ワールド・オブ・ランク

NTIO

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第14話

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「さて、私のストレス発散もここまでにして」
「おい」
「紹介したい人がいます、ほらこっちにきてください」
「聞けよ、ロリゲイ」

 エイリヒはルークからちょくちょく飛んでくる言葉を躱し、後ろを振り向いて手招きした。すると2人の男女がぎこちなく歩み寄ってきた。
 どうやらこの2人を紹介したいようだ。

「この2人はウルティア魔法学校高等科二年生です。今年1年間は研修として1ーA副担任を務めてもらうことになりました。自己紹介を」
「は、始めまして! ウルティア魔法学校高等科二年イリエラ・ティエスと言います! 今年一年間よろしくお願いします! 」
「同じくウルティア魔法学校高等科二年マルコ・ゴーギャンだ。よろしく」

 エイリヒに促されて一歩前に出た女性は腕に抱えたボードをぎゅっと抱きしめながら詰まりながらもそう言いい、男性はそれに続いた。

 クロエ達は2人の研修生に各々挨拶をしていたが、ルークただ1人だけは目を細めて件の研修生を見ていた。
 その目は鋭く鷹を彷彿とさせ、先ほどまでのおちゃらけた雰囲気は嘘のようだ。

 女性はイリエラで、男性がマルコか。
 ……ふーん研修生ね、高等科っていうからには7歳から15歳までの教育過程を終了しているって訳か。
 そしてすべてのランク分けに通った、と。

 ……もしかしたらこの人たちから情報を得られればランク分けを通る条件とかが分かるかもしれない。
 今わかっているのは【容姿】【身体能力】【魔力】だけだが、どうしてもそれだけとは思えないのだ。
 今まではランク分けのことに関して知ってそうな人が孤児院の職員、つまり大人しかいなくて聞くことが出来なかったが、まだ17歳になったばかりの2人ならば聞き出せるものがあるだろう。
 どんな手を使っても絶対ランク分けの条件を聞き出してやる。

「あ、あの? 」

 ジッと鋭い目線を向け続けられるのに耐えられなくなったのか、イリエラがルークに話しかけた。
 恐々と出された手はどちらが年上なのかわからなくさせる。

「ああ、すいません。ついイリエラお姉さんの顔に見惚れてしまって、僕の名前はルークです。よろしくお願いします」
「へっ!? き、綺麗ってそんな……はぅ」

 イリエラはポッ顔を赤らめ、顔に手を当ててくねくねとしている。それを見て密かにほくそ笑む。随分と初心なようで……これは簡単に聞き出せそうだ。

「ハハハッ! やるじゃねか坊主! 将来は女泣かせになるな、俺はマルコよろしく! 」
「ルークです、よろしくお願いします。マルコ先生 」
「お、おう。なんかこうむず痒いな……」

 笑顔で差し出された手をルークが笑顔で握り返すと、マルコはポリポリと頭をかきながら照れ臭そうにそう言った。
 どうやらマルコは先生という言葉に弱いらしい。
 これからは先生と呼んでみよう。

「これで自己紹介は済みましたね。ふぅー良かったです。遅く入寮していた君たち4人に2人を紹介するのを忘れてしまって焦っていたところでした」
「僕たち4人以外には紹介終わっていたんですか? 」
「ええ、君たちで最後です」

 へーそうなんだ。しかし、エルとユリアも俺達と同じで遅く入寮したんだな。慣れている感じだったから早めに入寮したのかと思ってたけど。
 でも、なんで研修生の自己紹介なんてするんだ? 授業が始まってからでもいいのに。というか、それが普通だよな。

「ルークくんは『なんでいま自己紹介をしたんだ? 』って思っていますね」
「……先生は超能力者ですか」
「いえいえ、大したことのない取り柄です。さて質問に答えましょう、それは早めにこれを済ますことによって教師と生徒の間を親密なものにするという考えがあるからです。研修生は生の子供と接し、経験を得られる。子供は親しみやすい先生と楽しく学生生活が送れる。両者ウィンウィンです」

 エイリヒはダブルピースサインを押し出し、ウィンウィンを強調する。その理屈は甚だ疑問を感じるんだが、そこんとこどうなんだろうか。
 それになにか意図を感じる。2人は情報を得られる貴重な人員かつ危険人物として気をつけておこう。

「あの、目の前にそれやられるとものすごい邪魔なので退けてください」
「おっと、すいません。つい興奮してしまいました。さて、用事も終わった事ですし私たちは退散するとしましょう。イリエラさん、マルコさん行きますよ」
「はいわかりました。エルちゃん、ユリアちゃん、クロエちゃん、ルークくんまたね」
「次は入学式か? それまで元気にな」

 エイリヒは腕につけた腕時計なようなものを見た後、踵を返した。引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、用を済ませたら颯爽と退散する。まるで嵐のような人だ。
 その人の元で副担任をする2人が不憫でならないな。

 ルークはエイリヒのあとを追う2人に同情の眼差しを送った。
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