転生して10年経ったので街を作ることにしました

笹村

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第二章 街予定地の問題を解決しよう編

9 進撃開始 その②

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「武具召喚、銘刀村正」

 魔術で造った妖刀を召還し、俺は身体強化魔術を更に一段階押し上げる。
 狙いは、最も突出した魔物の1体。ハンマーのような物を持ったそれに、真っ直ぐに向かう。

 踏み込みに、地面が抉れる。
 急激に上げた身体能力に振り回されないようにしながら、同時に率いる部隊に指示を飛ばす。

「各自、最善を尽くして。指示は以上で終わり」

 とりあえず、スパルタ方式でいこう。気のせいか、動揺するような気配がした気がするけど、ここは千尋の谷に突き落とすつもりで。
 甘やかすだけだと、育たないからね。

 だからあえて、部隊の魔術師の子達を無視するような形で、一気に魔物に跳び込む。
 跳び込むと同時に、振り上げられるハンマー。

 ぞわりっ、と悪寒が走る。
 受け止めることも受け流す事も止め、瞬時に横に跳ぶ。

 ほぼ同時に、俺が居た場所にハンマーがぶち込まれ、爆発した。
 地面が吹き飛び、土煙が上がる。
 人間の頭ぐらいの深さで穴が出来、その周囲にひびが入っている。

(普通の魔術防御でも、直撃しなきゃ死なないか)
 
 威力を判断し、距離を取ることを止める。
 この程度なら、まともに受けてもどうにでもなるし、そもそも避けられる。
 ハンマーを大降りに振り回すだけの動きは読み易い。

 ふっと力を抜くように重心を落とし、そのまま前に踏み込む。
 気付いた魔物は、横なぎにハンマーを振るうが、そのギリギリで踏み込みを止める。

 ぶんっ! と唸りを立てて通り過ぎるハンマー。
 その瞬間、一歩踏み込み、魔物のハンマーを持つ手を斬り裂く。

「ギイアアアアアアッ!」

 雄たけびをあげ、振り抜いたハンマーを戻す魔物。
 再び、俺を攻撃しようと振り上げるも、すでに俺は大きく後ろに跳び退いている。

 そんな俺を追いかけようと、魔物が体を前に乗り出した瞬間、

「光よ! 矢となり撃ち抜け!」

 無数の光の塊が、魔物に突き刺さる。
 コニー達、魔術師の攻撃だ。
 距離を取った状態から、詠唱で強化した攻撃魔術を放ったのだ。

 俺に注意を取られていた魔物は、まともに食らう。
 一本一本が、50m先の煉瓦を撃ち砕く威力のそれが10数本。
 人間なら、即死どころかバラバラになりそうな程の攻撃を食らいながら、平然と魔物は動く。

「ガアアアアアッ!」

 怒りの雄たけびをあげ、手にしたハンマーを魔術師たちに向け投げつけた。

(マズいか?)

 一瞬、止めるために動こうかと思うも、それよりも魔術師たちの動きの方が速かった。

「光鱗よ! 我らを守る連なりと化せ!」

 あらかじめ役割分担されていた、防御組が魔術を使う。
 詠唱と共に、魔術師たちの前方を覆うような形で、鱗状の光の塊が数え切れないほど発生する。

 力場固定型の防御魔術。
 それに魔物のハンマーは阻まれる。勢い良く命中するも、打ち破れない。
 けれど次の瞬間、ハンマー自体が爆発した。

「ヒイキャキャキャキャッ!」

 爆発と共に爆炎が撒き散らされ、魔術師たちの姿が、それに隠され見えない。
 殺したとでも思ったのか、魔物は手を叩いて喜んだ。

「どこを見てる」

 喜ぶ魔物を止めるように、俺は踏み込み斬りつける。
 不愉快に叩く手を切り飛ばし、動きを遅くするために足も斬りつけた。

「喜ぶ暇があったら、戦え。それどころじゃないだろ、お前は」

 言葉が通じているかは分からないが、俺は魔物を挑発する。

「お前は、あの子達が強くなる為の餌だ。もっと活きを良くしろ。役立たず」
「グギイイイッ!」

 呪うような声を上げ、魔物は自分が殺したと思い込んだ魔術師たちに顔を向ける。
 そこには、2重に張り巡らせた防御結界で身を守った魔術師たちが。

 1つで足らなければ2重3重で。それを実行するだけの人数は揃っているのだ。

(うん。連携が巧くいってる。この調子で、鍛えて貰おう)

 自分達の考えで、周りと協力して戦ってくれる魔術師の子達に嬉しくなる。
 魔物みたいに、柔軟な行動を取る相手には、同じく状況に即した柔軟な反応を取れる必要が出てくる。
 いちいち指示を出していたり、事前にマニュアルを渡して行動して貰う訳にはいかないんだ。
 こればっかりは経験がものを言うので、この戦いで、しっかりと経験を身に着けて貰わないと。

 だからこそ、俺は魔物相手のサポート役に徹する。
 時折踏み込みながら浅く斬りつけ、魔物の動きを鈍くしながら、魔術師の子達が遠距離攻撃する余裕を稼ぐ。
 魔物も、反撃するように魔術師の子達に突っ込もうとするが、その度に距離を取り、常に有利な距離で戦っていく。

(誰かが接近戦で押さえている間に、距離を取って戦うのは出来てるな。
 問題は、誰が一番危険な接近戦をするかだけど。
 今のところ、自主的に接近戦をしようって子は、俺の部隊には居ないから、その辺りが課題かな?)

 戦いながら、先々の戦闘訓練メニューを考えている内に、俺達が戦っている魔物は大分弱っている。
 多少の余裕が出来た俺は、他の部隊の状況も積極的に見ていく。
 すると、それぞれ勇敢に戦っている姿が目に留まった。
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