何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi

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第36話:殿下以外興味がなかったのに…~ダルク視点~

私はファリグラス公爵家の3男として、この世に生を受けた。末っ子という事もあり、父上や母上、兄上たちからも可愛がられて育った。

元々母上と王妃殿下が仲が良かったという事もあり、物心ついた時から、王太子殿下とも仲良しだ。

ただ…

私は子供の頃から、何かに熱中する事が出来ない、冷めた人間だった。常に心にぽっかり穴があいている様な、そんな感じなのだ。

それでも公爵家の人間として、それなりに武術も勉学も学んだ。それらもそつなくこなしてしまうためか、両親や家庭教師たちにはよく褒められた。

でも、褒められても何も感じないのだ。毎日が常に退屈で、何をやってもつまらない。そんな日々を送っていた。

そんな中、私を少しだけ楽しませてくれるのが、親友の王太子殿下だった。彼は私とは違い、何にでも興味を示すタイプの人間。さらに公爵令嬢のスカーレット様に一目ぼれして以降、彼女に夢中だ。

私とは違い、何にでも熱中できる彼が、羨ましくもあった。彼といると、少しだけ気持ちが明るくなれる気がするのだ。私はこれからもずっと、王太子殿下の傍にいたい。

彼の為に働きたい、いつしかそんな気持ちが芽生えていた。私は3男だ、既に一番上の兄上が公爵家を継ぐことも決まっている。ちなみに2番目の兄上も、侯爵令嬢と結婚し、婿養子に入った。

そう、私の役目は特にないのだ。だから両親や王太子殿下には、“私は結婚もするつもりはない。生涯王太子殿下を支えたい“と、常々伝えていた。

両親はしぶしぶだが納得してくれていたが、なぜか王太子殿下は

「僕に仕えてくれるのは有難いが、ダルクはもっと自分の幸せを考えるべきだ。僕はダルクに、幸せになって欲しい」

と、いつも言っていた。私の幸せは、あなた様を支える事です。そう何度も伝えているにも関わらず、なぜか殿下は納得してくれないのだ。

そもそも私は、殿下以外興味がないのだ。彼が幸せでいてくれる事こそが、私の幸せ。そう思って来た。

それは貴族学院に入ってからも同じで、殿下を常に守れる様、日々武術を磨き、殿下を支えられる様、日々勉学にも励んだ。もちろん、令嬢にも興味がない。

そんな日々を送っていたある日の事、留学生がやって来たのだ。彼女はカラッセル王国からやって来た令嬢との事。通常、学期が始まるタイミングで留学生が来るのが一般的だが、なぜか彼女は、中途半端な時期にやって来たのだ。

皆不思議がっていたが、それでも彼女を受け入れたクラスメイト達。だが…彼女は非常に傲慢で我が儘で、どうしようもない令嬢だったのだ。

王太子殿下に惚れた彼女は、婚約者でもあるスカーレット様を陰湿に虐めた挙句、自分と王太子殿下は愛し合っていると、スカーレット様に嘘の情報を流したのだ。

さらに別の令嬢たちにも嫌がらせをしていた様で、さすがに怒った殿下が、全ての証拠を学院に提出し、強制帰国させた。

後から聞いた話だが、どうやらあの女性は、自国でも罪を犯したらしい。その為、身を隠すために、この国に留学してきたとの事。中途半端な時期に留学してくる奴は、ろくな奴ではなかったのだ。

そんな中、彼女と入れ違いにやって来たのが、アンジュ嬢だった。美しいエメラルドグリーンの髪をした、優しそうな令嬢だった。でも…

前回の事があるため、クラスメイト達は彼女を無視した。さらに一部の令嬢たちは、暴言まで吐いていた。そのたびに悲しそうな顔をするアンジュ嬢。

それでも彼女は、毎日笑顔で挨拶をし、無視されては悲しそうに席に着くという行動を繰り返していた。何なんだ、あの子は…

ここまで無視されているのに、毎日めげずに挨拶をしてくるだなんて…なんだか彼女が気になって仕方がない。そもそも彼女は、本当に皆が言う様に、悪い事をしてこの地に来たのか?

気になった私は、すぐに調査を開始した。その結果、彼女は特に何かをしでかしたわけではなかったのだ。

「殿下、アンジュ嬢は自国で何か悪い事をした訳ではなさそうです。それに彼女、悪い令嬢には見えません」

「いつも冷静な君がどうしたんだい?正直僕は、あの女を信じられないな。またスカーレットがイジメられたらと思うと、さっさと追い出すべきだと考えている」

「追い出すだなんて!彼女は何もしていないではないですか?それなのに一国の王太子殿下ともあろうお方が、その様なお考えでは困ります」

つい声を荒げてしまった。

「ダルクが令嬢を庇うだなんて珍しいね。それに、いつも冷静な君が、声を荒げるだなんて。もしかして、アンジュ嬢の事が好きなのかい?」

「わ…私は別に!アンジュ嬢が気の毒なだけです」

王太子殿下は何をおっしゃっているのだろう。

「ダルクの言い分は分かったよ。それより、スカーレットの姿が見当たらないんだ。すぐに探しに行かないと」

そう言うと、特殊な機械を取り出した。スカーレット様を異常なほど愛している殿下は、いつでも彼女の居場所が分かる様にしているのだ。

「どうやら裏庭にいる様だ。すぐに行こう」

王太子殿下と一緒に、裏庭に向かった。

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