婚約者に逃げられた令嬢ですが、侯爵令息に溺愛されています

Karamimi

文字の大きさ
39 / 40

第39話:すっきりしましたが恥ずかしいです

「お待ちください。私にも言いたい事がございます」

私の声で、護衛騎士たちが立ち止まった。

「マグラス様、あなた様の行いのせいで、私は深く傷つきました。あなた様は私だけでなく、ご自分の実家でもあるディスティノン伯爵家をも裏切ったのです。それなのに、まだ伯爵家に迷惑を掛け、私の前に現れるだなんて、一体どんな神経をしていらっしゃるのですか?申し訳ございませんが、私はあなた様が大っ嫌いです!ただ…あなた様の愚かな行動のお陰で、あなた様の何億倍も素敵なサフィール様と結婚出来るので、その点は感謝いたしますわ。ありがとうございました。私、サフィール様と幸せになりますね」

ペコリとマグラス様に頭を下げ、満面の笑みでほほ笑んでやった。そして、クルリと後ろを振り向くと、そのままサフィール様の傍に戻り、彼にくっ付く。

呆然とした表情のマグラス様を、そのまま護衛騎士たちが連れて行った。ちょっと意地悪だったかしら?でも、私が受けた心の傷を考えれば、これくらい言ってもいいわよね。それに何より、心がすっきりした。

「カロリーナ!おめでとう!」

「おめでとう、カロリーナ。さっきのあなた、とても素敵だったわよ」

「サフィール様への渾身の愛の告白はもちろん、マグラス様への言葉も。見た?マグラス様ったら、あり得ない!といった表情をしていたわよ。ザマァ見ろよ!公衆の面前であんな恥ずかしい姿を晒すだなんて、本当に情けない男」

ん?渾身の愛の告白?

しまった、私、こんなに大勢の貴族がいる前で、サフィール様への気持ちを伝えるだなんて!恥ずかしくて死にそうだわ。

「本当はサフィール様と2人きりで、レースフラワー園の前で気持ちを伝えようと思っていたのに…せっかくライトアップをして、雰囲気作りまでしたのに…」

マグラス様のせいで、私の計画は全て潰された!あの男、最後まで私の邪魔をするだなんて!

「カロリーナ、そんな顔をしないでくれ。まさか君がそこまでセッティングしてくれていただなんて。もしかして、ダンスの時緊張していたのは、僕に気持ちを伝えるためだったのかい?」

「ええ、そうですわ。でも…こんな公衆の面前で気持ちを伝える事になってしまって…」

がっくりと肩を落とす。

「そんなに落ち込まないでくれ。僕はとても嬉しかったよ。それに皆も、見てごらん。温かな眼差しで、僕たちを見つめているよ」

ふと周りを見渡すと、皆がこちらを笑顔で見つめていた。

さらに

「いやぁ、若いってやっぱりいいね。カロリーナ嬢の渾身の告白、見者だったよ」

「今は令嬢から気持ちを伝えるのもありなのね。参考にさせていただくわ」

と言った、お恥ずかしい声もきかれた。お願いします、絶対に参考にしないで下さい。と言いたいが、もちろん言えない。

何とも言えない空気を打ち破ったのは、お父様だ。

「皆様、お騒がせして申し訳ございません。皆様もご覧の通り、娘はダイアミンド侯爵家のサフィール殿が大好きな様でして。私どもも、娘の事でサフィール殿には本当に感謝しております。つきましてはダイアミンド侯爵家と話し合いを持ち、2人の気持ちに沿った形を取りたいと考えております。今後とも、どうか2人を見守って頂ければと思います。それでは、引き続きパーティーをお楽しみください」

ちょっとお父様、別に私がサフィール様を大好きだなんて、言わなくていいじゃない。もう、恥ずかしいわ。

再び顔を真っ赤にする。

「姉上、サフィールの兄上、おめでとうございます。まさか姉上の渾身の告白を見てしまうだなんて…弟としてはちょっと複雑です…」

「ちょっとカール、変な事を言わないで。恥ずかしいじゃない」

皆私の事をからかって…

「カール様、いいではありませんか。私は感動しましたわ。実はこっそりと、レースフラワー園に先回りして、2人の様子を見ようと思っていたのですが、その必要はありませんでしたね」

「本当ね。まさか堂々とカロリーナちゃんの告白を見られるだなんて」

ちょっと、ミール様にダイアミンド侯爵夫人。盗み見をしようとしていただなんて、さすがに悪趣味ですわよ!そう心の中で叫ぶ。

「ミール、母上も。その様な品のない事をしようとしていたのですか!それに、2人はカロリーナが僕に今日告白する事を知っていたのですか?」

「「ええ、もちろん」」

声をそろえる2人。この2人、ある意味最強かもしれない。

「カロリーナ様、これで正式に私のお義姉様になるのね。早く嫁いできて、一緒に暮らしましょう」

「そうね、私も早く、カロリーナちゃんと一緒に住みたいわ」

嬉しそうにミール様と夫人が私の両側にやって来た。私も2人と一緒に過ごすことが、今から楽しみだ。

「ミール、母上、僕は侯爵家の隣に屋敷を建てて、そこで2人で暮らしますので。父上には既に許可を取っております。もちろん、勝手に新居に侵入しない様に、護衛も置くつもりです」

すかさずサフィール様が2人に伝えている。ブーブー文句を言う2人に、涼しい顔のサフィール様。なんだかこれから、増々楽しくなりそうね。

計画通りにはいかなかったけれど、これはこれで、まあいいか。


※次回最終話です。
よろしくお願いします。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。 平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。 家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。 愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

死ぬまでに叶えたい十の願い

木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」 三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。 離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する—— 二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。

裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。

夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。 辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。 側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。 ※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。

完結·婚約破棄された氷の令嬢は、嫁がされた枯れおじのもとで花開く

恋愛
ティリアは辺境にある伯爵の娘であり、第三王子ガフタの婚約者であった。 だが、この婚約が気に入らないガフタは学園生活でティリアを冷遇し、卒業パーティーで婚約破棄をする。 しかも、このまま実家に帰ろうとするティリアにガフタは一回り以上年上の冴えないおっさん男爵のところへ嫁ぐように命令する。 こうしてティリアは男爵の屋敷へと向かうのだが、そこにいたのは…… ※完結まで毎日投稿します ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿中

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。

長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様! しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが? だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど! 義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて…… もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。 「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。 しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。 ねえ、どうして?  前妻さんに何があったの? そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!? 恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。 私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。 *他サイトにも公開しています