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2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」

75話:「呪いが解けた原因は?」

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大和はその光景を見て愕然としていた。
この世界に来ていろんなことを体験してきた経験が
もう驚くことはほとんどないなと高を括っていた大和だったが
まだまだこの世界には彼の想像を絶する事がまだまだあるようだ。

「・・・・・・」

そこには一人分には過分すぎるほどの料理が所狭しと並べられ
肉・魚・果物などの未調理の食材も多数存在していた。
その料理や食材の中心に見知った人物がいた。
呪いが掛けられていた町の代表者であるバルバロだった。

「ふふぉ! ふぉれふぁふーふぁふぉふぉ!!」
(おお! これは勇者殿!!)

口いっぱいに料理を頬張る姿はまるで餌に群がる家畜を想像させたが
彼と仲違いしたいわけではないのでここは空気を読んで黙っておいた。

「バルバロ殿・・・・食べるか喋るかどっちかにしてくれ・・・・・・」

そんなわけでしばらくバルバロが料理を食べる光景を見させられることになってしまった。
十五分ほどして満足したのかバルバロはようやく一息ついた様子だった。

「いやー申し訳ない勇者殿、一か月ぶりのまともな食事だったんで
ついつい食事に夢中になってしまいました」

そう言いながらも果物をつまみながら話すバルバロを見て
大和はため息を漏らすが彼に問いかける。

「これだけ食べているということは呪いは解けたのか?」
「ええおかげさまで味が感じられるようになりました。
 これもひとえに勇者殿が魔物を退治してくれたお陰です」

そう答えるバルバロだったがどうにも解せない点があった。
大和たちは魔物など退治していないからだ。
町の人々に呪いをかけているという魔物が住み着く洞窟に行ってみたものの
そこにいたのは精霊と名乗るノームだけで他に目ぼしい魔物などいなかった。
ということはノームがその魔物なのかと言われれば些か疑問である。

大和は自称ではあるが勇者を名乗っている。
だがその名は伊達ではなくちゃんと実力が裏付けられた結果によるものである。
だから一目見れば邪悪な存在は一発で看破できてしまうのだが
ノームにはそういった類の邪悪さは微塵も感じられなかった。

ノーム自体が力を持った存在で
本当の力を隠蔽しているのであれば話しは別だがそんな様子も感じられない。
つまりは何がきっかけでバルバロたちの呪いが解けたのか大和は皆目見当が付いていなかったのだ。
大和の性格からしてわからないものをそのままにしておくのは気持ちが悪いので
ここは素直にバルバロに事情を説明してこの状況から結論を導くことにした。

「なっなんですって! 魔物を退治していないですと!?」

予想していたよりもバルバロの驚愕は大きかった。
先ほどまで感謝の言葉を述べていた朗らかな表情とは一転して焦りの表情を湛えている。

「でも呪いは解けたんだろ、何か心当たりはないか?」

「わかりません。 特にこれと言っていつもと違うことをしたわけでもないですし・・・・」

「ボキが説明するだっぴゃ!!」

突然現れた謎の生物Xにバルバロは飛び跳ねるように驚く。

「なんだこの生き物は!! まさかコイツが例の魔物じゃないだろうな!?」

「違うだっぴゃ! ボキは地の精霊ノームだっぴゃ!!」

そんなこんなで自己紹介を済ませたノームは
今回の件についての原因を語り出した。

「今回この町の人間が呪いにかかったのは魔の洞窟に住み着いていたモンスターが出す瘴気が原因だっぴゃ!」

「瘴気?」

「そうだっぴゃ! 瘴気とはモンスターが出す負のエネルギーで
人間がこのエネルギーを浴びてしまうと今回のように身体異常が出ることがあるだっぴゃ!!」

「その瘴気をこの町の人たちが浴びたことで食べ物の味がわからなくなったと?」

「だっぴゃ!!」

なるほどと大和は納得した。
だが今まで沈黙を貫いていたリナたちが話に割って入る。

「魔の洞窟で発生した瘴気がこの町に降り注いだわけですか。
 でもそんな危ないものが今までよく洞窟にとどまっていましたね?」

もっともらしい質問をリナがする。
こういう真面目なところは大和としては嫌いではない。
口が裂けても本人には言わないが・・・・・・

「ボキがモンスターを洞窟から追い出してしまったからだっぴゃかな?」

「えっ?」

今それらしい原因をノームが言った気がする。
ほぼ間違いなくそれが原因だろう。

「やっぱりお前が洞窟の魔物だったんじゃないか!!」

ノームの言葉で激昂するバルバロ。
そりゃ一か月も食べ物の味がわからなかったんだ。
その原因を作った奴が目の前にいたらそりゃ怒鳴りたくもなるだろう。

「ごめんだっぴゃ・・・・」

ノーム本人もこんな事態になるのは予想できなかったようで申し訳なさそうにしている。

「でもどうして急に呪いが解けたですのん?
 呪いと言うからには術を掛けた者を倒さなければ呪いは解けないと思うですのん」

マーリンの問いかけにノームが答える。

「それはきっと洞窟から吐き出された瘴気が薄くなって
人間たちの身体異常、呪いが無くなっただっぴゃ!」

ともかく呪いの原因がモンスターの瘴気だということがわかりホッとする一同。
ひと騒動あったこの呪い事件も一件落着を迎えたのであった。
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