101 / 115
第二章 街予定地の問題を解決しよう編
10 魔物の軍勢 その① 三人称視点
しおりを挟む
時は幾らか遡る。
陽色たちとは別行動で、異なる方向に向かって進んでいた名門魔術師の部隊は、魔物の一団と戦っていた。
「薙ぎ払え」
部隊の長であるラングレーの号令に従って、一斉に攻撃魔法が放たれる。
100を超える一斉射撃に、200mほど先で固まっていた魔物たちは吹っ飛ぶ。
体のいたる所が破壊された魔物たちは、しかしそれでも、魔術師たちに向かって欠けた体で向かって来る。
それを淡々と、魔術師たちは連続射撃で潰していった。
「おぞましいことです」
「そうかのう? わしには、健気に見えるがの」
ラングレーの言葉に、手持ち無沙汰な和花は返す。
「健気ですか? 随分と、独特な感性をお持ちで。勇者の皆さまは、全員そうなのですか?」
どこか含みのある問い掛けに、和花は肩をすくめるようにして返した。
「勝てないと分かっていても突き進む。愚かじゃが、素直じゃよ」
「虫の如き性分、というだけだと思いますがね」
「そうかのう? 魔物は、それほど単純ではないぞ。甘く見とると、足元をすくわれる」
「ははっ、ご心配なさらずに。貴方達から得た情報で、我々も学んでいます。なによりも、魔王に敗れて以来、その屈辱をすすぐための研鑚は詰んできたのです。それを形にする機会、無駄にはしません」
「そうか。じゃったら、少しはわしらにも、出番をくれんかのう?」
「大丈夫です。お手を煩わせることはありませんから。なにより勇者とはいえ、貴方がたのような美しい女性を矢面に立たせる訳には参りません」
「ほぅ……」
双方笑顔のまま、漂う空気は険悪だった。
協力する形で、ラングレー率いる名門魔術師の部隊に組み込まれた和花たちだったが、今のところ何も出来てはいない。
全ての決定はラングレーが行い、配下でもある名門魔術師が対処している。
(どうあっても自分の手下以外は、排除するつもりじゃな、こいつ)
苦々しい気持ちで、和花は心の中で呟く。
元より和花としても、魔術師の全てが自分たち勇者の事を快く思っているとは考えていない。
魔術師が倒せなかった魔王を倒した事で権威を奪われ、更にその後に進めた特許制度で権益の一部も奪われたのだ。
最近になって和解の動きを見せたとはいえ、そうそうわだかまりが解けるとは思ってはいない。
だから、それはいい。自分たち勇者を苦々しく思うなら、それで構わない。
けれどいま問題なのは、同じ魔術師同志でありながら、排除しようという動きを見せているからだ。
(なにかあったら、捨て駒にする気じゃな、こいつ)
ラングレーを見ながら、部隊の端に追いやられた魔術師の一団のことを考える。
わざと、魔物を発見しても何もさせていない。
そのせいで、かなりじれている。あの様子では、少々無謀でも功績を上げるためなら突っ込みかねない。
(そうなるように誘導しとるんじゃろうが。いやらしい奴じゃな)
(嫌いなタイプ? アレ)
和花がラングレーのことを苦々しく思っていると、心の中に声が聞こえてくる。
声には出さず思ったことを伝えられる念話の魔術で、瑠璃が呼び掛けてきたのだ。
ため息をつくように、和花は返す。
(嫌いじゃのう。ああいう、自分の為なら他人を使い潰しても良い、と思ってそうな奴はな)
(そうだね。私も、同じ気持ち)
(なんじゃ、お前もそう思っとるなら、わざわざ訊かんでも良かったじゃろうに)
(自分だけの気持ちだと、冷静に見えてないかもしれないから。むーこは、どう思う?)
(おんなじ~)
武子も念話に加わって、段々とかしましくなる。
(タイプじゃな~い。こっちの外見しか見てないし~)
(別に男としてのタイプを訊いとるわけじゃないんじゃが?)
(え~、でもそこ大事じゃな~い? こっちのこと、値踏みするみたいに見てるし~)
(うん、そうそう。特に、和花を見てる目、なんかやらしい)
(自分にとって使えるかどうか見てるんじゃろ)
(別に、自分のモノになる訳じゃないのにね)
(そうそう~。そういうことは、ま~ちゃん越えしてからでないと~)
(なんでそこで、マゲイアのヤツの名前が出て来るんじゃ)
(え~、だって~、ま~ちゃんは~、みんなのま~ちゃんだし~)
(ペットか、アヤツは)
(え~、違うよ~、私たちみんなの彼氏だよ~)
(……なんでそうなるんじゃ)
(さすがに2度目の生も喪女のまま生き続けるのは辛い)
(だよね~。前の人生は、生きて100年だったから、処女で死んでもい~や~とか思ってたけど~、もう私たち、寿命とかじゃ死ねないし~。永遠に処女のままなのはちょっと~)
(なんの話じゃなんのーっ!)
声には出せないので心の中で絶叫して、耳まで赤くしながら和花は話を戻す。
(そんなことよりっ! 今は被害を出さんようにどうするかを話すべきじゃろっ!)
(そうだね。まーくんいつ押し倒すかは、また今度話し合おう)
(そうだね~)
(せんで良い! それよりも、ラングレーの奴から離れとる魔術師の保護の方が大事じゃ。瑠璃が担当じゃが、1人で大丈夫か?)
(大丈夫。えんみくん27号の影響対象は、すでに設定してるから)
瑠璃は、大きなクマのぬいぐるみを抱きしめながら応える。
魔術で造り出したそれは、特殊な効果を発生させる呪具だ。
膨大な魔力を消費するが、いざという時には大きな力になる。
(うむ。いざという時は、それでどうにかなるじゃろうが、それでも少し心許ないのう。武子、お前は瑠璃の傍に居てやれ)
(良いけど~。和花は、1人で良いの~?)
(攻撃と防御、両方のバランスはとれとるつもりじゃからな。そっちは、片方に偏っとるじゃろ)
(うん。守るより~、ぶん殴る方が好き~)
(素手じゃなく、魔術武具も使え。今の内に、生成しとけ)
(は~い。それじゃ~、天の武矛、創っとくね~)
武子は心の中で応えると、自らの魔術武具を召還した。
それは長大な矛だ。2メートル近い。それを慣れた様子で手に持っている。
(わしのレーヴァティンもそうじゃが、わしら全員、魔術武具の魔力消費が半端ないからの。今回は、周囲から魔力を集めたら、他の魔術師に影響が出かねんからのう。場合によっては、使い惜しみせず神与能力を使うぞ)
(は~い。分かったよ~)
(うん。そのつもり)
周囲には気付かれず、和花たちが不測の事態への用意をしてから、少し経った頃。
「新手ですね」
部隊の1人から魔物の発見連絡を受けたラングレーが、静かに言った。
陽色たちとは別行動で、異なる方向に向かって進んでいた名門魔術師の部隊は、魔物の一団と戦っていた。
「薙ぎ払え」
部隊の長であるラングレーの号令に従って、一斉に攻撃魔法が放たれる。
100を超える一斉射撃に、200mほど先で固まっていた魔物たちは吹っ飛ぶ。
体のいたる所が破壊された魔物たちは、しかしそれでも、魔術師たちに向かって欠けた体で向かって来る。
それを淡々と、魔術師たちは連続射撃で潰していった。
「おぞましいことです」
「そうかのう? わしには、健気に見えるがの」
ラングレーの言葉に、手持ち無沙汰な和花は返す。
「健気ですか? 随分と、独特な感性をお持ちで。勇者の皆さまは、全員そうなのですか?」
どこか含みのある問い掛けに、和花は肩をすくめるようにして返した。
「勝てないと分かっていても突き進む。愚かじゃが、素直じゃよ」
「虫の如き性分、というだけだと思いますがね」
「そうかのう? 魔物は、それほど単純ではないぞ。甘く見とると、足元をすくわれる」
「ははっ、ご心配なさらずに。貴方達から得た情報で、我々も学んでいます。なによりも、魔王に敗れて以来、その屈辱をすすぐための研鑚は詰んできたのです。それを形にする機会、無駄にはしません」
「そうか。じゃったら、少しはわしらにも、出番をくれんかのう?」
「大丈夫です。お手を煩わせることはありませんから。なにより勇者とはいえ、貴方がたのような美しい女性を矢面に立たせる訳には参りません」
「ほぅ……」
双方笑顔のまま、漂う空気は険悪だった。
協力する形で、ラングレー率いる名門魔術師の部隊に組み込まれた和花たちだったが、今のところ何も出来てはいない。
全ての決定はラングレーが行い、配下でもある名門魔術師が対処している。
(どうあっても自分の手下以外は、排除するつもりじゃな、こいつ)
苦々しい気持ちで、和花は心の中で呟く。
元より和花としても、魔術師の全てが自分たち勇者の事を快く思っているとは考えていない。
魔術師が倒せなかった魔王を倒した事で権威を奪われ、更にその後に進めた特許制度で権益の一部も奪われたのだ。
最近になって和解の動きを見せたとはいえ、そうそうわだかまりが解けるとは思ってはいない。
だから、それはいい。自分たち勇者を苦々しく思うなら、それで構わない。
けれどいま問題なのは、同じ魔術師同志でありながら、排除しようという動きを見せているからだ。
(なにかあったら、捨て駒にする気じゃな、こいつ)
ラングレーを見ながら、部隊の端に追いやられた魔術師の一団のことを考える。
わざと、魔物を発見しても何もさせていない。
そのせいで、かなりじれている。あの様子では、少々無謀でも功績を上げるためなら突っ込みかねない。
(そうなるように誘導しとるんじゃろうが。いやらしい奴じゃな)
(嫌いなタイプ? アレ)
和花がラングレーのことを苦々しく思っていると、心の中に声が聞こえてくる。
声には出さず思ったことを伝えられる念話の魔術で、瑠璃が呼び掛けてきたのだ。
ため息をつくように、和花は返す。
(嫌いじゃのう。ああいう、自分の為なら他人を使い潰しても良い、と思ってそうな奴はな)
(そうだね。私も、同じ気持ち)
(なんじゃ、お前もそう思っとるなら、わざわざ訊かんでも良かったじゃろうに)
(自分だけの気持ちだと、冷静に見えてないかもしれないから。むーこは、どう思う?)
(おんなじ~)
武子も念話に加わって、段々とかしましくなる。
(タイプじゃな~い。こっちの外見しか見てないし~)
(別に男としてのタイプを訊いとるわけじゃないんじゃが?)
(え~、でもそこ大事じゃな~い? こっちのこと、値踏みするみたいに見てるし~)
(うん、そうそう。特に、和花を見てる目、なんかやらしい)
(自分にとって使えるかどうか見てるんじゃろ)
(別に、自分のモノになる訳じゃないのにね)
(そうそう~。そういうことは、ま~ちゃん越えしてからでないと~)
(なんでそこで、マゲイアのヤツの名前が出て来るんじゃ)
(え~、だって~、ま~ちゃんは~、みんなのま~ちゃんだし~)
(ペットか、アヤツは)
(え~、違うよ~、私たちみんなの彼氏だよ~)
(……なんでそうなるんじゃ)
(さすがに2度目の生も喪女のまま生き続けるのは辛い)
(だよね~。前の人生は、生きて100年だったから、処女で死んでもい~や~とか思ってたけど~、もう私たち、寿命とかじゃ死ねないし~。永遠に処女のままなのはちょっと~)
(なんの話じゃなんのーっ!)
声には出せないので心の中で絶叫して、耳まで赤くしながら和花は話を戻す。
(そんなことよりっ! 今は被害を出さんようにどうするかを話すべきじゃろっ!)
(そうだね。まーくんいつ押し倒すかは、また今度話し合おう)
(そうだね~)
(せんで良い! それよりも、ラングレーの奴から離れとる魔術師の保護の方が大事じゃ。瑠璃が担当じゃが、1人で大丈夫か?)
(大丈夫。えんみくん27号の影響対象は、すでに設定してるから)
瑠璃は、大きなクマのぬいぐるみを抱きしめながら応える。
魔術で造り出したそれは、特殊な効果を発生させる呪具だ。
膨大な魔力を消費するが、いざという時には大きな力になる。
(うむ。いざという時は、それでどうにかなるじゃろうが、それでも少し心許ないのう。武子、お前は瑠璃の傍に居てやれ)
(良いけど~。和花は、1人で良いの~?)
(攻撃と防御、両方のバランスはとれとるつもりじゃからな。そっちは、片方に偏っとるじゃろ)
(うん。守るより~、ぶん殴る方が好き~)
(素手じゃなく、魔術武具も使え。今の内に、生成しとけ)
(は~い。それじゃ~、天の武矛、創っとくね~)
武子は心の中で応えると、自らの魔術武具を召還した。
それは長大な矛だ。2メートル近い。それを慣れた様子で手に持っている。
(わしのレーヴァティンもそうじゃが、わしら全員、魔術武具の魔力消費が半端ないからの。今回は、周囲から魔力を集めたら、他の魔術師に影響が出かねんからのう。場合によっては、使い惜しみせず神与能力を使うぞ)
(は~い。分かったよ~)
(うん。そのつもり)
周囲には気付かれず、和花たちが不測の事態への用意をしてから、少し経った頃。
「新手ですね」
部隊の1人から魔物の発見連絡を受けたラングレーが、静かに言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる