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第11話:久しぶりに診療所と実家に行きます【前編】
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ルーク様の治療を始めて2ヶ月が経った。顔の湿疹もほとんど消えた。残すは耳の後ろに少しあるくらいだ。
「ルーク様、随分と湿疹も消えましたね。後少しで完治しますから頑張りましょう」
「もちろんだよ!湿疹が完全に消えるまでは、引き続き治療をしっかり頼むよ。もちろん、まだ家に帰すつもりも無いからね」
そう言ってにっこり笑ったルーク様。それにしても、ルーク様の笑顔は殺人級に美しい。素顔が露になってから、2週間近く経つが、未だにこの美しさには慣れず、つい目をそらしてしまうのだ。
「セリーナ、どうしたんだい?急に目をそらして!」
「いいえ、何でもありませんわ!」
あなたが美しすぎて、目のやり場に困るのです!なんて言えないわよね。
「ルーク様、今日は午後から少し出掛けて来ますね」
久しぶりに一度診療所に顔を出そうと思っているのだ。この2ヶ月、公爵家から一度も出ていないから、きっと診療所の皆も心配しているだろう。それに、時間があれば実家にも寄りたい。
昨日公爵様に許可を取ったから、早速今日行く事にした。
「セリーナ、僕を置いて一体どこに行くんだい?もちろん、僕も行くよ。君1人じゃあ心配だからね。」
「でも、ルーク様は外に出たくないと、昨日も駄々をこねていたではありませんか?」
「人を子供みたいに言うのは止めてくれ。僕は君を置いて外に出るのは嫌だと言ったんだよ。君と一緒なら、どこにでも行くよ!それで、どこに行くつもりなんだい?」
「診療所と実家に行こうと思っていますの。2ヶ月間一度も顔を出していないので」
「ふ~ん、診療所ねぇ」
なぜか不満そうなルーク様。診療所に行くのが嫌なのかしら?
「別に1人で行けますので、ルーク様は屋敷で待っていてください。それでは、行って来ますね」
さっそく出掛けようとしたのだが、なぜか腕をがっちり掴まれた。
「僕も行くって言ったよね!それより、何でそんなに診療所に行きたいのだい?もしかして、好きな男でもいるのか?そうなのか、ちゃんと答えてよセリーナ!」
物凄い勢いで迫って来るルーク様。あまりの迫力に、恐怖すら覚える。
「そんな男性はいませんわ!ただずっと休んでいたので、そろそろ顔を出した方がいいかと思っただけです」
「本当にいないのか?」
「だから、いませんって」
もう、いないって言っているのに、どうしてそんなにしつこく聞いて来るのかしら?全く理解できない。
「わかったよ、それじゃあ、早速行こうか。男がいないなら、僕が付いて行っても問題ないよね」
どうやらまだ疑っている様だ。そもそも、私に男がいようがいまいが、ルーク様には関係ないと思うのだが…
がっちり手を握られ、馬車に乗せられた。しばらく走ると、懐かしい診療所が見えて来た。
「あそこが、私が働いている診療所です」
「へ~、あそこがセリーナが以前働いていた診療所か。結構大きいんだね」
以前働いていたって…ルーク様の治療が終わったら、また戻るつもりなんだけれど…
複雑な思いを抱えながら馬車から降り、さっそく中に入って行く。
「皆、久しぶり。元気にしていた?」
「まあ、セリーナじゃない!久しぶりねって、お隣の超絶美少年は一体誰?セリーナの彼氏?」
「いいえ、彼は…」
「へ~、治癒師って女性が多いんだね。初めまして、ルーク・ファーレソンと申します。ここで働いていた時は、随分とセリーナがお世話になっていたみたいで、ありがとうございます。これ、皆様で食べてください!」
いつの間に準備したのか、お菓子を同僚に手渡すルーク様。なぜか私は、ルーク様にがっちり肩を抱かれている。
「まあ、あなた様がファーレソン公爵令息様なのですね。それにしてもセリーナ、あなた随分大物を捕まえたのね。でもあなたは昔から、患者さんからも何度も告白されるくらい人気が高かったものね」
そう言ってニヤニヤ笑う同僚。完全に誤解している。これは早く誤解を解かないと!そう思ったのだが…
「へ~、やっぱりセリーナはモテるんだね」
そう言うと、なぜがジト目で私を睨むルーク様。何で私が睨まれなきゃいけないのよ!完全にパニックになっているところに、所長がやって来た。
「やあ、セリーナじゃないか。お隣りの方は?」
「ルーク・ファーレソンと申します」
「あなたがファーレソン公爵令息様か。随分元気になられたのですね。さすがセリーナだ」
「はい、お陰様で元気になりました。でも、まだ完治したわけではありませんので!」
そう言って、所長に湿疹を見せるルーク様。
「ちょっと、ルーク様!」
緑の湿疹を見て、固まる所長と同僚。
「それでは、僕達はこれで。ほら、診療所はもういいだろ。早く君の実家に行こう」
えっ、もう行くの?まだ皆に挨拶が出来ていないわ!
「ルーク様、まだ皆に挨拶が出来ていませんわ」
そう訴えるが、なぜか無視して馬車へと乗り込むルーク様。
「それにしても、やっぱり君狙いの患者が多数いたんだね。今日一緒に診療所に来てよかったよ」
なぜか訳の分からない事をブツブツ呟いているルーク様。
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。同僚が面白おかしく言っていただけで、事実無根ですわ」
「それじゃあ、患者に一切手紙やプレゼントなどを貰ったことはないと言うんだね?」
「それは…」
そう言えば何度か手紙やプレゼントを貰ったり、食事に誘われたりしたわね。
「ほらみろ!やっぱり君狙いの患者が沢山いたのだろう!本当に、油断も隙もありゃしない!」
なぜかプリプリ怒っている。そもそも、私狙いの患者がたとえいたとしても、ルーク様には関係ないと思うのだけれど…
「それより、次は君の実家だね。楽しみだな」
そうだ、次は私の実家に行くのよね。きっとルーク様を連れて行ったら、お父様もお母様も腰を抜かすわ。お父様、変な誤解とかしないといいけれど…
診療所でのルーク様の様子を見ていたセリーナは、一気に不安になったのであった。
「ルーク様、随分と湿疹も消えましたね。後少しで完治しますから頑張りましょう」
「もちろんだよ!湿疹が完全に消えるまでは、引き続き治療をしっかり頼むよ。もちろん、まだ家に帰すつもりも無いからね」
そう言ってにっこり笑ったルーク様。それにしても、ルーク様の笑顔は殺人級に美しい。素顔が露になってから、2週間近く経つが、未だにこの美しさには慣れず、つい目をそらしてしまうのだ。
「セリーナ、どうしたんだい?急に目をそらして!」
「いいえ、何でもありませんわ!」
あなたが美しすぎて、目のやり場に困るのです!なんて言えないわよね。
「ルーク様、今日は午後から少し出掛けて来ますね」
久しぶりに一度診療所に顔を出そうと思っているのだ。この2ヶ月、公爵家から一度も出ていないから、きっと診療所の皆も心配しているだろう。それに、時間があれば実家にも寄りたい。
昨日公爵様に許可を取ったから、早速今日行く事にした。
「セリーナ、僕を置いて一体どこに行くんだい?もちろん、僕も行くよ。君1人じゃあ心配だからね。」
「でも、ルーク様は外に出たくないと、昨日も駄々をこねていたではありませんか?」
「人を子供みたいに言うのは止めてくれ。僕は君を置いて外に出るのは嫌だと言ったんだよ。君と一緒なら、どこにでも行くよ!それで、どこに行くつもりなんだい?」
「診療所と実家に行こうと思っていますの。2ヶ月間一度も顔を出していないので」
「ふ~ん、診療所ねぇ」
なぜか不満そうなルーク様。診療所に行くのが嫌なのかしら?
「別に1人で行けますので、ルーク様は屋敷で待っていてください。それでは、行って来ますね」
さっそく出掛けようとしたのだが、なぜか腕をがっちり掴まれた。
「僕も行くって言ったよね!それより、何でそんなに診療所に行きたいのだい?もしかして、好きな男でもいるのか?そうなのか、ちゃんと答えてよセリーナ!」
物凄い勢いで迫って来るルーク様。あまりの迫力に、恐怖すら覚える。
「そんな男性はいませんわ!ただずっと休んでいたので、そろそろ顔を出した方がいいかと思っただけです」
「本当にいないのか?」
「だから、いませんって」
もう、いないって言っているのに、どうしてそんなにしつこく聞いて来るのかしら?全く理解できない。
「わかったよ、それじゃあ、早速行こうか。男がいないなら、僕が付いて行っても問題ないよね」
どうやらまだ疑っている様だ。そもそも、私に男がいようがいまいが、ルーク様には関係ないと思うのだが…
がっちり手を握られ、馬車に乗せられた。しばらく走ると、懐かしい診療所が見えて来た。
「あそこが、私が働いている診療所です」
「へ~、あそこがセリーナが以前働いていた診療所か。結構大きいんだね」
以前働いていたって…ルーク様の治療が終わったら、また戻るつもりなんだけれど…
複雑な思いを抱えながら馬車から降り、さっそく中に入って行く。
「皆、久しぶり。元気にしていた?」
「まあ、セリーナじゃない!久しぶりねって、お隣の超絶美少年は一体誰?セリーナの彼氏?」
「いいえ、彼は…」
「へ~、治癒師って女性が多いんだね。初めまして、ルーク・ファーレソンと申します。ここで働いていた時は、随分とセリーナがお世話になっていたみたいで、ありがとうございます。これ、皆様で食べてください!」
いつの間に準備したのか、お菓子を同僚に手渡すルーク様。なぜか私は、ルーク様にがっちり肩を抱かれている。
「まあ、あなた様がファーレソン公爵令息様なのですね。それにしてもセリーナ、あなた随分大物を捕まえたのね。でもあなたは昔から、患者さんからも何度も告白されるくらい人気が高かったものね」
そう言ってニヤニヤ笑う同僚。完全に誤解している。これは早く誤解を解かないと!そう思ったのだが…
「へ~、やっぱりセリーナはモテるんだね」
そう言うと、なぜがジト目で私を睨むルーク様。何で私が睨まれなきゃいけないのよ!完全にパニックになっているところに、所長がやって来た。
「やあ、セリーナじゃないか。お隣りの方は?」
「ルーク・ファーレソンと申します」
「あなたがファーレソン公爵令息様か。随分元気になられたのですね。さすがセリーナだ」
「はい、お陰様で元気になりました。でも、まだ完治したわけではありませんので!」
そう言って、所長に湿疹を見せるルーク様。
「ちょっと、ルーク様!」
緑の湿疹を見て、固まる所長と同僚。
「それでは、僕達はこれで。ほら、診療所はもういいだろ。早く君の実家に行こう」
えっ、もう行くの?まだ皆に挨拶が出来ていないわ!
「ルーク様、まだ皆に挨拶が出来ていませんわ」
そう訴えるが、なぜか無視して馬車へと乗り込むルーク様。
「それにしても、やっぱり君狙いの患者が多数いたんだね。今日一緒に診療所に来てよかったよ」
なぜか訳の分からない事をブツブツ呟いているルーク様。
「人聞きの悪い事を言わないで下さい。同僚が面白おかしく言っていただけで、事実無根ですわ」
「それじゃあ、患者に一切手紙やプレゼントなどを貰ったことはないと言うんだね?」
「それは…」
そう言えば何度か手紙やプレゼントを貰ったり、食事に誘われたりしたわね。
「ほらみろ!やっぱり君狙いの患者が沢山いたのだろう!本当に、油断も隙もありゃしない!」
なぜかプリプリ怒っている。そもそも、私狙いの患者がたとえいたとしても、ルーク様には関係ないと思うのだけれど…
「それより、次は君の実家だね。楽しみだな」
そうだ、次は私の実家に行くのよね。きっとルーク様を連れて行ったら、お父様もお母様も腰を抜かすわ。お父様、変な誤解とかしないといいけれど…
診療所でのルーク様の様子を見ていたセリーナは、一気に不安になったのであった。
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