ワールド・オブ・ランク

NTIO

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第15話

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「いい人達だったね! マルコって人、巨人みたいだった」
「それは私たちから見たらみんな巨人よ。 エイリヒ先生もイリエラ先生もマルコ先生も」
「でも確かにマルコ先生は大きかったです」

 体全体を使ってどれだけ大きかったか表現するクロエに、エルが野菜を口に運びながら答えた。
 ユリアはクロエに同意らしい。
 確かにマルコはものすごくデカかった。身長は180いや、190はあったかもしれない。しかもそれに加えて骨肉隆々ときたもんだ。受ける印象は相当大きいものだろう。

 ルークはキャッキャと会話する3人を眺めながら箸を進める。
 どうやら俺がいない間に早くも仲良くなったようだ。重畳。

「そういえば2人とも同じ部屋から出てきましたが、同室なんですか? 」
「そうだよ! ルークくんと一緒で良かったよ」
「それおかしくありません? 男女が同じ部屋ってなにかあったら……どうするんですか」

 クロエの言葉を聞いたユリアは、眉を潜めて訝しげな目をルークに向ける。ユリアがルークを見る目は犯罪者を見る時のそれだ。
 ルークはさすがに箸を止めて抗議する。

「ユリアさんや、そんな目で俺を見ないでくれ。『変態』って言われている気がする」
「違うんですか? 」
「違いますー 紳士ですー」
「そうですか、紳士(変態)ですね。わかりました」
「おい、いま変な言葉が聞こえたのは気のせいか」

 しかし納得したユリアはルークの言葉が耳に入ってないらしく、口に手を当ててブツブツとなにか呟いている。
 あまりにも小さすぎるので聞き取れそうにない。変態認定されたことに甚だ遺憾であるルークが訂正しようとしても無駄そうだ。

「アハハハ、ユリアはこうなると長いからほっといて食べましょ」
「……そうなのか? なら仕方ないか……」

 八つ当たり気味に肉を突いていると、エルが苦笑いを浮かべながらそう言ってきた。
 少なくとも自分たちより付き合いが長いエルがそう言うならそうなのだろう。
 ルークは仕方なく箸を進めた。勿論、変態認定を取り消す事は諦めるつもりはない。
 これは絶対だ。

「ねえルーク、聞きたいんだけどルークとクロエって仲がいいわよね。幼馴染ってやつ? 」
「ああ、そうだぞ。幼馴染だ」
「お姉ちゃんと弟なの」

 違うからな。俺がお兄ちゃんでクロエが妹だからな。ここんとこ重要。

「へーいいなー 私も欲しいー仲のいい幼馴染」
「ユリアは違うのか? 」
「ユリアも幼馴染だけど、男の子の幼馴染が欲しいのよ。ほら色々して遊べるじゃない? 」

 楽しそうに笑うエルは、とても可愛らしい。だがしかし、忘れてはいけない。
 エル一家はバイオレンス一家だ。隠し事をしたら血祭りにされるなどといったことを教えられている事からそのバイオレンスさがやすやすと想像できる。
 つまりエリートバイオレンスのユリアが言った遊ぶとは血みどろの遊びではないだろうか?
 ごくりと喉を鳴らして、問いかけた。

「エ、エル遊べるってどんな遊びをするつもりなんだ? 」
「ん? どうしてそんなこと聞くの? 」
「いやいや、変な意味じゃないんだ! うん。ただ、ただね、もしいたらどんなことするのかなーって気になっただけだから」
「なんだそっか。居たらかーうーん……おままごととか? 」

 返ってきた答えは随分と年相応の可愛らしいものだった。自分でもよく決めてなかったのか、首を傾げている様はこれもとても可愛らしい。
 ルークはバイオレンスなものじゃなくて良かったと息を吐く。

「おままごとかーいいね。うんうんすごく良いと思うよ。素敵なことだと思う」

 想像したことよりも遥かに良いもので安心してか、首を振って「良いことだ」というルークは気づいていない。目の前のエルが獰猛な目をしていることを。
 それに気づいていればもしかしたら悲惨な未来が変わったかもしえないが、運命は残酷なようだ。

「そうよね! 素敵なことよね! じゃあおままごとに付き合ってよ! ううん付き合いなさい! 」
「は? え? 」

 目を爛々と輝かせてピシッと人差し指を向けてくるエルに、突然のことでルークは意味のない言葉しか口から出てこない。
 しかし、それは彼女には関係ないことらしく次々とクロエ、ユリアを誘っていく。

「ねえ2人とも! ルークがおままごとに付き合うんですって! 明日私の部屋でやるんだけど、こない? 」
「え!? ルークくんおままごとやるの!? あんなに嫌がってたのに……うん! やるやる! ルークくんはわんちゃん役だぁ! 」
「良いですね~ ルークを犬ですか。楽しめそうです」

 両手を上げてバンサイの姿勢をとりながら恐ろしい発言をするクロエにクックックと黒い笑みを浮かべるユリア。
 ルークはそれを今すぐにでも止めたい気持ちで一杯だったが、おままごとの話をする3人の本来であれば癒されるはずの笑顔がとても表現んできないような恐ろしいものに感じて言葉を発することは出来ない。
 口から言葉を発しようとしても何かの圧力を受けているかのように閉じてしまうのだ。

 結局あの後幾度も挑戦したが、止めることは無理でしたまる。
 俺は一生この3人には逆らえないんだろうな。……やっぱり友達にする人間違えたかな?
 こうして急遽翌日ルークのおままごと参加が決定されたのだった。
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