7 / 50
第7話:殿下と仲良くなってしまった?
しおりを挟む
私の元までやって来た殿下は、隣に腰を下ろした。
「やれば出来るのですね。ほら、見て下さい。とても綺麗な夕日でしょう?街が夕焼けで真っ赤ですわ」
「本当だ、こんな綺麗な夕日は、初めて見たよ…王都の街が、赤く染まっている」
「赤く染まると言えば、今日の令嬢たち、茹でダコみたいに真っ赤な顔をして怒っていらっしゃいましたね。本当にあんな真っ赤な顔をして怒る人間がいると思ったら、おかしくて笑いを堪えるのに苦労しましたわ」
あの真っ赤な顔を思い出して、つい吹き出してしまう。
その瞬間
「ハハハハハ、確かに茹でダコみたいな顔をしていたね」
そう言って声を上げて殿下が笑ったのだ。
「あら、人間らしい一面もあるのですね。ずっと作り笑いを浮かべていたので、この人は感情がないのかしら?と思っておりましたのよ」
「僕だって感情くらいあるよ。でも…僕は王太子だから、自分の感情で動く事は出来ないよ…」
「王太子殿下とは、窮屈なのですね。私は自分の生きたいように生きますわ。だって、私の人生は私の物ですもの。誰のものでもありませんわ」
だから私は、このお妃候補の半年間が終わったら、領地でのんびり暮らすのだ。その為に今、私は頑張っている。
「自分の人生は自分のものか…ヴィクトリア嬢、僕は…」
「殿下、それにヴィクトリア様、いい加減降りて来てください!そろそろ面会時間の1時間が過ぎようとしておりますよ!」
下で執事らしき人物が叫んでいる。
「もう時間だそうですわ。殿下、今日は丘に連れて来てくださり、ありがとうございます。これで1人でも丘に向かえますわ」
「この丘に1人で来てどうするのだい?」
「乗馬をしたり、剣の稽古をしたり、木に登ったりするのですわ」
「君は令嬢だろう?乗馬や剣だなんて…それに木登りなんて以ての外だ」
「あら、殿下だって今、木登りをしていたではありませんか?それに私は、自分をずっと偽る事は出来ませんわ。もちろん侯爵令嬢ですので、公の場では令嬢らしくします。でも、それ以外の場所では、自分の真の姿を出してもいいと思いますの。そうしないと、息が詰まりますわ」
「ヴィクトリア嬢、君って子は…」
なぜか殿下が泣きそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?そう思っていると
「殿下、ヴィクトリア様、いい加減にしてくださいませ。さあ、降りますよ」
いつの間にか木の上までやって来た護衛騎士に、米俵の様にして抱きかかえられた。
「私は1人で降りられますわ。ですから殿下を」
「勝手にヴィクトリア嬢に触れないでくれ!本人も1人で降りられると言っているのだ。とにかく、君は先に降りてくれ」
「しかし…」
「いいから、下から僕たちを支えてくれ」
「承知いたしました」
しぶしぶ騎士たちが先に降りていく。さあ、私も降りよう。そう思ったのだが、なぜか先に殿下が下りて行ったのだ。そして、下で手を伸ばしている。あの人、一体何をしているのかしら?よくわからないが、そのまま私のスルスルと木から降りたのだが…
なぜか私を抱き下ろそうとしている殿下。
「殿下、私は木登りのプロです。支えていただかなくても大丈夫ですわ」
「でも、君は令嬢でドレスだろう?とにかく、ドレスでの木登りは控えて欲しい。それから…」
「殿下、もうヴィクトリア様との面会時間は終わりです。ヴィクトリア様、お部屋にご案内いたします。どうぞこちらへ」
「それでは殿下、ごきげんよう」
貴族令嬢らしくカーテシーを決め、その場を後にする。
ただ…
「ヴィクトリア嬢、明日また君と一対一で面会できるのを楽しみにしているよ。それから、今更令嬢ぶらなくてもいいよ」
殿下が笑いながら叫び、手まで振っている。私は別に、もう会ってもらわなくてもいいのだが…
というより、殿下に嫌われるために色々としたのに。なぜか仲良くなってしまったわ。あら?おかしいわね。何がいけなかったのかしら?
「やれば出来るのですね。ほら、見て下さい。とても綺麗な夕日でしょう?街が夕焼けで真っ赤ですわ」
「本当だ、こんな綺麗な夕日は、初めて見たよ…王都の街が、赤く染まっている」
「赤く染まると言えば、今日の令嬢たち、茹でダコみたいに真っ赤な顔をして怒っていらっしゃいましたね。本当にあんな真っ赤な顔をして怒る人間がいると思ったら、おかしくて笑いを堪えるのに苦労しましたわ」
あの真っ赤な顔を思い出して、つい吹き出してしまう。
その瞬間
「ハハハハハ、確かに茹でダコみたいな顔をしていたね」
そう言って声を上げて殿下が笑ったのだ。
「あら、人間らしい一面もあるのですね。ずっと作り笑いを浮かべていたので、この人は感情がないのかしら?と思っておりましたのよ」
「僕だって感情くらいあるよ。でも…僕は王太子だから、自分の感情で動く事は出来ないよ…」
「王太子殿下とは、窮屈なのですね。私は自分の生きたいように生きますわ。だって、私の人生は私の物ですもの。誰のものでもありませんわ」
だから私は、このお妃候補の半年間が終わったら、領地でのんびり暮らすのだ。その為に今、私は頑張っている。
「自分の人生は自分のものか…ヴィクトリア嬢、僕は…」
「殿下、それにヴィクトリア様、いい加減降りて来てください!そろそろ面会時間の1時間が過ぎようとしておりますよ!」
下で執事らしき人物が叫んでいる。
「もう時間だそうですわ。殿下、今日は丘に連れて来てくださり、ありがとうございます。これで1人でも丘に向かえますわ」
「この丘に1人で来てどうするのだい?」
「乗馬をしたり、剣の稽古をしたり、木に登ったりするのですわ」
「君は令嬢だろう?乗馬や剣だなんて…それに木登りなんて以ての外だ」
「あら、殿下だって今、木登りをしていたではありませんか?それに私は、自分をずっと偽る事は出来ませんわ。もちろん侯爵令嬢ですので、公の場では令嬢らしくします。でも、それ以外の場所では、自分の真の姿を出してもいいと思いますの。そうしないと、息が詰まりますわ」
「ヴィクトリア嬢、君って子は…」
なぜか殿下が泣きそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?そう思っていると
「殿下、ヴィクトリア様、いい加減にしてくださいませ。さあ、降りますよ」
いつの間にか木の上までやって来た護衛騎士に、米俵の様にして抱きかかえられた。
「私は1人で降りられますわ。ですから殿下を」
「勝手にヴィクトリア嬢に触れないでくれ!本人も1人で降りられると言っているのだ。とにかく、君は先に降りてくれ」
「しかし…」
「いいから、下から僕たちを支えてくれ」
「承知いたしました」
しぶしぶ騎士たちが先に降りていく。さあ、私も降りよう。そう思ったのだが、なぜか先に殿下が下りて行ったのだ。そして、下で手を伸ばしている。あの人、一体何をしているのかしら?よくわからないが、そのまま私のスルスルと木から降りたのだが…
なぜか私を抱き下ろそうとしている殿下。
「殿下、私は木登りのプロです。支えていただかなくても大丈夫ですわ」
「でも、君は令嬢でドレスだろう?とにかく、ドレスでの木登りは控えて欲しい。それから…」
「殿下、もうヴィクトリア様との面会時間は終わりです。ヴィクトリア様、お部屋にご案内いたします。どうぞこちらへ」
「それでは殿下、ごきげんよう」
貴族令嬢らしくカーテシーを決め、その場を後にする。
ただ…
「ヴィクトリア嬢、明日また君と一対一で面会できるのを楽しみにしているよ。それから、今更令嬢ぶらなくてもいいよ」
殿下が笑いながら叫び、手まで振っている。私は別に、もう会ってもらわなくてもいいのだが…
というより、殿下に嫌われるために色々としたのに。なぜか仲良くなってしまったわ。あら?おかしいわね。何がいけなかったのかしら?
392
あなたにおすすめの小説
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー
「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」
微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。
正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね
ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。
失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました
ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、
ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。
理由はただ一つ――
「平民出身の聖女と婚約するため」。
だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。
シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。
ただ静かに席を立っただけ。
それだけで――
王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、
王国最大の商会は資金提供を打ち切り、
王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。
一方シャウラは、何もしていない。
復讐もしない。断罪もしない。
平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。
そして王国は、
“王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、
聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。
誰かを裁くことなく、
誰かを蹴落とすことなく、
ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。
これは、
婚約破棄から始まる――
静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。
「私は何もしていませんわ」
それが、最強の勝利だった。
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる