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第2章:パーティーができあがるまで
22話:「初めての洞窟探検」
しおりを挟むベルガから詳しい話を聞くと、どうやらこの村の北東にある洞窟に
モンスターの群れを束ねるボスが根城としている場所があるらしい
村にやってきた瞬間に面倒事に巻き込まれるなんて
全くRPGに出てくる勇者はこんな気持ちだったのかと考える大和
大体の事情は呑み込めたのでベルガに詳細を話す。
「とりあえず今日は休んで、明日その洞窟に行ってみます。」
「おお!引き受けてくださいますか!!」
「ありがとうございますじゃ、勇者様!!!」
そう言って地面に顔がめり込むんじゃないかというぐらいに
土下座をするベルガ。
頭を上げてくださいと慌てて大和が言った
その後村長の家で食事をご馳走になった
粗末な食事ではあったが、見た目に反してとても美味だった
明日は早くに出かけるため、早めに床に就いた
リナが大和と同じベッドで寝ようとしたが
大和がリナにヘッドロックをかまして落とし
そのまま強制的にもう一つベッドにぶち込んでおいた
一仕事終えた大和はふうとため息を吐き深い眠りへと身を預けた
翌日目が覚めた大和は村長の家を出て
朝の新鮮な空気を肺に目一杯取り込む
村の様子はモンスターの襲撃があったためだろう
少し殺伐とした雰囲気があり
それぞれの家にモンスター襲撃の爪痕が生々しく残されていた
朝食の準備ができたらしく、リナの呼び声が聞こえた
大和は村長の家で朝食を食べた後
ボスがいるという北東の洞窟に向けて出発した
出発する時に村人総出で見送ってくれたのが
少しむず痒い気持ちになったが
村人の助けてほしいという純粋な気持ちに
応えたいという気分になるには、十分すぎるほどの出来事であった
洞窟に向かっている途中にリナが話しかけてきた
「ヤマト様、本当によかったのですか?」
「何がだ?」
「その、あんなに自分は勇者じゃないって言ってたのに。
村人たちのお願いを聞いてあげるなんて」
その言葉に大和は軽蔑の眼差しを向けながら答えた
「お前さ、俺を何だと思ってるの?
目の前に助けを求めてる人がいて、自分が助けられる力があるなら
俺は迷うことなくその人たちを助けるよ」
「俺は勇者でもないが、かと言って悪魔でもないんだから」
その言葉を聞くとリナの目はうるうると輝き始めた
「いいえ、弱き者を助けるその優しさと
悪しきものを倒すという強き心」
「ヤマト様は正真正銘の勇者様です。」
そう自信をもって断言するリナ
その顔があまりにも美しくまた自分に向けられている目に
恋愛感情的な何かを感じた大和は
急に恥ずかしくなりリナから逃げるように速足で洞窟へと向かった
リナの「待ってください」という声が聞こえたが
聞こえないふりをして進んでいった
しばらく歩いていると、スライムやスケルトンといった
比較的に弱いモンスターが出現するようになってきた
(もちろん全てリナに戦わせた)
そして、さらに歩き続けること半日
すでに頭上にまで日が昇って来てはいたが
ようやく目的地の洞窟にたどり着くことができた
「よし、ようやく着いたな・・・」
「はあはあはあ・・・ちょちょっとヤ、ヤマト様?」
「なんだ?」
「きゅ休憩、休憩しましょう・・・」
実はここに到着する前に
スライム3匹とスケルトン2匹の群れに出会い
そのすべてをリナに戦わせていたのだ
「助けてください」と懇願されたが
見た感じ死にそうにはなかったので
「それぐらいお前一人で何とかしてみせろ」と言ったのだ
その時のリナの驚愕と絶望に満ちた顔は
今でも鮮明に覚えている
その顔を思い出し、吹き出しそうになるのを堪えながら
リナの提案に同意した。
2時間ほど休憩&昼食を食べ、洞窟に侵入する準備をする
準備と言ってもせいぜいヴァルボロスとの戦いで装備していた
防具と武器に着替えるだけなのですぐに準備は終わったのだが
リナの準備にものすごく時間がかかってしまい
これだけの時間となったのだ
本人曰く、「女の子には何かと準備があるんです」だそうだ
なんの準備があるのか知らないが
待たされる人間の身にもなってほしいものだ
そう思って待っていると準備が終わったのか
リナが洞窟に到着した時に張ったテントから姿を現した
「お待たせしました!!」
どんな準備をしたのかしげしげと大和は観察してみたが
服装はいつもの神官服だし、武器もいつもの神官が使うロッドだし
見た目では何一つとして変わってはいなかったため
本人に直接聞いてみた
「おい、何の準備をしてたんだ?」
そう言うと自信満々のドヤ顔でリナは答えた
「決まってるじゃないですか、ヤマト様が洞窟探検中に
いつ欲情してもいいように勝負下ぎ・・・」
そう聞こえた瞬間大和はリナにアッパーを打っていた
「そんなことで、時間を取るなああああ!!」
リナの体が宙を舞い、芸術的な弧を描いて
地面に着弾する。審査員がいれば10点満点の札が出ていたことだろう
「さあ、下らんことで時間を無駄にした」
「とっとと入るぞ」
「あ゛い」
時間を無駄にしている自覚があったのか
はたまた今の大和に逆らわない方がいいと判断したのか
素直に大和に従うリナ
洞窟に入るとそこはジメジメした空気と
重苦しい空気が入り混じった空気が漂ってきた
アイテムボックスから松明を取り出した大和は
洞窟の奥に向かって歩き出す
空気の重さを肌で感じ取ったのか、リナが大和の服の裾を掴んでくる
「なんだリナ?お前もしかして怖いのか??」
悪戯心が芽生えてしまい、少し意地悪な質問をする
「そそそんなわけ、ななないじゃ、ないじゃないですか!」
明らかに動揺しているリナ
まあ初めての冒険なのだ、不安になるのは仕方がない
むしろ俺だってできればこんな洞窟自分から入りたくはない
大和は彼女の不安を拭いさるため
裾を掴んでいた手を取って彼女と手を繋ぎながらそのまま進み始めた
手を握った瞬間「ひゃん!」という小さい悲鳴を上げるリナ
大和の行動に少し驚いたのだろう
だが、次の瞬間「うへへへ」という気持ち悪い笑いを上げていた
「やっぱ、離してくれ」
そう言ってリナの手を離そうとするが
両手を使ってそれを拒否するリナ
「いやです!死んでも離しません!!」
必死の形相で大和の手を離そうとしないリナ
だがその顔はなんとなくだが
疚しい気持ちから来てるのではないと感じたため
静かな優しい口調で話をする
「わかった、だが一つ頼みがあるんだが
さっきの気持ち悪い顔はやめてくれ・・・」
「むぅーーー、・・・わかりました・・・」
ふくれっ面になったが、一応は理解してくれたようだった
二人で手を繋いだまま洞窟内を進んでいると
少し開けた大きな広間のような空間にたどり着いた
「ここはなんだ?」
「わりません、広間みたいですけど・・・」
その直後、他の道に通じている穴から
スライムやスケルトン、ヴァンパイアバットというこうもりが
数十匹という群れを成して現れた
大和一人で何とかなる相手だが
リナを庇いながら戦うとなると、さすがに厳しい
状況確認のためリナの現在のステータスをモニターで確認すると
彼女の使える魔法一覧に新たに追加されている
魔法があることに気付いた
「リナ!お前ウインドサイクロンが使えるようになってるぞ
それをモンスターの群れに使うんだ!!」
ウインドサイクロン、中級神官が覚えることのできる魔法で
複数の敵を巻き込みながら攻撃ができる神官系攻撃魔法の一つである
「えっ!?今ここでですか?」
「助かるにはそれしかない、やるんだリナ!!」
「わかりました、やってみます!!」
そう言って腰に下げていたロッドを手に持ち
片手で持ちながらもう片方の手をロッドにかざし
何やら呪文のようなものを唱えるリナ
そして、詠唱が終わると魔法を行使する
「中級魔法(セカンド・マジック) ウインドサイクロン!!」
魔法を唱えるとモンスターの群れを中心として
洞窟いっぱいの範囲に竜巻が起こり
モンスターの群れを全て巻き込んで吹き飛ばした
「やったあ、成功しました!」
「ああよくやった!!」
彼女が初めて使った魔法の成功を素直に祝福する大和
初めて使う魔法の成功に喜ぶ彼女の太陽のような笑顔は
とても輝いていて、可愛らしかった。
(もちろん口に出すと調子に乗るので口には出していない)
大和は独身だが子育てで、子供が成長する喜びとは
こういう感情なのだろうかと思った
そのまま広間を後にし、洞窟の最奥である場所に
一体のモンスターが待ち構えていた
大和たちを視認すると、その魔物は二人に話しかけてきた
「何者だ、どうやってここまでたどり着いた?」
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