大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
34 / 61
第2章

第2話:もちろん付い行きます

しおりを挟む
今異動とおっしゃったわよね。一体どういう事なのかしら?

「俺たち騎士団員たちは、定期的に違う街に異動になる場合が多い。特に騎士団長になると、2~5年程度の周期で、違う街に異動になるんだ」

なるほど、そう言えばグレイ様は元々別の街で騎士団長をしていたのよね。この街に来て、もう2年以上経過している。いつ異動になってもおかしくはないという事ね。

「それで、今度はどこの街に異動になるのですか?」

「この国の東にある街だ。この街から馬車で半日程度かかる。大きな街なのだが、かなり治安が悪い様で、どうしても俺に来て欲しいとの事らしい。ただ、スカーレットはずっとこの街で暮らしてきただろう。両親との思い出もあるだろうし、友人たちもいる。正直言うと、スカーレットには付いてきて欲しいが、無理強いはするつもりはない」

そう言うと、まっすぐ私を見つめたグレイ様。その瞳には、不安がにじみ出ている。確かにこの街は私が生まれ育った故郷でもある。両親との思い出はもちろん、食堂の仲間たちや店長、リンダさんもいる。でも、私の心はもう決まっている。

「私はグレイ様に付いて行きますわ。騎士団長でもあるグレイ様との結婚が決まった時点で、いずれこの街を出る事は覚悟しておりました。確かにこの街には沢山の大切な友人たちがおります。でも、一生この街に帰ってこられない訳ではないので、大丈夫です。それに何より、私はグレイ様と離れたくはないですもの」

近々グレイ様と結婚し、妻になるのだ。確かに友人たちとお別れするのは寂しいが、私にはグレイ様がいる。グレイ様がいる場所が、私の居場所なのだ。

「ありがとう、スカーレット。そう言ってくれると嬉しいよ。愛しているよ、スカーレット」

そう言うと、そのままグレイ様の顔が近づいてきて…柔らかく温かな感触が唇に広がった。

「すまん、嬉しくてつい…」

申し訳なさそうに私から離れたグレイ様。

「どうして謝るのですか?私たちはもう婚約者同士なのです。それに私も、グレイ様とのく…口づけは…嫌ではありませんので…」

私ったら何を言っているのかしら?急に恥ずかしくなって俯いてしまった。でもすぐに顎を掴まれ、そのまま再び唇を塞がれる。今度は長い長い口づけだ。

「スカーレット、本当にありがとう。君は最高だ」

そう言うと、ギューッと抱きしめられた。あぁ、幸せね。って、幸せに浸っている場合ではない。

「それでいつこの街を出るのですか?」

この街を出るとなった今、皆にしっかりお別れを言いたい。それに、引越しの準備も行わないといけない。何より3ヶ月後に迫った結婚式はどうなるのかしら?

「ちょうど3ヶ月後だ。だからこの街で結婚式を挙げてから、新しい街に行こうと思っている。本当は1ヶ月後に来て欲しいと言われたが、そこはきちんと話を付けたから安心して欲しい」

「まあ、それじゃあ予定通り、この街で結婚式を挙げられるのですね。ありがとうございます」

お仕事だから仕方ない部分もあると思っていたけれど、この街で結婚式を挙げられるとの事で安心した。

「スカーレット、結婚式で色々と大変な時に、俺の異動が決まってしまい本当に申し訳ない。引越しの手続きは出来るだけ俺が行うから、君は結婚式の準備に専念してもらって構わないよ」

「ありがとうございます。でもまだ3ヶ月ありますし、少しずつ準備をしていけば大丈夫ですわ」

とにかく、今作っているウエディングドレスを早く仕上げてしまわないと。それにお店も辞めなければいけないから、店長やお店の仲間たちにも報告しないといけないわね。

翌日、早速お店の皆に報告をした。

「騎士団長という仕事は、頻繁に異動があると聞いていたから私たちも覚悟していたけれど、まさかこんなに早くに異動になるなんてね…」

「本当ね。でも、結婚式はこの街で出来るのでしょう?ねえ、スカーレット。私にブーケ作りを手伝わせてくれない?」

「それなら私は、ウェルカムボードを作るのを手伝いたいわ」

皆が次々と手伝いを買って出てくれた。

「ありがとう、皆。それじゃあ、お願いしてもいいかしら?」

「「「もちろんよ」」」

そう言って皆笑った。こんなに素敵な彼女たちともお別れなのね…そう思ったら、胸の奥がチクリと痛んだ。でも、一生会えない訳ではない。ここは私が生まれ育った街だ。またいつでも帰ってこればいいのよね。

そう何度も自分に言い聞かせる。

「さあ、そろそろ店を開ける時間ね。後3ヶ月、目いっぱい働いて、皆との楽しい思い出もいっぱい作らないと」

「そうね、この3ヶ月で沢山思い出を作りましょう。そうだ、今度お店が休みの時に、皆でケーキを食べに行きましょうよ。ほら、中心街に有名なケーキ屋さんが出来たでしょう?」

「あのお店、私も気になっていたのよ」

「それじゃあ決まりね」

ケーキか、それは楽しみだわ。残りの3ヶ月、これでもかと言うくらい沢山の思い出を作らないとね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~

香木陽灯
恋愛
 「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」   貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。   カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。   ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……  「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」   クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。   負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。   カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。   そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。  「お前を虐げていた者たちに絶望を」  ※念のためのR-15です  ※他サイトでも掲載中

離婚したい! 元平民だった侯爵令嬢の、たった一つの願い

雲乃琳雨
恋愛
 バートン侯爵家の跡取りだった父を持つニナリアは、潜伏先の家から祖父に連れ去られ、侯爵家のメイドとして働いていた。  18歳になったニナリアは祖父の命令で、従姉の代わりに元平民の騎士アレン・ラディー子爵に嫁ぐことになる。ニナリアは母のもとに戻りたいので、アレンと離婚したくて仕方がなかったが、結婚は国王の命令でもあったので、アレンが離婚に応じるはずもない。しかも、アレンが初めから溺愛してきたので、ニナリアは戸惑った。ニナリアは、自分の目的を果たすことができるのか?  元平民の侯爵令嬢が、自分の人生を取り戻す、溺愛から始まる若夫婦のラブラブストーリー。

はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」 「……あぁ、君がアグリア、か」 「それで……、離縁はいつになさいます?」  領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。  両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。  帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。  形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。 ★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます! ※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

処理中です...