79 / 162
2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」
77話:「不思議な霧」
しおりを挟む現在大和たち勇者一行はアース大陸最西端の港町である【ドグロブニク】へと向かうため
着実に馬車を走らせているところだ。
彼らがバルバロたちの町から出立してから早3日が経過している。
このままの速度で進んでいけばあと2、3日後には目的地に到着するはずだ。
「ヤマト様? この間の宴のことなのですが」
「うん? なんのことだ?」
あくまでもしらを切り続ける大和。
大和の悩殺笑顔で失神した翌日リナたちは宴のことはほとんど思えていなかった。
宴ということもあり多くの酒が振舞われた。
当然町を救ってくれた英雄である大和たちには飲みきれないほどの酒が
テーブルに並べられていたのだ。
ちなみにこの世界での飲酒をしても良いとされる年齢は15歳だと聞いた。
リナ17歳、マーリン約300歳、エルノア・・・・エルノア・・・・・・ってあれ?
そう言えばエルノアって何歳だったっけ?
ふとそんな疑問が頭の中に浮かんだため本人に直接聞いてみることにした。
「エルノア、ちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」
「はい、なんでしょうか?」
「お前って年はいくつだったっけ? 聞いてなかったよな?」
そう言うとエルノアの顔が少し曇ったが小さく呟くように答えた。
「26です・・・・・・」
そう言いながら体をもじもじとさせどこか恥ずかしそうに俯く。
大和はほんとうに興味本位で聞いただけだったので「そっか」とだけ答えておいた。
だがそれだけで済めばよかったのだがそうは問屋が卸さない。
「あれれ~、エルノアさんって結構おばさんなんですねえ~」
その明らかに冗談めいた口調でエルノアに話しかけたリナだが
それを挑発と受け取った彼女が眉間に皺を作りながら反論する。
「そうですね。 あなたのようにお子ちゃまではなく
大人の色気を身に着けた女性ということですよ・・・・」
そのエルノアの反論によって二人の間に戦いのゴングが打ち鳴らされた。
その後の展開はいつものように大和のチョップが二人の頭頂部に直撃し事態は収拾する。
かなり脱線してしまったが話をもとに戻そう。
宴の席ではかなりの酒が振舞われていたがために三人ともベロベロとはいかないまでも
かなり酒が入っていたのは間違いない。
だからこそあの時の大和の悩殺笑顔は夢だったと勘違いする結果となり
大和がこれ幸いとばかりにそれに乗っかる形でごまかしたのであった。
だがしかし、二人はごまかせたとしてももう一人の年上の女性には通用しなかったようで
馬車を操る大和の隣に彼女がやってきて二人に聞こえないように呟く。
「この間のヤマトさんの笑顔素敵でしたですのん・・・・
マーリンはちゃんと覚えてますのん!」
そう呟くと大和は目を見開いて彼女を見た。
そこにはどこかいたずらっ子のように笑う無邪気な顔と
年下の男を掌でコロコロと転がす大人の女性の顔が垣間見れた。
その時大和は彼女には隠し事ができないかもしれないと思い
今後の彼女との付き合いを想像して思わず苦笑いを浮かべるのであった。
バルバロたちの町から出立して3回目の昼食と休憩をとったのち
再び馬車を走らせる。 御者はリナが操っている。
しばらく進んでいると前方に広範囲にわたって霧とも靄とも呼ぶべきものが広がっていた。
それを見た大和たちは3日前に聞いたバルバロたちの言葉を思い出していた。
「道中お気を付けてください。 噂によるとこの先に人を惑わす霧が発生しているとのこと。
まあ勇者殿でしたら心配はいらないでしょうがね、はっはっはっはっ!!」
そんなセリフが頭の中に響き渡っている中、馬を操るリナが霧の手前で馬車を止める。
全員馬車から降りると改めて目の前の白いものを確認する。
「霧・・・・だよな?」
「霧ですね・・・・」
「霧です・・・・」
「霧ですのん・・・・」
「霧だっぴゃ・・・・」
ってか一匹増えているノームのことは華麗にスルーしつつ率直な感想を述べ合う4人。
その言葉の通り眼前に広がっているのはただの霧にしか見えないものだ。
ただそれは自然的に発生している気象現象とは違い何者かの意図した力が働き
その場に顕現した魔法的なものという感覚があった。
つまりこの霧は誰かが何かの目的で張り巡らせた
なにかしらの効果をもたらす魔法というのが大和の最初に感じたものだった。
どうやらそれは他の三人も同意見だったようでそれぞれ怪訝な表情を浮かべていた。
「ヤマト様これは誰かが作り出したものみたいですね。
見たところ罠というよりも守り、守護するという類の魔法みたいですけど
どうしましょうか? このまま突入しますか?」
神官の立場から解釈を述べたのはリナだった。
リナの言葉を肯定するようにマーリンが続いた。
「リナさんの言う通りこの感じは罠よりも障壁、シールドやバリアといった系統の魔法みたいですのん。」
最後にエルノアが自分の意見を述べた。
「ヤマトさまどうされますか? あなたの判断にあたしは従います。
この身も心も全てあなた様に委ねておりますればっ・・・・」
途中から変な戯言に変わったので意識を目の前の霧に向けることにした。
確かにリナとマーリンの言う通り罠よりも障壁の役割を担っている感じだが
一度中に踏み込んでしまうとこの魔法をかけた術者の術中に嵌る可能性が高い。
そのことを鑑みて大和は魔法による解除ができないか試みることにした。
「三人とも少し下がってくれ!」
大和の声に従い彼から数メートルの場所まで下がった三人。
ノームはお得意の精霊空間に隠れているので心配はない。
仲間の安全を確認すると大和はまずこの霧の正体を探るべく探知系の魔法を唱えた。
「超絶級魔法 (テラント・マジック) アドバンスマジック・ディテクション!!」
【アドバンスマジック・ディテクション】、探知系魔法の中でも最上クラスに位置する魔法であり
この魔法で探知できないものはマキシム級のみとされている。
魔法が発動され大和のウインドウに情報が表示される。
魔法名
【ファントム・ミスト】
階位
【ギガント級】
効果
【この魔法の効果範囲に入り込んだ敵は術者が作り出した幻術により阻まれ
霧の向こう側に行くことができなくなる足止め系魔法である。
術者の意思次第でこの空間に閉じ込めることも可能】
とのことだった。
「ギガント級か、思ったよりも強力な魔法のようだな・・・・よし!」
大和は意を決したようにファントム・ミストを打ち破るべく更なる呪文を唱えた。
「霧散せよ! 超級魔法 (ギガント・マジック) ソーサリー・ディスパース!!」
【ソーサリー・ディスパース】、解呪系魔法の一つで
主に持続的に効果を発揮する魔法に対して有効で。
対象の魔法を一つ解除するというものだ。
大和が唱えた呪文の効果によって霧が晴れていき
まるで最初から何もなかったかのように消えた無くなった。
「流石はヤマト様、お見事です!」
大げさに持ち上げてくるリナを軽く無視すると先に進むため馬車に戻ろうとした瞬間
大和の背後から巨大な岩の塊が飛来し、彼のすぐ横を通り過ぎていったかと思ったら
その先にある森の木をなぎ倒していきようやく止まった。
「なっなんだ!?」
突然の出来事に戸惑う大和。
状況確認のためすぐさま後ろを振り返り見ると
そこにはとんでもないものが待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる