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第26話:公爵家の夜会に招待されました
旦那様が1人で夜会に参加してから、1ヶ月が過ぎた。なぜかあの日以降、元気がない旦那様。一体あの夜会で、何かあったのかしら?
心配になり、あの時の夜会に参加していた友人たちに聞いたのだが、特に変わった様子はなかったとの事。ただ友人たちからは
“マリアンヌ、あなたはディファーソン侯爵様の妻なのだから、次の夜会は参加しなさいよ”
そう言われてしまった。私だって参加したい、だけれど、旦那様は私と参加するのがきっと嫌なのだろう。そう思ったら、とてもじゃないが自分から夜会に参加したいなんて言えない。
いっその事、夜会の時に何かあったのか、旦那様に直接聞いてみようかとも思ったが、さすがに聞くことが出来ずにいる。
「ねえカリーナ、旦那様は一体どうされたのかしら?ずっと元気がないじゃない」
「そうですか?旦那様はいつもあんな感じですよ。それにしても、奥様は旦那様の事をよく見ていらっしゃいますね」
「そりゃそうよ。だって私の大切な旦那様ですもの」
そうよ、彼は私の大切な旦那様なのだ。元気がなければ、心配するのが当然だ。どうすれば、元気になってくださるかしら?
そういえば、旦那様は何が好きなのかしら?好きな事をすれば、きっと元気になってくれる…て、私、旦那様の事、何にも知らないのよね。最近少し話すようになって喜んでいたけれど、妻としてはまだ全然ダメね。
なんだかまた落ち込んできたわ。
「奥様、旦那様のお帰りの時間です」
あら、もうそんな時間なのね。
「ありがとう、すぐに行くわ」
急いで玄関へと向かうと、既に旦那様が帰って来ていた。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「ただいま。すぐに食事にしよう」
そう言うと、旦那様は足早に部屋に向かって歩いて行った。今日もやっぱり元気がない様だ。一体どうしたのかしら?やっぱり旦那様に聞こうかしら?
でも、言いたくない事もあるかもしれない。う~ん、どうしたものか…
悩みながらも食堂へと向かい、席に付いた。しばらくすると旦那様もいらしたので、食事スタートだ。
「今日は君に話さなければいけない事があるんだ」
ナイフとフォークを置くと、真剣な表情でそう切り出した旦那様。一体何の話?私も身構えてしまう。
「実は、グリース公爵家の夜会に誘われて、それでぜひ君もとの事なんだ。グリース公爵とは父の代からずっと交流を深めていて、どうしても断れなくてね。それで…」
「まあ、夜会ですか?それは楽しみですわ。それで、いつですか?」
「1ヶ月後だ。君はずっと社交界で嫌な思いをしていただろう。だから…その…」
言葉を濁しながら、俯き加減で旦那様が呟いている。もしかして!
「旦那様、もしかして、前回の夜会にお1人で行かれたのは、好奇な目にさらされていた私を守ろうとしてくださったのですか?」
「…イヤ…俺はただ、君に嫌な思いをして欲しくなくて…でも結局、今回の夜会には参加してもらわなければいけなくなってしまったから…」
やっぱりそうだったのね。私が夜会に参加して、嫌な思いをしない様に気を使っていたのだわ。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は大丈夫ですわ。確かに心無い噂を流す貴族はおりますが、夜会には友人もおりますし、何より、旦那様もいらっしゃいますから」
言わせたい人たちには言わせておけばいい。
「そうか…ありがとう。夜会までは1ヶ月ある。ドレスや宝石の準備も必要だろう。金はいくら使ってもらっても構わない。好きな様にそろえてほしい」
そう言ってほほ笑んでくれた旦那様だが、どこか寂しそうだ。一体旦那様は、何を抱えているのだろう。
その後はいつも通り過ごす。部屋に戻ると、クローゼットに並ぶたくさんのドレスが目に入った。以前お義母様と一緒に購入したドレス。宝石もその時たくさん買ってもらったから、今回は買う必要がない。
まだ1度も袖を通していないものもあるので、このドレスを当日着ていこう。色はやっぱり、これよね。そうだわ、久しぶりの夜会。恥をかかない様に、ダンスの練習もしないとね。あぁ、当日が楽しみだわ。
1ヶ月後
今日はいよいよ夜会当日。カリーナ含め、メイドたちが私を綺麗に磨き上げてくれる。
「奥様は本当にお美しいですわ。この赤いドレスも、とてもよくお似合いです」
「ありがとう。私もこのドレス、気に入っているのよ」
今日は旦那様と私の色でもある、赤いドレスを着ていく事にしたのだ。アクセサリーは、私の瞳の色に合わせて、トリプライトのイヤリングとネックレスを付けた。これもお義母様とお買い物に行った時に、買ってもらったものだ。
髪もアップにしてもらった。
「ありがとう、皆。今日は久しぶりの夜会、楽しんでくるわね」
部屋から出ると、黒いタキシードに身を包んだ旦那様が待っていてくれていた。私の姿を見るなり、なぜか口を開けて固まっている。
「旦那様、お待たせいたしました。さあ、参りましょう」
「あ…ああ…。あの…今日の君は、とても美しい…あっ、もちろんいつも美しいが、それ以上に美しいという意味だ」
何やらアタフタとしている旦那様。耳まで真っ赤だ。
「ありがとうございます。旦那様も、とてもカッコいいですよ。黒のタキシード、よく似合っています」
「そうか、ありがとう」
「さあ、参りましょう。遅れては大変です」
旦那様の手を取り、2人で馬車へと乗り込んだ。
心配になり、あの時の夜会に参加していた友人たちに聞いたのだが、特に変わった様子はなかったとの事。ただ友人たちからは
“マリアンヌ、あなたはディファーソン侯爵様の妻なのだから、次の夜会は参加しなさいよ”
そう言われてしまった。私だって参加したい、だけれど、旦那様は私と参加するのがきっと嫌なのだろう。そう思ったら、とてもじゃないが自分から夜会に参加したいなんて言えない。
いっその事、夜会の時に何かあったのか、旦那様に直接聞いてみようかとも思ったが、さすがに聞くことが出来ずにいる。
「ねえカリーナ、旦那様は一体どうされたのかしら?ずっと元気がないじゃない」
「そうですか?旦那様はいつもあんな感じですよ。それにしても、奥様は旦那様の事をよく見ていらっしゃいますね」
「そりゃそうよ。だって私の大切な旦那様ですもの」
そうよ、彼は私の大切な旦那様なのだ。元気がなければ、心配するのが当然だ。どうすれば、元気になってくださるかしら?
そういえば、旦那様は何が好きなのかしら?好きな事をすれば、きっと元気になってくれる…て、私、旦那様の事、何にも知らないのよね。最近少し話すようになって喜んでいたけれど、妻としてはまだ全然ダメね。
なんだかまた落ち込んできたわ。
「奥様、旦那様のお帰りの時間です」
あら、もうそんな時間なのね。
「ありがとう、すぐに行くわ」
急いで玄関へと向かうと、既に旦那様が帰って来ていた。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「ただいま。すぐに食事にしよう」
そう言うと、旦那様は足早に部屋に向かって歩いて行った。今日もやっぱり元気がない様だ。一体どうしたのかしら?やっぱり旦那様に聞こうかしら?
でも、言いたくない事もあるかもしれない。う~ん、どうしたものか…
悩みながらも食堂へと向かい、席に付いた。しばらくすると旦那様もいらしたので、食事スタートだ。
「今日は君に話さなければいけない事があるんだ」
ナイフとフォークを置くと、真剣な表情でそう切り出した旦那様。一体何の話?私も身構えてしまう。
「実は、グリース公爵家の夜会に誘われて、それでぜひ君もとの事なんだ。グリース公爵とは父の代からずっと交流を深めていて、どうしても断れなくてね。それで…」
「まあ、夜会ですか?それは楽しみですわ。それで、いつですか?」
「1ヶ月後だ。君はずっと社交界で嫌な思いをしていただろう。だから…その…」
言葉を濁しながら、俯き加減で旦那様が呟いている。もしかして!
「旦那様、もしかして、前回の夜会にお1人で行かれたのは、好奇な目にさらされていた私を守ろうとしてくださったのですか?」
「…イヤ…俺はただ、君に嫌な思いをして欲しくなくて…でも結局、今回の夜会には参加してもらわなければいけなくなってしまったから…」
やっぱりそうだったのね。私が夜会に参加して、嫌な思いをしない様に気を使っていたのだわ。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は大丈夫ですわ。確かに心無い噂を流す貴族はおりますが、夜会には友人もおりますし、何より、旦那様もいらっしゃいますから」
言わせたい人たちには言わせておけばいい。
「そうか…ありがとう。夜会までは1ヶ月ある。ドレスや宝石の準備も必要だろう。金はいくら使ってもらっても構わない。好きな様にそろえてほしい」
そう言ってほほ笑んでくれた旦那様だが、どこか寂しそうだ。一体旦那様は、何を抱えているのだろう。
その後はいつも通り過ごす。部屋に戻ると、クローゼットに並ぶたくさんのドレスが目に入った。以前お義母様と一緒に購入したドレス。宝石もその時たくさん買ってもらったから、今回は買う必要がない。
まだ1度も袖を通していないものもあるので、このドレスを当日着ていこう。色はやっぱり、これよね。そうだわ、久しぶりの夜会。恥をかかない様に、ダンスの練習もしないとね。あぁ、当日が楽しみだわ。
1ヶ月後
今日はいよいよ夜会当日。カリーナ含め、メイドたちが私を綺麗に磨き上げてくれる。
「奥様は本当にお美しいですわ。この赤いドレスも、とてもよくお似合いです」
「ありがとう。私もこのドレス、気に入っているのよ」
今日は旦那様と私の色でもある、赤いドレスを着ていく事にしたのだ。アクセサリーは、私の瞳の色に合わせて、トリプライトのイヤリングとネックレスを付けた。これもお義母様とお買い物に行った時に、買ってもらったものだ。
髪もアップにしてもらった。
「ありがとう、皆。今日は久しぶりの夜会、楽しんでくるわね」
部屋から出ると、黒いタキシードに身を包んだ旦那様が待っていてくれていた。私の姿を見るなり、なぜか口を開けて固まっている。
「旦那様、お待たせいたしました。さあ、参りましょう」
「あ…ああ…。あの…今日の君は、とても美しい…あっ、もちろんいつも美しいが、それ以上に美しいという意味だ」
何やらアタフタとしている旦那様。耳まで真っ赤だ。
「ありがとうございます。旦那様も、とてもカッコいいですよ。黒のタキシード、よく似合っています」
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「さあ、参りましょう。遅れては大変です」
旦那様の手を取り、2人で馬車へと乗り込んだ。
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