変わり者転生令嬢は国一番の美少年王子に溺愛される

Karamimi

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第8話:マリアナ様が私を庇ってくれました

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何とも言えない空気が流れる。

こんなはずではなかったのに…どうして…
こみ上げる涙を必死に堪える。

「スリーティス嬢、僕に1つ貰えるかな?」

そんな私に話しかけて来たのは、第二王子だ。きっと私に同情しているのだろう。

「殿下、こんな得体のしれない物を食べるなんて、よくありませんわ。スリーティス嬢、この際だからはっきり申し上げます。あなた、ご自分がこのクラスの空気を乱している事に、気が付いていないのですか?はっきり言って、迷惑なのです。こんな見た目もよくない食べ物を持ってくるなんて!本当に、いい加減にしていただきたいですわ」

「確かに、見た目がちょっと…色も茶色だし…」

他の生徒たちも、それに同意する。確かにおせんべいはケーキなどの洋菓子に比べると、見た目もよくない。でも、味はとっても美味しいのに…

その時だった。

「あなた達、一体どうされましたの?」

金色の髪に赤い瞳をした女性が、こちらにやって来た。

「マリアナ様。聞いて下さい、スリーティス嬢がこんな得体のしれない食べ物を食べろと、皆に配ったのですよ。本当に、変わり者だとは聞いておりましたが、ここまで変わったお方だとは思いませんでしたわ」

マリアナ様…この人が公爵令嬢で、王太子殿下の婚約者の…
2週間同じクラスで過ごしていたはずなのに、全く分からなかった。だってみんな、同じ様な顔をしているのですもの…

「これは?」

そんなマリアナ様が、おせんべいを1つ手に取った。

「これは、おせんべいと言うお菓子です…でも、皆様には受け入れていただけなかった様で…」

「おせんべい…1つ頂いてよろしいかしら?」

何を思ったのか、そう私に聞いて来たのだ。

「はい、もちろんです!」

もしかして、マリアナ様が食べて下さるなんて!嬉しくて、つい頬が緩む。

「マリアナ様、そんな得体のしれない物、口にするのは…」

「お黙りなさい!そもそも、令嬢が一生懸命作ったお菓子を、得体のしれない物と言うのは、いかがなものかしら?ダーデス嬢、少し言葉を慎みなさい!」

私に散々文句を言っていたのは、ダーデス侯爵令嬢だったのね。そういえばお兄様が、今年のAクラスは、侯爵以上がほとんどだと言っていた。

さすがに公爵令嬢のマリアナ様に注意されては、何も言い返せない様だ。悔しそうに唇をかんでいる。

そしてマリアナ様は、ゆっくりと包み紙をほどき、1口。

「美味しいわ。それに、お醤油のいい匂い…こんなに美味しいお菓子は、初めて食べたわ。ねえ、ジュリア様、そのお菓子、私に全ていただけないかしら?どうせこの人たち、食べないみたいだし」

「本当ですか?こんなものでよろしければ、どうぞ」

バスケット事差し出した。

「ありがとう」

嬉しそうに微笑んだマリアナ様。その笑顔は、本当に美しかった。なぜだろう、皆同じ顔をしていると思っていたのに…

その後再び授業が始まったので、一旦皆席に付いた。そしてお昼休み。いつもの様に1人で校舎裏に向かおうとした時だった。

「ジュリア様、宜しければ、私と一緒にお昼を食べませんか?」

私の元にやって来たのは、なんとマリアナ様だ。

「あの…私とですか?」

「ええ、そうよ。一緒に食べましょう。そうだわ、テラスで食べましょう。今日は天気がいいでしょう?」

そう言うと、マリアナ様は私の手を引き歩き出した。嬉しい、まさかマリアナ様が誘ってくださるなんて…

そう思っていたのだが、教室の外に出ると、王太子殿下が待っていた。

「マリアナ、今日は昼食を一緒に食べられないとは、どういう事だい?」

すかさずマリアナ様の腰に手を回し、愛おしそうに抱きしめる王太子殿下。そういえば王太子殿下は、マリアナ様をそれはそれは溺愛していると聞いたことがある。

「もう、リューゴ様ったら。今日は友人と食事を食べると使いの者に伝えたはずですが?」

「それは聞いた。でも、僕よりも大切な友人なんて!」

ギロリと私を睨む王太子殿下。これはさすがにマズイ…

「あの…マリアナ様。私は大丈夫ですので、王太子殿下と一緒にお食事をして下さい。それでは、失礼いたします」

「あっ、待って…」

後ろでマリアナ様の声が聞こえたが、聞こえないふりをしてダッシュで逃げた。さすがに王太子殿下に目を付けられる訳には行かない。

それにしてもマリアナ様、お優しいお方だったわ。それに、私の事を友人だと言ってくれたし。

マリアナ様の優しさが、なんだか嬉しくてたまらなかった。もしかしたら、彼女となら本当に友達になれるかも…て、私は何を考えているのかしら?

あんなにも高貴な身分の方とお友達になりたいなんて、さすがに図々しいわ。それに、あの王太子殿下も怖いしね…

それでも今日彼女が話しかけてくれたことは、私にとって嬉しい出来事には変わりない。ついスキップをしながら、いつもの様に校舎裏に向かったのだった。
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