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番外編

旅編6:テラの恋人を救出しよう

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「僕たちも自己紹介をしないとね。僕はオスカー、こっちが婚約者のアメリアだ」

「オスカーにアメリアだね。よろしく!」

自己紹介が終わったところで、早速テラの恋人を連れ去った男たちを探すことにした。

「テラ、僕の胸ポケットに入って。僕たちが歩いて回るから、君の恋人を連れ去った男たちを見つけたら教えてほしい」

「わかった、宜しく頼むよ」

そういうと、オスカー様の胸ポケットに入ったテラ。どうやらジャストサイズの様だ。

早速オスカー様と腕を組み、周りを散歩しているカップルの様に歩き始めた。湖の周りには沢山の人がいるうえ、とても広い。奥の方には、ちょっとした遊歩道なども完備されている。

「テラ、君の恋人を連れ去った男たちの姿は見えるかい?」

オスカー様が小声でテラに確認している。

「ぱっと見た感じ、見当たらないんだ。あっちの遊歩道の方に行ってもらってもいいだろうか?」

テラの指示に従い、遊歩道の方も歩いて見たが、どうやらここにもいない様だ。

「テラ、本当にまだこの湖の周辺にいるのかい?もしかして、もう街に戻ってしまったという事もあるかもしれないよ」

確かにこんなにあちこち歩きまわっているのに、見つからないという事はその可能性も考えられる。

「いいや、まだこの近くにいるはずだ。ルラの気配をこの近くで感じるんだ!僕達小人は、仲間の気配を感じる事が出来るんだよ!」

そんな力があるのね。という事は、やっぱりこの近くにいるのという事か。

「それじゃあ、あっちの人気の少ない場所に行って見ようか」

オスカー様が指さしたのは、湖の奥にある森だ。確かに探していない場所と言えば、後はあそこくらいね。早速オスカー様と一緒に、森の中へと入って行く。


「アメリア、野生の動物が出てくるかもしれないから、僕から離れてはいけないよ」

そう言うと、ギューッと手を握ったオスカー様。確かにさっき野良犬がいたものね。もしかしたら、熊とかも出てくるかもしれない。そう思ったら急に怖くなって、オスカー様の腕にギューッとしがみついた。

しばらく進んでいくと、男性たちの話し声が聞こえる。

「さっき捕まえた小人、売ったらいくらになるのかな?」

「かなり高く売れるんじゃないのか?まさか小人を捕まえられるなんて、ラッキーだったよな。こいつと一緒にいた奴も捕まえたかったけれど、見失っちまったな!そうする?もう少し探してみるか?」

「そうだな、2人セットで売った方が高く売れそうだし」

男たち4人がそんな話をしていた。

「オスカー、アメリア。あいつらだよ。ルラを連れ去った奴らは!」

テラがそう叫んだ。その時、男の1人が鞄から瓶を取り出した。その瓶には、ピンク色の髪に水色の瞳をした、可愛らしい小人が入れられていた。

「ルラだ!あの瓶の中にルラが入れられている!」

胸ポケットから飛び出そうとしたテラを、オスカー様が止めた。

「オスカー、離してくれ!ルラを助けないと!」

「待て、テラ。今君が行っても捕まるだけだ。それにあいつら、どうやら君の事も探している様だし」

確かに今テラが男4人の元に行っても、捕まるだけだろう。


「そう言えば、小人は仲間の場所が分かると聞いた事がある!お前と一緒にいた小人はどこにいるか教えろ!」

そう言って瓶を揺すった男。なんて事をするのよ!


「止めてください!どこでそんな情報を仕入れたかは知りませんが、私たちにそんな能力はありません!」

涙を流しながらそう訴えるテラの恋人のルラ。

「嘘つくな!言わないとこうだぞ!」

そう言って瓶を激しく揺らし始めた男!

「キャーーーー、止めてください!!」

ルラの悲鳴が聞こえる。なんて酷い事をするのかしら!もう我慢できないわ!男たちに文句を言いに行こうとした時だった。

「君たち、随分と酷い事をするのだね」

私が出て行くより先に我慢の限界を迎えたオスカー様が、男4人の前に立っていた。

「なんだお前!この小人は俺たちが見つけたんだぞ!だから俺たちのものだ。どうしようと勝手だろう!」

なんて自分勝手な男たちなの!”何が俺たちのもの”よ!体中から怒りが込み上げてきたが、何とか思いとどまった。きっと私の様な女が出て行っても、足手まといになるだけだ。

その時だった。こちらも我慢の限界を迎えたテラが、オスカー様のポケットから飛び出したのだ。

「おい、ルラはお前たちのものなんかじゃない!ルラを返せ!」

「なんだ、お前がもう1人の小人を持っていたのか!探す手間が省けたぜ」

そう言ってテラを捕まえようとした男の手を掴み、ひねるオスカー様。

「イテテテテテ!止めろ。離せ!」

「こいつに何をするんだ!ふざけるな!」

そう言って1人の男がオスカー様に殴り掛かりに行った。他の男たちもオスカー様に向かっていく。

今だわ!男たちの後ろに回り、急いで瓶に入っているルラと、近くにいたテラを安全な場所へと連れて行った。

すぐに瓶の蓋を開けると、中からルラが出て来た。

「ルラ、怪我はないかい?」

「ええ、私は大丈夫よ。テラ、助けに来てくれてありがとう」

そう言って抱き合う2人。感動の再会である。

「アメリア、助けてくれてありがとう。そうだ、オスカーが心配だ!」

「オスカー様は大丈夫ですわ。ほら!見てください!」

既にオスカー様は男4人を倒した後だった。どうやらオスカー様の足元にも及ばなかった様で、男4人が地面に転がっている。

「テラ、君の恋人は無事だったかい?」

「オスカー、ありがとう。お陰様でルラも元気そうだよ。本当に何とお礼を言っていいのか。本当にありがとう」

そう言って頭を下げるテラ。

「初めまして、ルラと申します。助けていただき、ありがとうございました」

テラの横で同じように頭を下げるルラ。よく見ると、物凄く可愛い!

「あなたが無事でよかったわ。私はアメリアよ。彼はオスカー様。よろしくね」

「アメリア様にオスカー様ですか!あなた達は私の命の恩人です!本来であれば、小人の村に招待したい所なのですが、生憎小人たちは人間を嫌っております。ですからお礼にこれを」

ルラが手渡してくれたのは、親指の先くらいの大きさの、七色に輝く丸い石の様なものだ。宝石の様に美しく輝いている。それにしても、小さな体のどこにこんなものを隠し持っていたのかしら?

「ルラ、これは一体何?」

気になってルラに聞いた。

「これは私達小人の涙で作られた、貴重な石です。この石には不思議なパワーが宿っており、持っている人を災いから守り、幸せにしてくれると言われているのです。私のものはアメリア様に」

「それじゃあ、僕はオスカーにあげるよ」

テラも七色に輝く石をどこからともなく取り出すと、オスカー様に渡した。

「オスカー、アメリア。本当にありがとう。君たちの事は絶対忘れないよ。それじゃあね」

そう言うと、テラとルラの姿が見えなくなった。

「オスカー様、テラとルラの姿が見えなくなりましたわ」

「本当だ!でもきっと無事に帰れたはずだよ。それにしても、小人の涙で出来た石か!小人に会えただけでなく、こんな貴重な物を貰えるなんて…」

そう言って先ほど2人から貰った石を、真剣に眺めるオスカー様。

「アメリア、これは2人の宝物にしよう。そうだな、お互い無くさない様に、ネックレスにでもしようか?そうすれば、いつでも身につけていられるだろう」

「それが良いですわ!帰国したら、早速ネックレスにしてもらいましょう!」

オスカー様の言う通り、小人に会えただけでなく、こんな貴重な石までもらえただなんて!ありがとう、テラ、ルラ。もしまたあなた達に会えたら、今度は私とオスカー様から何かプレゼントをするからね。

そっと心の中で呟いたアメリアであった。
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