人もやらんぞ、と言ってるのだ。
それを理解した上で、俺は硬くした声で王に言った。
「――此度の領主任命の件、辺境伯として一切を執り行えという事で、よろしいのですね?」
「そうだ。王国より派遣する代官ではなく、領地の開拓と自治を行う辺境伯として汝には命ずる。それに伴い、汝には侯爵の爵位を与えるものとする」
この世界の侯爵は、王族とその親族以外に与えられるものとしては最上級の物だ。
だから王がこちらのことを想いやってるかと言えば、そんな事は無い。ここで爵位を受け取るという事は、私はあんたの子分になります、と言ってるのに等しいのだ。
その全てを理解した上で、俺は応える。
「承知いたしました、王よ。此度のお申し出、受けさせて頂きます」
俺の応えに、周囲の雰囲気は和らぐ。何をしでかすか分からない異世界の勇者たちに、これで首輪を付けて扱える、とでも思っているのだろう。
俺は、そんな中で、表情を強張らせたままだった。
なにしろ、思った以上に美味しい話が舞い込んできたせいで、緩んでしまいそうになる表情を抑えるのに必死だったのだ。
(めっちゃウメー!! 帰ったら早速リリスに言わないと!! 街をひとつプレゼントしてあげるって!!)
そんなことを思いながら。
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