31 / 61
第1章
第31話:気持ちを確かめ合いました
しおりを挟む
物凄い勢いで部屋に入って来たのは、グレイ様だ。後ろにはコメットさんはじめ、沢山の騎士団員がいた。そしてそのまま抱きしめられた。こんな風に抱きしめられたのは初めてだ。グレイ様ったら、一体どうしたのかしら?
それでもグレイ様に抱きしめられ、安心している自分もいる。おっと、安心している場合ではないわ。色々と聞きたいことがあるのだ。
「あの、グレイ様、フェアレ様は…」
「そうだ、その件なんだが、本当にすまなかった。あの女は、不法侵入の疑いで先ほど連行した。今取り調べが行われている頃だ。現行犯逮捕だから、まず有罪だろう」
不法侵入の疑い?
「あの…でも、彼女は…」
「あの女は昔から最低な女だったんだ。傲慢で我が儘で。それでも男爵家の一人娘だったこともあり、父親が俺と結婚させようとしていたんだ。そもそも俺は、平民である母親の事をバカにするあの女が、反吐が出るほど嫌いだった。その上スカーレットまで追い出したとなれば、許せる道理がないだろう!」
物凄い勢いで話し出すグレイ様。
「でも、グレイ様は男爵令息なのですよね。やはり貴族なら…」
「俺はもう貴族ではない。15歳で母を連れて家を出た際、男爵家の名も捨て、正真正銘平民になったんだ。そして今の今まで平民として生きて来た。頼まれてももうあんな貴族に何てなるつもりはない!スカーレット、俺の母は平民という事で、あの女を始め、他の妻たちにも散々イジメられてきた。そして夫でもある父親も、俺の母を助けようともしなかった。俺はその姿を見て、母を守るため騎士団に入ったんだ。そして念願だった母と2人暮らしを始めた。でも…18歳の時に、母は病気で亡くなったんだ。それでも、母は幸せそうだった」
お母様は亡くなっていらしたのね…それにしても、男爵でもあるグレイ様のお父様は、グレイ様のお母様がイジメられていても見て見ぬふりをするなんて、酷い男ね。
「貴族はなぜか、多くの妻を持つことが出来るという、この国の制度も俺は気に食わない。妻が1人だけだったら、母は他の妻にイジメられる事もなかったんだ。俺は小さい頃から、結婚するならたった1人の愛する女性とのみしようと心に決めていた。そして俺は見つけたんだ。そのたった1人の女性を」
なぜか跪いたグレイ様。そんなグレイ様を、ただ見つめる。
「スカーレット、俺は君に初めて会った時から、君の笑顔に一目ぼれした。そして、食堂で話をするうちにどんどん好きになっていた。でも、君には当時夫がいた。諦めるしかない、そう思っていた時に、君が俺の元にやって来た。卑怯な言い方だが、あの時チャンスだと思った。そして君と過ごすうちに、増々君への気持ちが大きくなっていた。スカーレットは俺の事を、正義感が強く悪を許さないヒーローの様な存在だと思っているかもしれない。でも実際の俺は、嫉妬深くて小心者で、君に告白一つすることすらままならなかった情けない男だ。それでも君を愛する思いは誰にも負けない。どうか、俺と結婚してくれませんか?」
グレイ様から、渾身のプロポーズ…
ずっとグレイ様は私の事を妹としてしか見ていないと思っていた。でも、実際は…
その事実を知った時、嬉しくて涙が溢れる。
「はい…私も、グレイ様が大好きです。ずっとずっと一緒に居たいです。まだまだ自分に自信が持てなくて弱い私ですが、どうかよろしくお願いします」
本当はもっともっと色々と伝えたい言葉があったはずなのに、いざその場になってみると頭がパニックになり、こんな言葉しか出てこなかった。それでも
「ありがとう、スカーレット」
そう言って嬉しそうに笑ったグレイ様。そして私の腕に青い宝石が付いたブレスレットを付けた。
「スカーレット、悪いがこのブレスレットを、俺に付けてもらえるかな?」
そう言うと、私にブレスレットを手渡した。美しい緑色の宝石が付いたブレスレットだ。これをグレイ様の腕に付ければいいのね。言われた通りに、腕に付ける。
「ありがとう、スカーレット。この国の貴族は、お互いの瞳の色の宝石が付いたブレスレットをはめる習慣があるんだ。“つないだ手がずっと離れない様に”と願いを込めて。俺は貴族が好きではない。でも…どうしてもスカーレットと繋がっていたくて、買ってしまった」
そう言うと恥ずかしそうに笑ったグレイ様。
「初めて聞きましたが、とても素敵ですね。このブレスレット、肌身離さず持っていますね。身に着けているだけで、グレイ様を身近に感じていられるから…」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。スカーレット、ありがとう」
お互いが見つめあい、どちらともなくゆっくり顔が近づいていく。そして、唇が触れるかという瞬間…
「バカ、押すな!今いいところだろう」
「俺だって見たいんだよ!それにしても、下手な恋愛歌劇よりもずっと面白いな」
騎士団員たちの声が…もちろん、唇が重なる事はなく…
「お前たち!いいところで邪魔しやがって!」
怒り狂うグレイ様。すっかり忘れていたが、ここはコメットさんとリンダさんのお家。さらに心配して沢山の騎士団員たちも来てくれていたのだ。私ったら、大勢の前で恥ずかしい…
「お前のせいで、いいところを見られなかったじゃないか」
「お前が押すからだろう」
怒り狂うグレイ様に加え、騎士団員たちの言い合いが始まった。それを止める他の騎士団員たち。なんだかおかしな展開になって来た。
「全く男たちときたら。でもスカーレットさん、よかったわね」
私の肩に手を置き、そう言ってにっこり微笑んだリンダさん。
「それもこれも、リンダさんのお陰よ。本当にありがとう」
「いいえ、私は何もしていないわ。それよりお腹空かない?皆さん、お腹空いていませんか?今日はお2人をお祝して、家でご飯を食べて行ってください」
そう叫んだリンダさん。
「さすがリンダちゃん、よし、早速酒を買いに行こうぜ」
「おい、待て。俺はスカーレットと…」
「団長、これからもずっとスカーレットちゃんと一緒に居られるのですから、今日1日くらい良いではないですか!」
そう言うと、さっさとグレイ様を連れていく騎士団員たち。
「さあ、私たちは料理を作らないとね。コメット、悪いんだけれど、食材を買ってきてくれる?」
「ああ、もちろんだ」
コメットさんと数名の騎士団員たちが買い出しに行ってくれている間に、私とリンダさんは急いで料理を作り、居間へと運ぶ。
結局その日は、夜遅くまで料理やお酒を楽しみ、話に花を咲かせたのであった。
それでもグレイ様に抱きしめられ、安心している自分もいる。おっと、安心している場合ではないわ。色々と聞きたいことがあるのだ。
「あの、グレイ様、フェアレ様は…」
「そうだ、その件なんだが、本当にすまなかった。あの女は、不法侵入の疑いで先ほど連行した。今取り調べが行われている頃だ。現行犯逮捕だから、まず有罪だろう」
不法侵入の疑い?
「あの…でも、彼女は…」
「あの女は昔から最低な女だったんだ。傲慢で我が儘で。それでも男爵家の一人娘だったこともあり、父親が俺と結婚させようとしていたんだ。そもそも俺は、平民である母親の事をバカにするあの女が、反吐が出るほど嫌いだった。その上スカーレットまで追い出したとなれば、許せる道理がないだろう!」
物凄い勢いで話し出すグレイ様。
「でも、グレイ様は男爵令息なのですよね。やはり貴族なら…」
「俺はもう貴族ではない。15歳で母を連れて家を出た際、男爵家の名も捨て、正真正銘平民になったんだ。そして今の今まで平民として生きて来た。頼まれてももうあんな貴族に何てなるつもりはない!スカーレット、俺の母は平民という事で、あの女を始め、他の妻たちにも散々イジメられてきた。そして夫でもある父親も、俺の母を助けようともしなかった。俺はその姿を見て、母を守るため騎士団に入ったんだ。そして念願だった母と2人暮らしを始めた。でも…18歳の時に、母は病気で亡くなったんだ。それでも、母は幸せそうだった」
お母様は亡くなっていらしたのね…それにしても、男爵でもあるグレイ様のお父様は、グレイ様のお母様がイジメられていても見て見ぬふりをするなんて、酷い男ね。
「貴族はなぜか、多くの妻を持つことが出来るという、この国の制度も俺は気に食わない。妻が1人だけだったら、母は他の妻にイジメられる事もなかったんだ。俺は小さい頃から、結婚するならたった1人の愛する女性とのみしようと心に決めていた。そして俺は見つけたんだ。そのたった1人の女性を」
なぜか跪いたグレイ様。そんなグレイ様を、ただ見つめる。
「スカーレット、俺は君に初めて会った時から、君の笑顔に一目ぼれした。そして、食堂で話をするうちにどんどん好きになっていた。でも、君には当時夫がいた。諦めるしかない、そう思っていた時に、君が俺の元にやって来た。卑怯な言い方だが、あの時チャンスだと思った。そして君と過ごすうちに、増々君への気持ちが大きくなっていた。スカーレットは俺の事を、正義感が強く悪を許さないヒーローの様な存在だと思っているかもしれない。でも実際の俺は、嫉妬深くて小心者で、君に告白一つすることすらままならなかった情けない男だ。それでも君を愛する思いは誰にも負けない。どうか、俺と結婚してくれませんか?」
グレイ様から、渾身のプロポーズ…
ずっとグレイ様は私の事を妹としてしか見ていないと思っていた。でも、実際は…
その事実を知った時、嬉しくて涙が溢れる。
「はい…私も、グレイ様が大好きです。ずっとずっと一緒に居たいです。まだまだ自分に自信が持てなくて弱い私ですが、どうかよろしくお願いします」
本当はもっともっと色々と伝えたい言葉があったはずなのに、いざその場になってみると頭がパニックになり、こんな言葉しか出てこなかった。それでも
「ありがとう、スカーレット」
そう言って嬉しそうに笑ったグレイ様。そして私の腕に青い宝石が付いたブレスレットを付けた。
「スカーレット、悪いがこのブレスレットを、俺に付けてもらえるかな?」
そう言うと、私にブレスレットを手渡した。美しい緑色の宝石が付いたブレスレットだ。これをグレイ様の腕に付ければいいのね。言われた通りに、腕に付ける。
「ありがとう、スカーレット。この国の貴族は、お互いの瞳の色の宝石が付いたブレスレットをはめる習慣があるんだ。“つないだ手がずっと離れない様に”と願いを込めて。俺は貴族が好きではない。でも…どうしてもスカーレットと繋がっていたくて、買ってしまった」
そう言うと恥ずかしそうに笑ったグレイ様。
「初めて聞きましたが、とても素敵ですね。このブレスレット、肌身離さず持っていますね。身に着けているだけで、グレイ様を身近に感じていられるから…」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。スカーレット、ありがとう」
お互いが見つめあい、どちらともなくゆっくり顔が近づいていく。そして、唇が触れるかという瞬間…
「バカ、押すな!今いいところだろう」
「俺だって見たいんだよ!それにしても、下手な恋愛歌劇よりもずっと面白いな」
騎士団員たちの声が…もちろん、唇が重なる事はなく…
「お前たち!いいところで邪魔しやがって!」
怒り狂うグレイ様。すっかり忘れていたが、ここはコメットさんとリンダさんのお家。さらに心配して沢山の騎士団員たちも来てくれていたのだ。私ったら、大勢の前で恥ずかしい…
「お前のせいで、いいところを見られなかったじゃないか」
「お前が押すからだろう」
怒り狂うグレイ様に加え、騎士団員たちの言い合いが始まった。それを止める他の騎士団員たち。なんだかおかしな展開になって来た。
「全く男たちときたら。でもスカーレットさん、よかったわね」
私の肩に手を置き、そう言ってにっこり微笑んだリンダさん。
「それもこれも、リンダさんのお陰よ。本当にありがとう」
「いいえ、私は何もしていないわ。それよりお腹空かない?皆さん、お腹空いていませんか?今日はお2人をお祝して、家でご飯を食べて行ってください」
そう叫んだリンダさん。
「さすがリンダちゃん、よし、早速酒を買いに行こうぜ」
「おい、待て。俺はスカーレットと…」
「団長、これからもずっとスカーレットちゃんと一緒に居られるのですから、今日1日くらい良いではないですか!」
そう言うと、さっさとグレイ様を連れていく騎士団員たち。
「さあ、私たちは料理を作らないとね。コメット、悪いんだけれど、食材を買ってきてくれる?」
「ああ、もちろんだ」
コメットさんと数名の騎士団員たちが買い出しに行ってくれている間に、私とリンダさんは急いで料理を作り、居間へと運ぶ。
結局その日は、夜遅くまで料理やお酒を楽しみ、話に花を咲かせたのであった。
87
あなたにおすすめの小説
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~
香木陽灯
恋愛
「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」
貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。
カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。
ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……
「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」
クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。
負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。
カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。
そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。
「お前を虐げていた者たちに絶望を」
※念のためのR-15です
※他サイトでも掲載中
離婚したい! 元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い
雲乃琳雨
恋愛
バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家のメイドとして働いていた。
18歳になったニナリアは祖父の命令で、従姉の代わりに元平民の騎士アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもない。しかも、アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑った。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?
元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる若夫婦のラブラブストーリー。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。
旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる