51 / 180
第五章 攫われた看板娘を助けに行く理由(笑)
51話
しおりを挟む宿屋を営む者たちの朝は早い。
時刻は午前四時半を少し過ぎた頃合い、ベッドで睡眠中の少女がいた。
「う、うーん……」
少し大人びてきた年頃なのだろう、目が覚める予兆の呻き声に艶やかな色を混じらせながら彼女の意識が覚醒する。
白無地の寝巻きに、同色のナイトキャップを頭に被っており、その姿は少女らしい年相応な雰囲気を醸し出している。
「……はぁー、時間かな」
少し名残惜しそうにしながらも、自分の体温で暖められた布団から抜け出し、寝巻をおもむろに脱ぎ始める。
若く瑞々しい肉体が惜しげもなく晒され、母親譲りの大きな胸がたゆんと揺れる。
女性として均整の取れた体と、あどけなさが残る少女の顔は、ある者が見れば愛らしく、またある者が見れば異性として魅力的だと評価するだろう。
寝巻姿から普段の服に着替えたケイトは、自分の部屋を後にすると、外に設置された井戸で顔を洗う。
年中を通して温暖な気候に恵まれている王国であるが、さすがに顔を洗う時の朝の水は冷たい。
その冷たい水を顔に被り、眠気を飛ばすと、ケイトは従業員用の入り口から宿の受付へと移動する。
早朝ということもあって、宿泊客はまだ就寝しており、宿は静寂に包まれている。
そこに一人の見知った顔を見つけたケイトは、その人物に向かって朝の挨拶をする。
「おはようお母さん」
「ケイト、もう少し寝ててもよかったのに、昨日のお客さんの対応大変だったでしょ」
自分の娘にそう言いながら、ケーラは欠伸を噛み殺す。
寝不足といえば、彼女もまたほとんど徹夜で宿の受付をしていたので、寝不足度合いでいえばケイトよりも上のはずだ。
だが、そこは母親なのだろう、そんなことは微塵も感じさせずケイトの体調を気遣う。
昨日、ケイトが酒場でウエイトレスをしていた時に、酔った客に絡まれていたことを知っていたケーラは、疲れが残っているのではと心配していたが、当の本人はケロッとしているので、そこはさすがに慣れているのだなと感心する。
「大丈夫だよ。これでも【白銀の風車亭】の看板娘をやってるんだよ。酔ったお客さんの相手をしたくらいじゃ疲れないよ」
「そう、ならいいんだけどね。そうだ、朝の仕込み用の食材が足りなかったんだ。ケイト悪いんだけど、今から言うものを買ってきてくれないかしら?」
「うん、わかった」
ケーラはそう言うと、両腕を天井に突き上げ体を伸ばす。
だが、彼女がそのような態勢を取ってしまうと、当然のことながら胸を張ることになってしまい、服の上からでもわかるくらい彼女の豊満な乳房の形がくっきりと浮き出てしまう。
この世界で一般的な平民の女性は、あまり下着というものを身に付けない。
流石に、パンティーに似た形状の下半身に着ける下着は平民でも持ってはいるが、胸部を押さえておくブラジャーなどの下着は、王侯貴族か大商人の娘や妻が着ける程度だ。
そして、ケーラも平民の出であるため例に違わず、上半身に関してはいわゆるノーブラだ。
さらに、それに拍車をかけるように、Jカップはあろうかという凶悪的なものを持っている彼女のそれが、自己を主張しないわけがない。
実の娘であるケイトですら、彼女の形のいい乳房と均整の取れた体に思わず見惚れてしまうほどだ。
同性の家族である彼女ですらそうなのだから、これが異性であるならば、その蠱惑的な魅力に気付かないはずがない。
「もう、お母さんいつも言ってるでしょ。あまり胸を張るような仕草しちゃダメだって。他の男の人に見られちゃうでしょ」
「ふふ、別に減るものじゃないんだから見せてあげればいいじゃない。見るだけならタダなんだから」
そう言って、挑発的な笑みを浮かべ、さらに胸を張るものだから、ますます彼女の胸の形が強調されてしまう。
そんなやり取りをしたあと、ケイトはケーラに頼まれたお使いに行くため、彼女から買ってくる品物を聞いたあと宿を後にした。
余談だが、ケイトの父親であるヨハンもまたかなりの男前で、巷では美男美女のおしどり夫婦なんて呼ばれてたりする。
そして、ケーラが凶悪な乳房を持っているように、彼もまた体のある一部に凶悪なものを隠し持っているのだが、それはまた別のお話である。
宿を後にしたケイトは、そのまま市場に向かって歩き出す。
時間帯はまだお日様が顔を出し始めたばかりのため、まだ外は薄暗い。
漆黒の闇に包まれた真夜中というほどではないが、それでも街路の全てを見通すことはできないくらいには暗かった。
「そうだ、早く市場に着きたいから、近道しようっと」
そう独りごちたケイトは、大通りの道を進まず脇道に入って行く。
裏路地とも呼ぶべき場所を少し早足で進んでいると、突如としてケイトの進行方向に誰かが立ち塞がる。
(え? だ、誰?)
ケイトがそう考えていたその時、不意に首元にチクリとした痛みが走ったかと思ったら、そのまま視界が歪み始め意識が朦朧とし始める。
(え? な、なにこれ? か、体が思うように動かない)
まるで全ての感覚が麻痺したように動かなくなり、意識も次第に遠のいていく。
何とかしようと、動かない体を動かそうと試みるケイトであったが、そんな努力も空しく意識を失ってしまった。
――――――――――――――――
ちなみにケイトはGかHのどちらかです。
ピンクちゃんはGです。
ベティーはCです。
キャシーはFです。
秋雨が大通りを歩いている時に出会った牛の獣人お姉さんは……。
130
あなたにおすすめの小説
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる