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第一章 街を作る前準備編
間章 潜みし者達 三人称視点
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その場は、虚ろな場所だった。酷く現実感に乏しい、偽りの世界。
あるのはただ、円卓のみ。その座の1つを埋める人物が、口を開いた。
「勇み足でしたねぇ」
嘲る声が投げ掛けられる。
声の主は猿の面を付けていた。その上、身体全体を覆うようなローブを身に着けているせいで、何処の誰なのかも分からない。
声は、涼やかな美声であったが、どこか紛い物の嘘くささを滲ませていた。
それも道理。いま声を投げ掛けた人物も含めて、この場に集まりし12人は実体ではない。
魔術により、仮想実体を投影しただけの幻影だ。
だが、紛い物であっても、声には感情を込めることはできる。
嘲りの声を投げ掛けられた鳥の面を付けた人物は、怒りを込め言葉を返した。
「結果だけで物を語るな、新参者が。勇者共が魔術協会と手を組もうとしたのだ。あれでは、古めかしい協会の体制が延命されてしまう。それを防ぐために、私は――」
「嘘は要りません」
冷ややかな声で遮ったのは、蛇の面を付けた人物。鳥の面が何かを返すよりも早く、続けて言った。
「貴方はただ、嫉妬しただけでしょう。若輩が、勇者達と縁を結び力を付けることに。率直に言って、みじめですね」
「キサッ――」
鳥の面が怒りに声を上げるより早く、
「静粛に。嘲りも怒りも、いま必要な物ではありません」
声を上げたのは、鼠の面を付けた人物だった。この場を取りまとめるその人物は、静かに続ける。
「必要なのは、これからどうするかです。退くのか、あるいは攻めるのか? 協力するのか、それとも傍観か。決めるべきはそれでしょう?」
「ならば私は宣言させて貰いましょう。此度の件、傍観させて頂く」
真っ先に答えたのは、竜の面を付けた人物だった。その言葉に、皆は耳を傾ける。
「結果として、魔術協会と勇者達が協力関係になりましたが、それならそれで私は構いません。少なくともしばらくは、手を出すつもりはない」
「馬鹿な!」
反論の声を、鳥の面が上げる。
「それでは魔術協会が、かつての権威を取り戻すかもしれないではないか! 我らの目的を忘れたか!」
「古きを壊し新しきを作る。忘れる訳がねぇってばよ」
鳥の面の言葉を遮ったのは、虎の面を付けた人物。
どこか楽しそうに、続けて言った。
「俺たちは、その理念の元、集まってる。
古いだけで変わらねぇ物はつまんねぇ、じゃんじゃんぶっ壊れて作り変われ。
この世界を去った外なる神の残した言葉を信仰してな。
でもよ、それって、理念が同じってだけで、目的はテンでバラバラ、それぞれ違うだろ?
魔術協会をぶっ潰してその後釜に座るだの、王国をぶっ潰すだの、それぞれ自分の目的で動いてるし、都合が良ければ協力するだけだ。
俺さまはよぉ、自分が楽しければどうでも良いんだよ。
勇者共が色々と引っ掻き回して楽しませてくれるなら、それで良い。眺めて時々ちょっかい出して、遊ぶだけだからな」
「なにが言いたい!」
激昂するように声を上げる鳥の面に、虎の面は楽しげに笑い、そして返した。
「アハハハハハッ! ばーか。お前はつまんねぇ、つってんだよ。
別に、妬みや嫉妬で魔物まで使ってやらかしたってのは、どうでも良い。むしろ、そんな理由で、こんなことしでかしたのは笑えるから許してやるよ。
でもな? だったら隠すなや。胸を張って堂々とやっちまえば良い。
それこそ、魔王にまでなった、ニコの旦那みたいにな。
近いことぐらいなら出来るだろうがよ。魔王を作った一人なんだからさ」
「その言い方には語弊があると思いますよ」
たしなめるように言ったのは、牛の面を付けた人物。
「確かに彼は、魔王製造の理論構築に携わった一人ですが、あくまでもそれだけです。
そもそも、すでにその知識はこの場に居る全員が得ています。わざわざ彼だけに、そのリスクを求めるのは酷ですよ」
どこか、鳥の面を庇うように言う。だが、それを侮辱と取った鳥の面は、激昂し口を開こうとするが、それよりも早く馬の面を付けた人物が提案した。
「話がまとまりませんな。今回、私らが集まったのは、今回の件に関わるかどうか? それだけでしょう?
時間もタダじゃないんです。効率よく使わせて下さいな。
だから挙手で、さっさと決めましょう。今回の件で、協力するなら手を上げて、しないなら上げない。
それで行きましょう。私は、手を上げるつもりはないですがね」
その提案に否定の声は上がらず、同じく誰も手を上げる者はいない。
その事実に、鳥の面が何も声を上げられないでいると、場をまとめる鼠の面が、
「決定ですね。今回の件、何か行動を起こすのなら、貴方だけで行って下さい。
ただし、個別に誰かが独断で協力する事も、禁止はしません。
会合は、以上とします」
短く端的に告げると、その場から消え失せた。この場に投影した仮想実体との接続を切ったのだ。
そこから次々に消え失せ、あとに残るのは鳥の面1人のみ。
痛々しい静寂の中、鳥の面は絞り出すように呪いの声を上げた。
「勇者共め……――」
何度も何度も、それは繰り返された。
呪いの言葉を、届かせようとするかのように。
あるのはただ、円卓のみ。その座の1つを埋める人物が、口を開いた。
「勇み足でしたねぇ」
嘲る声が投げ掛けられる。
声の主は猿の面を付けていた。その上、身体全体を覆うようなローブを身に着けているせいで、何処の誰なのかも分からない。
声は、涼やかな美声であったが、どこか紛い物の嘘くささを滲ませていた。
それも道理。いま声を投げ掛けた人物も含めて、この場に集まりし12人は実体ではない。
魔術により、仮想実体を投影しただけの幻影だ。
だが、紛い物であっても、声には感情を込めることはできる。
嘲りの声を投げ掛けられた鳥の面を付けた人物は、怒りを込め言葉を返した。
「結果だけで物を語るな、新参者が。勇者共が魔術協会と手を組もうとしたのだ。あれでは、古めかしい協会の体制が延命されてしまう。それを防ぐために、私は――」
「嘘は要りません」
冷ややかな声で遮ったのは、蛇の面を付けた人物。鳥の面が何かを返すよりも早く、続けて言った。
「貴方はただ、嫉妬しただけでしょう。若輩が、勇者達と縁を結び力を付けることに。率直に言って、みじめですね」
「キサッ――」
鳥の面が怒りに声を上げるより早く、
「静粛に。嘲りも怒りも、いま必要な物ではありません」
声を上げたのは、鼠の面を付けた人物だった。この場を取りまとめるその人物は、静かに続ける。
「必要なのは、これからどうするかです。退くのか、あるいは攻めるのか? 協力するのか、それとも傍観か。決めるべきはそれでしょう?」
「ならば私は宣言させて貰いましょう。此度の件、傍観させて頂く」
真っ先に答えたのは、竜の面を付けた人物だった。その言葉に、皆は耳を傾ける。
「結果として、魔術協会と勇者達が協力関係になりましたが、それならそれで私は構いません。少なくともしばらくは、手を出すつもりはない」
「馬鹿な!」
反論の声を、鳥の面が上げる。
「それでは魔術協会が、かつての権威を取り戻すかもしれないではないか! 我らの目的を忘れたか!」
「古きを壊し新しきを作る。忘れる訳がねぇってばよ」
鳥の面の言葉を遮ったのは、虎の面を付けた人物。
どこか楽しそうに、続けて言った。
「俺たちは、その理念の元、集まってる。
古いだけで変わらねぇ物はつまんねぇ、じゃんじゃんぶっ壊れて作り変われ。
この世界を去った外なる神の残した言葉を信仰してな。
でもよ、それって、理念が同じってだけで、目的はテンでバラバラ、それぞれ違うだろ?
魔術協会をぶっ潰してその後釜に座るだの、王国をぶっ潰すだの、それぞれ自分の目的で動いてるし、都合が良ければ協力するだけだ。
俺さまはよぉ、自分が楽しければどうでも良いんだよ。
勇者共が色々と引っ掻き回して楽しませてくれるなら、それで良い。眺めて時々ちょっかい出して、遊ぶだけだからな」
「なにが言いたい!」
激昂するように声を上げる鳥の面に、虎の面は楽しげに笑い、そして返した。
「アハハハハハッ! ばーか。お前はつまんねぇ、つってんだよ。
別に、妬みや嫉妬で魔物まで使ってやらかしたってのは、どうでも良い。むしろ、そんな理由で、こんなことしでかしたのは笑えるから許してやるよ。
でもな? だったら隠すなや。胸を張って堂々とやっちまえば良い。
それこそ、魔王にまでなった、ニコの旦那みたいにな。
近いことぐらいなら出来るだろうがよ。魔王を作った一人なんだからさ」
「その言い方には語弊があると思いますよ」
たしなめるように言ったのは、牛の面を付けた人物。
「確かに彼は、魔王製造の理論構築に携わった一人ですが、あくまでもそれだけです。
そもそも、すでにその知識はこの場に居る全員が得ています。わざわざ彼だけに、そのリスクを求めるのは酷ですよ」
どこか、鳥の面を庇うように言う。だが、それを侮辱と取った鳥の面は、激昂し口を開こうとするが、それよりも早く馬の面を付けた人物が提案した。
「話がまとまりませんな。今回、私らが集まったのは、今回の件に関わるかどうか? それだけでしょう?
時間もタダじゃないんです。効率よく使わせて下さいな。
だから挙手で、さっさと決めましょう。今回の件で、協力するなら手を上げて、しないなら上げない。
それで行きましょう。私は、手を上げるつもりはないですがね」
その提案に否定の声は上がらず、同じく誰も手を上げる者はいない。
その事実に、鳥の面が何も声を上げられないでいると、場をまとめる鼠の面が、
「決定ですね。今回の件、何か行動を起こすのなら、貴方だけで行って下さい。
ただし、個別に誰かが独断で協力する事も、禁止はしません。
会合は、以上とします」
短く端的に告げると、その場から消え失せた。この場に投影した仮想実体との接続を切ったのだ。
そこから次々に消え失せ、あとに残るのは鳥の面1人のみ。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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