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第3話 酔う演技ユーベルと犯罪思想お姫様ロウアイナ
しおりを挟む「ほい、海老とキノコのトマトパスタだ。豪華にワインもお付けしましたよっと」
とりあえず午後から店舗内の掃除をし、夕飯。
ユニークスキル『食堂』でアンティーク調のおしゃれなテーブルセットを作り設置。本当にこのユニークスキル、便利だなぁ。
材料さえあれば、食堂に関するものはだいたいなんでも瞬時に作れてしまう。
モンスター討伐で各地を巡っているときに、手当たりしだいに木材とか鉄とか石とかなんでも許容量無制限のアイテムボックスにぶっ込んでおいてよかった。
まぁ……ガランとした広い店舗の真ん中にポツンとテーブルを一つ置いて食う夕食は、ちとシュールか……。
「……とてもいい香りです。本当に一流有名店並の見た目、エイリットが作る物は何でも黒いかと思っていましたが例外もあるんですね。味も素晴らしく美味しいです」
対面に座っている女性、ユーベルが目の前に置かれたパスタをマジマジと見て香りを楽しみ、ゴクリと喉を鳴らしてからゆっくりと麺をすする。
「俺は身につける色として黒が好きだっただけで、作る物が全部黒いわけないだろ。ああ、黒いパスタといえばイカスミか、でも俺はトマト系のパスタが好きでさ、あ、ペペロンチーノも好きか……ああ、クリーム系も最高だよな」
日本にいたころ、季節限定メニューが出るたびにファミレス行ってパスタ食いまくっていたなぁ。懐かしい。
イカといえば、アルムローバ海峡にいたB級モンスター、レインボーイカとかいうのを倒してアイテムボックスに入れてあるな。
そこからイカスミを引っ張ってきて材料指定すればイカスミパスタが出来そうか。
「……ふぅ、なんですかエイリットこのワインは……国内でこんな美味しい物は記憶にないです。これ、ぐいぐい飲めてしまいます……」
ワインを飲んだ瞬間ユーベルの顔の筋肉が緩み、ちょっと色気のある表情でほぅっと息を吐く。こいつ、酒好きか。
それもユニークスキル『食堂』で作ったものだ。
つか酒作れるのなら、それですっげぇ稼げそうじゃね? いや、このユニークスキル『食堂』さえあれば、簡単に完成品を作れるから、今後の金稼ぎとかどうとでもなりそうな予感。まぁそれは今度考えよう。
「……分かりましたよエイリット……さっきは失敗しましたが、今度は美味しいお酒で酔わせて私を襲おうとかいう下らない作戦なのでしょう。二人きりになった瞬間に男性がこんな接待をしてくるとか、それ以外目的はないですよね……うふふふふ……」
あれ、ユーベルの様子がおかしいぞ。
襲う? 俺って暗黒超紳士よ? そんなことするわけねぇじゃん。つか女性に対してそんなガツガツ行ける性格だったら、年齢=彼女無し歴になっていないだろ。
いや、その、単に女性に対してどう接すればいいのか分からない奥手ザ・童貞なんですけどね……。
さっきの足舐め? あれはお化けかどうかの確認方法だったから。決して襲ってなどいない。
「お前なぁ……ワイン1杯で酔うとか弱すぎだろ。つか以前お城の立食パーティーですっげぇお酒飲みまくっていたけど、全然酔っていなかったろ」
モンスター討伐の報告でお城に帰るたび国王主催のパーティーに参加させられてな、ユーベルは美人さんなものだから、それはまぁハイスペック貴族男子に言い寄られて、そのたびにお酒を飲まされていたが、まったく酔わず、チラチラ俺を睨みながらいつもの無表情フェイスでそっけない返事ばかりしていたな。
「……当たり前です……つまらない男性と飲んだって酔うわけないじゃないですか。なにが君を一生大事にしますからぜひ私の伴侶に……ですか……人のこと見た目だけで判断されても嬉しくないんですよ……そんな上っ面の愛を囁かれるたびにどんどん酔いが覚めていきましたね」
お、こいつ絡み酒か?
まぁ……ユーベルも5年間休み無しの激務で疲れがたまってんのかね。
「……ふふ、知っていますかエイリット……私って、すっごいモテるんですよ」
知ってるよ、んなこと。さて、冷めないうちにパスタ食うか。
「……どうです、悔しいですか? ほら、私がどこの誰だか知らない男性とお付き合いを始めたらエイリットはグヌヌ……ですよね? いいんですか、私ってモテるから早くしないと手遅れに……」
「ユーベル、酔ったフリして言い寄るのはそこまでよ」
突然お店入口から声が聞こえ驚き見ると、そこにはどう見てもお金のかかったドレスを着た女性が立っていた。
「うん、言い寄るならせめて鍵をかけて密室を作り上げなきゃダメよ。外からも中からも出入り出来ないように……ね。そして逃げださないように薬で眠らせて縛って目隠しをして、そこからやっと二人の愛の時間が始まるの」
な、なんだこの犯罪思想女は……と思ったら、この国のお姫様、ロウアイナ様じゃないっすか。
「ア、アイナ様じゃないですか! なんでこんな夜にお一人で……危ないですよ!」
外はもう真っ暗。夜の19時近い。
俺は慌ててお姫様の元へ駆けつけ頭を下げる。
「うん、エイリットなら心配してそう言うと思ってた。だってエイリットは私のこと大好きだもんね」
きらびやかなドレスに合うように髪も綺麗に結わえ、宝石の入ったアクセサリーを身に着けた女性、アイナ姫がニッコニコ笑顔で下げた俺の頭をポンポン叩いてくる。
「門から歩いて5分かぁ……うーん、愛の逃避行にしてはお城から近すぎだけど……まぁいいわ。さぁエイリット、身支度は済んでいるから、もう私をさらってもいいわよ! これはそういう計画なんでしょう?」
女性がドヤ顔で犯罪ワードを叫ぶ。
計画?
はて、俺のスローライフ食堂計画に人さらいは含まれていないんですが。
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