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第二章 街予定地の問題を解決しよう編
3 街予定地に着いたは良いけれど その⑤ 撤退戦本番
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無数の火球と石弾が、一斉に襲い掛かって来る。
攻撃の種類が統一されていないのは、恐らくはわざとだ。
こちらが防御し辛いよう、属性の異なる物を撃って来てる。
けれど、それを八雲と出雲が防いでくれた。
「出雲! 壁を造る! 補強は任せた!」
「任せるのだ!」
八雲は自らの魔力を放出。地面へと浸透させると、神与能力を使い変成させる。
「即席で万里の長城を造ってやるよ!」
八雲の気合の入った声と共に、地鳴りが響く。俺達の側面の地面が盛り上がり、一気に分厚く長大な壁へと変わった。
そこに、追加で出雲の神与能力が発動される。
「バリヤー発生装置にするのだ!」
出雲も魔力を放出し、八雲の造った壁を更に造り替える。
浸透した魔力が元素レベルで壁の構造を造り替え、新たな機能を与えた。
壁全体が振動したかと思うと、青白い光を放出。すぐに形を整えるように壁全体を覆うと、そのまま固定される。
そこに魔物の攻撃が一斉に叩きつけられる。
盛大な爆音と振動、そして炎が上がるが、僅かたりともこちらに攻撃は届かない。
「……一体、どんな原理で……」
出雲が八雲の壁を材料に造ったバリヤー発生装置に、カルナは困惑気味に声を上げる。
パッと見た限りだと何らかの魔術的な作用で造られた感じだけど、構造式が異次元過ぎてさっぱり分からない。
「気にしたら負けだって。そういう神与能力なんだから。本人にもどうやって出来てるのか分からないんだし。それより今は、ここから逃げ出すことを考えないと」
思考の泥沼に堕ちそうになってるカルナを現実に引き戻し、俺は出雲に問い掛ける。
「蒸気機関車は? あとどれぐらいで来れる?」
「ロコが、いま遠隔操作で走らせてるのだ。だからすぐ――」
「新手だ! 気を付けろ!」
出雲が言い終るよりも早く、俺は皆に警戒するよう叫ぶ。
壁を跳び越えてこちらに来る魔物に気付いたからだ。
それは、魔物の群れの中央に居た巨人型の魔物。
魔物たちの攻撃と同時に走り出し、壁の直前で10m近い高さをものともせずジャンプして越えたのだろう。
壁を跳んだ体勢で、空からこちらに落ちてくる。
「オオォォオオンンン!」
呪うような不気味な声を上げ、巨人型の魔物は一抱えはある光球を生み出し、それを放とうとし――
「爆花繚乱!」
和花に迎撃される。数十の炎の花びらに魔物は包まれ大爆発を起こす。
爆炎と爆風が周囲に広がり、俺達がそれぞれ魔術結界で防ぐ中、魔物は地面へと墜落した。
ズズンッ! という地鳴りを響かせながら地面に激突した魔物は、体中に細かなひびを入れながらも、平然と立ち上がり殺意を振りまいた。
それを断ち切るように、五郎が動く。
「真っ二つ斬り!」
大包丁、正宗を力強く振り抜く。斬撃の威力を飛ばすのではなく纏い、破壊力を増した一撃で斬り裂こうとした。
それを、魔物は受け止める。
「ウギイイイィッ!」
雄たけびを上げながら、五郎の斬撃に自らの右腕を叩き付ける。
ザクッ! という音と共に、腕の半ばまで五郎の正宗は食い込むが、そこで止まる。
僅かに動きが停滞する五郎。
そこへ魔物は、残った左腕で殴りかかろうとし――
「させるか!」
より早く動いた俺が、五郎の正宗が食い込んだ腕を挟むような形で、村正を叩き込む。
正宗により半ばまで断ち切られていた腕は、俺の追撃に耐えられず斬り飛ばされ、その衝撃で体勢を崩した魔物は、左腕の攻撃を空振りする。
そこに連撃を、俺と五郎は叩き込もうとした。
だがそれより早く、魔物は力強く跳躍する。
斬り飛ばされた自分の腕を追うように跳ぶと、斬り飛ばされた腕が地面に落ちるより早く手に取った。そして、
「グッルアアアアアッ!」
恐らくはそれが呪文なのだろう、魔物は叫ぶと、斬り飛ばされた自分の腕を材料に武器を造り出す。
それは一本の刀。俺の村正に似た、けれど遥かに長大で禍々しい刀だった。
魔物は造り出した刀を振り上げ、振り下ろそうとした瞬間――
「噛み千切れっす、影鰐!」
有希の放った影鰐が地を走り、襲い掛かろうとする。
けれど、魔物の一撃が切り裂いた。
地面を抉りながら振るわれた魔物の刀は、影鰐すら真っ二つに断ち切る。
斬り裂かれた影鰐は、魔力に還元され散り散りになると、有希の影へと還っていく。
影を媒体に創り出された影鰐は、ただの物理攻撃ではダメージを受けない。
それに傷を与えたという事は、あの魔物の刀は魔力をまとい、攻撃自体が魔術的な効果を持っているんだろう。
まともに食らえば、ただでは済まない。
それを魔物は振り上げ、再びこちらを攻撃しようとする。だが――
「爆拳!」
魔物に臆することなく距離を詰めていたミリィが、魔物の足に爆拳を叩き込む。
爆発し、衝撃でえぐられながら、それでも平然と魔物は反撃するべく刀を構え――
「雷霆戦槍!」
カルナが放った雷の槍を斬り散らした。
斬り散らされた雷の槍は、周囲を帯電させ火花を生む。
魔物は火花散る中を、後方に跳んだミリィを追うように重心を沈める。
けれどその時には既に、こちらの準備は整っていた。
俺達は、大きくその場を離れるように跳び、誰も居ない進路が出来る。そこへ――
「ま゛っ!」
ロコに遠隔操作された蒸気機関車がすさまじい勢いで突っ込み、その先に居る魔物を力強く跳ね飛ばす。
重さにして1000トン以上。80キロの過剰速度での突進は、魔物に耐えさせる余裕など与えず、遥か彼方にぶっ飛ばす。
ぶっ飛ばされ、地面を何度かバウンドしながら、魔王戦で出来た池に着水。大きく水柱を上げ沈みこんだ。
絶好の好機が訪れる。それを逃すことなく、俺は大声を上げた。
「このまま逃げよう! 出雲はロコとデミウルゴスと一緒に操縦に専念して! 残りは屋根に移動! 追手や追撃があれば防ぎつつ逃げる!」
みんなは即座に、俺の言葉に動いてくれる。
次々に蒸気機関車の屋根に乗り、出発準備が整った所で、池に落ちた魔物が這いあがってくる。
「しつこ過ぎじゃ!」
和花が炎の花びらを生み出し迎撃。爆発で魔物が動けない隙に出発する。
「とばせ! 道は本道路まで俺が造るから遠慮すんな!」
蒸気機関車の一部を造り替え伝令管にした八雲は、操縦室の出雲に言うと、すぐに蒸気機関車の前の道を造り替える。
舗装された、なだらかな道。そこを勢いよく蒸気機関車は走り出し、俺達はその場から逃げ出した。
攻撃の種類が統一されていないのは、恐らくはわざとだ。
こちらが防御し辛いよう、属性の異なる物を撃って来てる。
けれど、それを八雲と出雲が防いでくれた。
「出雲! 壁を造る! 補強は任せた!」
「任せるのだ!」
八雲は自らの魔力を放出。地面へと浸透させると、神与能力を使い変成させる。
「即席で万里の長城を造ってやるよ!」
八雲の気合の入った声と共に、地鳴りが響く。俺達の側面の地面が盛り上がり、一気に分厚く長大な壁へと変わった。
そこに、追加で出雲の神与能力が発動される。
「バリヤー発生装置にするのだ!」
出雲も魔力を放出し、八雲の造った壁を更に造り替える。
浸透した魔力が元素レベルで壁の構造を造り替え、新たな機能を与えた。
壁全体が振動したかと思うと、青白い光を放出。すぐに形を整えるように壁全体を覆うと、そのまま固定される。
そこに魔物の攻撃が一斉に叩きつけられる。
盛大な爆音と振動、そして炎が上がるが、僅かたりともこちらに攻撃は届かない。
「……一体、どんな原理で……」
出雲が八雲の壁を材料に造ったバリヤー発生装置に、カルナは困惑気味に声を上げる。
パッと見た限りだと何らかの魔術的な作用で造られた感じだけど、構造式が異次元過ぎてさっぱり分からない。
「気にしたら負けだって。そういう神与能力なんだから。本人にもどうやって出来てるのか分からないんだし。それより今は、ここから逃げ出すことを考えないと」
思考の泥沼に堕ちそうになってるカルナを現実に引き戻し、俺は出雲に問い掛ける。
「蒸気機関車は? あとどれぐらいで来れる?」
「ロコが、いま遠隔操作で走らせてるのだ。だからすぐ――」
「新手だ! 気を付けろ!」
出雲が言い終るよりも早く、俺は皆に警戒するよう叫ぶ。
壁を跳び越えてこちらに来る魔物に気付いたからだ。
それは、魔物の群れの中央に居た巨人型の魔物。
魔物たちの攻撃と同時に走り出し、壁の直前で10m近い高さをものともせずジャンプして越えたのだろう。
壁を跳んだ体勢で、空からこちらに落ちてくる。
「オオォォオオンンン!」
呪うような不気味な声を上げ、巨人型の魔物は一抱えはある光球を生み出し、それを放とうとし――
「爆花繚乱!」
和花に迎撃される。数十の炎の花びらに魔物は包まれ大爆発を起こす。
爆炎と爆風が周囲に広がり、俺達がそれぞれ魔術結界で防ぐ中、魔物は地面へと墜落した。
ズズンッ! という地鳴りを響かせながら地面に激突した魔物は、体中に細かなひびを入れながらも、平然と立ち上がり殺意を振りまいた。
それを断ち切るように、五郎が動く。
「真っ二つ斬り!」
大包丁、正宗を力強く振り抜く。斬撃の威力を飛ばすのではなく纏い、破壊力を増した一撃で斬り裂こうとした。
それを、魔物は受け止める。
「ウギイイイィッ!」
雄たけびを上げながら、五郎の斬撃に自らの右腕を叩き付ける。
ザクッ! という音と共に、腕の半ばまで五郎の正宗は食い込むが、そこで止まる。
僅かに動きが停滞する五郎。
そこへ魔物は、残った左腕で殴りかかろうとし――
「させるか!」
より早く動いた俺が、五郎の正宗が食い込んだ腕を挟むような形で、村正を叩き込む。
正宗により半ばまで断ち切られていた腕は、俺の追撃に耐えられず斬り飛ばされ、その衝撃で体勢を崩した魔物は、左腕の攻撃を空振りする。
そこに連撃を、俺と五郎は叩き込もうとした。
だがそれより早く、魔物は力強く跳躍する。
斬り飛ばされた自分の腕を追うように跳ぶと、斬り飛ばされた腕が地面に落ちるより早く手に取った。そして、
「グッルアアアアアッ!」
恐らくはそれが呪文なのだろう、魔物は叫ぶと、斬り飛ばされた自分の腕を材料に武器を造り出す。
それは一本の刀。俺の村正に似た、けれど遥かに長大で禍々しい刀だった。
魔物は造り出した刀を振り上げ、振り下ろそうとした瞬間――
「噛み千切れっす、影鰐!」
有希の放った影鰐が地を走り、襲い掛かろうとする。
けれど、魔物の一撃が切り裂いた。
地面を抉りながら振るわれた魔物の刀は、影鰐すら真っ二つに断ち切る。
斬り裂かれた影鰐は、魔力に還元され散り散りになると、有希の影へと還っていく。
影を媒体に創り出された影鰐は、ただの物理攻撃ではダメージを受けない。
それに傷を与えたという事は、あの魔物の刀は魔力をまとい、攻撃自体が魔術的な効果を持っているんだろう。
まともに食らえば、ただでは済まない。
それを魔物は振り上げ、再びこちらを攻撃しようとする。だが――
「爆拳!」
魔物に臆することなく距離を詰めていたミリィが、魔物の足に爆拳を叩き込む。
爆発し、衝撃でえぐられながら、それでも平然と魔物は反撃するべく刀を構え――
「雷霆戦槍!」
カルナが放った雷の槍を斬り散らした。
斬り散らされた雷の槍は、周囲を帯電させ火花を生む。
魔物は火花散る中を、後方に跳んだミリィを追うように重心を沈める。
けれどその時には既に、こちらの準備は整っていた。
俺達は、大きくその場を離れるように跳び、誰も居ない進路が出来る。そこへ――
「ま゛っ!」
ロコに遠隔操作された蒸気機関車がすさまじい勢いで突っ込み、その先に居る魔物を力強く跳ね飛ばす。
重さにして1000トン以上。80キロの過剰速度での突進は、魔物に耐えさせる余裕など与えず、遥か彼方にぶっ飛ばす。
ぶっ飛ばされ、地面を何度かバウンドしながら、魔王戦で出来た池に着水。大きく水柱を上げ沈みこんだ。
絶好の好機が訪れる。それを逃すことなく、俺は大声を上げた。
「このまま逃げよう! 出雲はロコとデミウルゴスと一緒に操縦に専念して! 残りは屋根に移動! 追手や追撃があれば防ぎつつ逃げる!」
みんなは即座に、俺の言葉に動いてくれる。
次々に蒸気機関車の屋根に乗り、出発準備が整った所で、池に落ちた魔物が這いあがってくる。
「しつこ過ぎじゃ!」
和花が炎の花びらを生み出し迎撃。爆発で魔物が動けない隙に出発する。
「とばせ! 道は本道路まで俺が造るから遠慮すんな!」
蒸気機関車の一部を造り替え伝令管にした八雲は、操縦室の出雲に言うと、すぐに蒸気機関車の前の道を造り替える。
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