オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)

こばやん2号

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2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」

73話:「今後の方針」

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大和との一騎打ちに敗北したベルゼは彼と共に妹のもとに帰還した。
帰ってくるととても残念そうな表情を浮かべたリリスが出迎えてくれた。
その表情は一騎打ちに負けた残念さとどことなく安堵した感情が入り乱れたもののようで
ベルゼにとってどこか安心感を与えてくれる顔であった。

「姉さま、残念でしたね。」

彼女の整った眉毛がへの字に曲がり、難しい顔をした妹が声を掛けてくる。
それに対し姉としての威厳と体裁を保つべく言葉を紡いだ。

「そうね今回は勇者に勝ちを譲ってあげたわ。
 まだこの世界に来たばかりでいきなり死ぬというのも可哀そうでしょ?」

だがリリスもベルゼも理解していた。
この任務は直属の上司であるメフィストの勅命ちょくめいだということを
彼の命令は絶対なるものであり何よりも優先される。
だからこそ失敗は例え幹部であろうとも許されるものではなかった。

「そっそうですね! 相手に情けをかけるというのも時には必要かと思います!」

何か言葉を掛けなければならないと察知したリリスは
ベルゼの言い訳じみた言葉を肯定することでなんとかその場をやりすごすことに成功する。
だがこのあと待っている運命を知っているからこそ二人とも押し黙ってしまう。

そんな状況をみかねてベルゼは大和に声を掛けることにした。
だが、それが間違いだったとベルゼは後悔することになり足早にその場を立ち去るのだった。




大和たちのもとから去ったあと二人はすぐに本拠地の城に戻り
メフィストに事の顛末を報告するため玉座の間に向かった。

「あんっ! ちょっちょっとメフィストさまぁ~。 そこはだっだめですぅ~」

玉座の間に入るとそこには聞き覚えのある声が聞こえてくる。
【美人魔族三姉妹】の長姉であり。
メフィスト陣営の実質的なナンバー2でもある人物
グレモリー・グレゴリアその人であった。

メフィストに与えられた任務の報告をするために戻ってきたのだが
目に飛び込んできたのは二人が想像した通りのものだった。
玉座に腰を掛けたメフィストの膝の上にグレモリーが身体をくねらせて身悶みもだえている。
その原因は言わずもがなメフィストが彼女の後ろから二つの膨らみを揉みしだいているためだった。

「はあはあ・・・・・・」

グレモリーの呼吸は荒々しく吐いた息が湯気となって見えるほど熱を帯び
頬は赤く平時よりも体温が上昇しているのが見て取れた。
表面積の少ない衣装から見える玉のような肌は
汗がしたたあでやかな光沢を纏わせながら色香をまき散らす。

「やっぱりグレモリーのは最高だよっ!」

彼女が恍惚の表情を浮かべる原因を作っている張本人が
鷲掴みにしている二つの双丘に力を込めながら宣う。
彼が指に力を込めるたびに彼女の持つ柔らかな球体がぐにゃりと形を変え
その度に彼女の口から雌の喘ぎ声が漏れ聞こえ静寂に包まれた玉座の間を支配する。

「「・・・・・・」」

いつものことながら二人のあまりの行為に目のやり場に困っていると
メフィストがこちらに気付き声を掛けてきた。

「やあ、戻ってきたようだね」
「ただいま戻りました・・・・・・」
「・・・・・・」

玉座から少し離れたところで片膝を付き平伏する二人。
グレモリーを膝の上から降ろすと玉座に座りなおしながら
二人の見て満足そうにメフィストは頷く。

「それでどうなったの? 報告を聞こうか?」

いつもと変わらぬ優しい穏やかな口調でありながら
絶対者としての威圧感を漂わせる彼を前に二人の体が硬直する。
本人は威圧しているわけではないのだがこれから報告する内容によっては
最悪の場合、命を奪われる可能性がある。

「・・・・・・」

そのことを思い浮かべてしまったため報告すること躊躇してしまう。
それを怪訝な表情で見据え問いかけてくる人物がいた。

「何をしているのベルゼ? 早く報告をしなさい」

先ほどまでの欲情した雌の顔から涼しい顔に戻っているグレモリーがベルゼの報告を促す。
さっきと態度が全く違う姉に心の中で「なんて変わり身の早い姉だこと」と思いながら
覚悟を決めて重々しい口を開いた。




全てを報告し終わった後、玉座の間には重々しい空気と静寂が包み込んだ。
ベルゼとリリスはあまりの空気に跪いたまま顔を上げることができずにいた。
そんな空気を破ったのはグレモリーだった。

「何をやっているのあなたたち!! それでも誇りあるメフィスト軍の幹部なの!!」

憤りの感情を携えながら腕を組み叱責の言葉をベルゼ達に投げかける。
組んだ腕のせいで彼女の大きな膨らみが強調されなんとも魅力的だった。
二人はその叱責を黙って受け入れ謝罪の言葉を口にする。

「申し訳ございません! この上はどのような罰も受ける所存にございます!!」
「この失態許されるものではありません何卒厳正な処罰を!」

二人とも心からの謝罪をし許しを請う。
そして、メフィストは玉座からスッと立ち上がると二人のもとへと歩み寄る。

「二人とも顔をお上げなさい。 これより罰を与える」

その言葉に一瞬ビクリと肩を震わせると覚悟を決めて顔を上げた。
そして顔を上げたその瞬間二人の頬に痛みが走った。

「えいえい! 二人は悪い子だ悪い子だ!!」

見るとメフィストが二人の片方ずつの頬をつねっていたのだ。
まるで悪戯をした子供を叱りつけるような口調のメフィストは
さながら優しいお父さんのようだった。

ひとしきり頬を抓ったあとようやく解放された二人は
痛みの残る頬を抑えながら再び平伏する。

「別に今回の任務、失敗しても僕は責めるつもりはなかったよ?
 ただヤマトが勇者としてどの程度の強さか調べてきてくれれば
僕はそれで満足だったから」

そう言いながら肩を竦める主人に安堵の表情を見せる二人
そして、少し真面目な雰囲気を作ったメフィストが話を続ける。

「それにしてもまさか彼が最上級魔法マキシム・マジックまで使いこなすなんて
もしかするとこの僕よりも強いかもしれないな」

その言葉にその場にいる全員が目を見開くと同時に即座に反論する。

「メフィスト様より強い存在などこの世には魔王様しかおられません!!
 そんな勇者如き次は私が血祭りに上げて御覧に入れましょう!!」

深紅のつややかな髪をかき上げグレモリーが高らかに宣言する。
その言葉にニコリとほほ笑むと穏やかな口調で答える。

「そうだねその時が来たら任せるとしようか」
「はいっ! お任せくださいメフィスト様!!」

黄色い声でそう答えるグレモリーだったがすぐに真面目な声色に戻ると
メフィストに今後のことについて質問する。

「それで今後勇者についてはいかがいたしましょう?」
「そうだね今の彼の現在地を考えるとあと10日経たないうちに
【ドグロブニク】に到着しちゃうから・・・・・・」

そこで彼は一旦言葉を切って逡巡した後再び口を開いた。

「もうしばらく泳がせておこう!」

「メフィスト様、お言葉ですがここは早いうちに始末すべきかと愚考いたします。
 あとになればなるほど勇者の存在が再び人間どもに逆らう気力を与えることにもなりかねません!!」

「確かにグレモリーの言うことも最もだけど
ヤマトの実力が知れた今下手に動くとこちらが手ひどい火傷を負う可能性があるんだよね」

テラント級という魔法を行使できることですらかなりの実力者なのにも関わらず
その上のマキシム級という魔法が使えるというのであればこれは由々しき事態なのだ。
場合によってはメフィストと同格の派閥と共闘する可能性も視野に入れねばならないと彼は考えていた。

「それに・・・・」

メフィストは一旦言葉を切るとグレモリーのもとに歩み寄りそのまま
彼女を抱き締めると彼女の体を持ち上げながらくるくると回転する。
そして、数回転したあと回転を止め彼女を降ろすと甘い声で囁いた。

「君を危険な目に会わせたくないしね・・・・」

「メフィスト様・・・・・・」

お互いに見つめ合うと二人はどちらからともなくお互いの唇で口を塞いだ。
ベルゼとリリスはもはやその状況を呆然と見つめるしかなかったのであった。
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