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第5話:入学早々失敗続きです
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急いで教室のドアを開けると…
「あ…あの…」
既に先生が来ていた。
ドアを開けた瞬間、一斉に皆がこちらを見る。これはマズイわ…
「君は確か、ジュリア・スリーティス嬢だな。今まで一体何をしていたんだ!」
どうやら遅刻してしまった様で、先生に怒られてしまった。
「申し訳ございません。実は迷子になっておりまして…兄と姉に今送り届けていただきましたの」
「迷子だと?」
その瞬間、一気に笑いが巻き起こった。ちょっと、そんなに笑わなくてもいいじゃない。急に恥ずかしくなって、下を向く。
「は~、君の兄姉たちは、非常に優秀でクラスを率いているほどなのに…君は噂通りの変わり者の様だな…」
先生の言葉で、さらに笑いが起きる。ちょっと、噂通りの変り者って何よ!確かにお兄様やお姉様に比べれば、かなり劣るけれど…なんだか腹が立ってきたわ。これは一言文句を言ってやらないと!
「ちょっと…」
「先生、令嬢に変り者とはいくら何でも失礼ではありませんか?確かに貴族学院は、案内板がありません。特にAクラスは他のクラスと棟が別ですし、分かりにくいのも事実です。この辺りは、兄と相談の上、改善をしていく必要があるかと」
そう言ったのは、銀色の髪に金色の瞳の男性。この人は、第二王子だ。周りからは
“さすがリュカ殿下、お優しい方だ”
“本当に、王族の鏡の様な方ですわ”
などなど、絶賛の嵐。
「リュカ殿下がそうおっしゃるなら…スリーティス嬢、もう席に付いていいぞ。君の席はあそこだ」
明らかにトーンダウンする先生。結局先生に文句を言えなかったわ。
チラリと第二王子の方を見ると、笑顔でこちらを見ていた。なぜだろう、無性に腹が立つ…プイっと明後日の方向を向いて、そのまま席に付いた。
その姿を見た令嬢たちが
“せっかくリュカ殿下が助けて下さったのに、あの態度見た?さすが変り者令嬢だわ”
“本当ね。最低限の礼儀も知らないなんて嫌だわ”
と、私に聞こえる様に悪口を言っている。そもそも、人の悪口を大きな声で言う時点で、令嬢として失礼だと思うわ。
でも…
このままだと私、クラスで完全に浮きそうね…
なんとかしないと…
先生のお話が終わった後は、今日はもう帰っていいらしい。一応第二王子にはお礼を言った方がいいかしら?そう思い、彼の方を見たのだが…
クラスの令嬢たちが群がっていた。これは近づくのは無理ね。仕方がないので、そのまま教室の外に出ると
「「ジュリア」」
お兄様とお姉様が教室の外で待っていてくれた。
「こんなところでどうしたのですか?先に馬車に向かったのでは…」
「馬車で待っていようと思ったのだけれどね。またあなたが迷子になるのではないかと心配で。さあ、帰りましょう」
お兄様とお姉様が私の手を取った。いや、だから子供ではないのだから、この姿が恥ずかしいのよ。そう思ったが、なんだかお兄様とお姉様の手に触れたら安心してしまい、このままでもいいかなっと思ってしまった。
3人で校門まで向かい、馬車に乗り込んだ。
それにしても、今日は色々あってかなり疲れたわ。それに第二王子のせいで、私の印象も最悪になってしまったし…
て、あれは私が大人げなかったわね。明日にでも、第二王子に謝っておくか。
とにかく、私はこれ以上問題を起こす訳には行かない。私の大切なジャージを、お母様に取られないためにも!
「ジュリア、学院1日目はどうだった?」
ふいにお兄様がそんな事を聞いて来た。
「そうですわね。とりあえず、なんとかなりそうですわ…」
本当は1日目から色々やらかして、かなりヤバい状況だが、そんな事は言えない。
「そう、それなら良かったわ。せっかく貴族学院に入学したのですもの。あなたも素敵な殿方が見つかるといいわね」
そう言ってほほ笑んだのは、お姉様だ。素敵な殿方か…
既に変り者として今日も笑われた私に、素敵な殿方なんて現れるのかしら…
ついため息が出る。そんな私を、苦笑いで見つめるお兄様とお姉様。重苦しい空気の中、屋敷に戻ってきた。
「ジュリア、貴族学院はどうだったの?あなた、粗相なんておかしていないわよね」
馬車から降りるや否や、飛んできたのはお母様だ。かなり不安そうな顔をしている。
「ええ…ちょっと迷子になったくらいですわ…」
そして第二王子に暴言を吐き、クラス皆に笑われ、先生には変り者扱いされましたわ、何て事はさすがに言えない。
「もう、何をしているのよ。あなたは!事前に貴族学院の見取図をしっかり把握しておきなさいと、あれほど言ったでしょう!とにかく、これ以上おバカな事はしないで頂戴ね。さあ、お腹が空いたでしょう?お昼にしましょう」
とりあえずお母様を誤魔化すことが出来たわね。皆で昼食を食べた後、自室に戻り、ジャージに着替える。あぁ、やっぱりジャージが一番落ち着くわ。
ベッドでゴロゴロしている私を見て
「お嬢様、またそんな恰好で。だらしない!よれより奥様から聞きましたよ。迷子になったそうじゃないですか。さあ、早速貴族学院の見取図を頭に叩き込んでいただきますよ」
怖い顔をして私に迫って来るファリサ。
「でも、もう大体の場所は把握したわ」
そう訴えたのだが…
「何をおっしゃっているのですか!いいですか?そもそも13歳にもなって迷子だなんて、とても恥ずかしい事なのです。とにかく、今すぐこれを頭に叩き込んでください!」
あまりのファリサの迫力に、結局従うしかなかったのであった。
「あ…あの…」
既に先生が来ていた。
ドアを開けた瞬間、一斉に皆がこちらを見る。これはマズイわ…
「君は確か、ジュリア・スリーティス嬢だな。今まで一体何をしていたんだ!」
どうやら遅刻してしまった様で、先生に怒られてしまった。
「申し訳ございません。実は迷子になっておりまして…兄と姉に今送り届けていただきましたの」
「迷子だと?」
その瞬間、一気に笑いが巻き起こった。ちょっと、そんなに笑わなくてもいいじゃない。急に恥ずかしくなって、下を向く。
「は~、君の兄姉たちは、非常に優秀でクラスを率いているほどなのに…君は噂通りの変わり者の様だな…」
先生の言葉で、さらに笑いが起きる。ちょっと、噂通りの変り者って何よ!確かにお兄様やお姉様に比べれば、かなり劣るけれど…なんだか腹が立ってきたわ。これは一言文句を言ってやらないと!
「ちょっと…」
「先生、令嬢に変り者とはいくら何でも失礼ではありませんか?確かに貴族学院は、案内板がありません。特にAクラスは他のクラスと棟が別ですし、分かりにくいのも事実です。この辺りは、兄と相談の上、改善をしていく必要があるかと」
そう言ったのは、銀色の髪に金色の瞳の男性。この人は、第二王子だ。周りからは
“さすがリュカ殿下、お優しい方だ”
“本当に、王族の鏡の様な方ですわ”
などなど、絶賛の嵐。
「リュカ殿下がそうおっしゃるなら…スリーティス嬢、もう席に付いていいぞ。君の席はあそこだ」
明らかにトーンダウンする先生。結局先生に文句を言えなかったわ。
チラリと第二王子の方を見ると、笑顔でこちらを見ていた。なぜだろう、無性に腹が立つ…プイっと明後日の方向を向いて、そのまま席に付いた。
その姿を見た令嬢たちが
“せっかくリュカ殿下が助けて下さったのに、あの態度見た?さすが変り者令嬢だわ”
“本当ね。最低限の礼儀も知らないなんて嫌だわ”
と、私に聞こえる様に悪口を言っている。そもそも、人の悪口を大きな声で言う時点で、令嬢として失礼だと思うわ。
でも…
このままだと私、クラスで完全に浮きそうね…
なんとかしないと…
先生のお話が終わった後は、今日はもう帰っていいらしい。一応第二王子にはお礼を言った方がいいかしら?そう思い、彼の方を見たのだが…
クラスの令嬢たちが群がっていた。これは近づくのは無理ね。仕方がないので、そのまま教室の外に出ると
「「ジュリア」」
お兄様とお姉様が教室の外で待っていてくれた。
「こんなところでどうしたのですか?先に馬車に向かったのでは…」
「馬車で待っていようと思ったのだけれどね。またあなたが迷子になるのではないかと心配で。さあ、帰りましょう」
お兄様とお姉様が私の手を取った。いや、だから子供ではないのだから、この姿が恥ずかしいのよ。そう思ったが、なんだかお兄様とお姉様の手に触れたら安心してしまい、このままでもいいかなっと思ってしまった。
3人で校門まで向かい、馬車に乗り込んだ。
それにしても、今日は色々あってかなり疲れたわ。それに第二王子のせいで、私の印象も最悪になってしまったし…
て、あれは私が大人げなかったわね。明日にでも、第二王子に謝っておくか。
とにかく、私はこれ以上問題を起こす訳には行かない。私の大切なジャージを、お母様に取られないためにも!
「ジュリア、学院1日目はどうだった?」
ふいにお兄様がそんな事を聞いて来た。
「そうですわね。とりあえず、なんとかなりそうですわ…」
本当は1日目から色々やらかして、かなりヤバい状況だが、そんな事は言えない。
「そう、それなら良かったわ。せっかく貴族学院に入学したのですもの。あなたも素敵な殿方が見つかるといいわね」
そう言ってほほ笑んだのは、お姉様だ。素敵な殿方か…
既に変り者として今日も笑われた私に、素敵な殿方なんて現れるのかしら…
ついため息が出る。そんな私を、苦笑いで見つめるお兄様とお姉様。重苦しい空気の中、屋敷に戻ってきた。
「ジュリア、貴族学院はどうだったの?あなた、粗相なんておかしていないわよね」
馬車から降りるや否や、飛んできたのはお母様だ。かなり不安そうな顔をしている。
「ええ…ちょっと迷子になったくらいですわ…」
そして第二王子に暴言を吐き、クラス皆に笑われ、先生には変り者扱いされましたわ、何て事はさすがに言えない。
「もう、何をしているのよ。あなたは!事前に貴族学院の見取図をしっかり把握しておきなさいと、あれほど言ったでしょう!とにかく、これ以上おバカな事はしないで頂戴ね。さあ、お腹が空いたでしょう?お昼にしましょう」
とりあえずお母様を誤魔化すことが出来たわね。皆で昼食を食べた後、自室に戻り、ジャージに着替える。あぁ、やっぱりジャージが一番落ち着くわ。
ベッドでゴロゴロしている私を見て
「お嬢様、またそんな恰好で。だらしない!よれより奥様から聞きましたよ。迷子になったそうじゃないですか。さあ、早速貴族学院の見取図を頭に叩き込んでいただきますよ」
怖い顔をして私に迫って来るファリサ。
「でも、もう大体の場所は把握したわ」
そう訴えたのだが…
「何をおっしゃっているのですか!いいですか?そもそも13歳にもなって迷子だなんて、とても恥ずかしい事なのです。とにかく、今すぐこれを頭に叩き込んでください!」
あまりのファリサの迫力に、結局従うしかなかったのであった。
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