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第23話:お母様のお友達が会いに来ました

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お母様がお部屋から出してもらえる様になって、1週間が過ぎた。お母様と一緒に料理をしたり、お茶をしたりと楽しい日々を過ごしている。

作ったお菓子は、こっそりと持ち帰り、レオナルド様にもおすそ分けしている。どうやら私のお料理がすっかり気に入ってくれたレオナルド様。

「オリビアが作った料理は、必ず僕にも食べさせてね」

そう言われた。そんな嬉しい事を言ってくれたら、持って行かない訳にもいかない。つい張り切って作ってしまう。

そんな私にお母様が

「今日もお友達にお菓子を持って行くの?」

そう言ってクスクスと笑っている。最初はお母様が丘までやってこないか心配していたが、妊娠中という事もあり、中庭以外は外に出る事を禁止されている為、丘に来ることはない。

さらに外に出るときは、必ず大勢のメイドを一緒に連れて行かせるという、徹底ぶりだ。さすがに身重な体では、逃げられないと思うのだが…

今日も朝食後、レオナルド様と一緒に食べるお菓子を作ろうと思っていたのだが…

「オリビア、今日は大切なお客様が来るの。私の幼馴染で親友なのよ。あなたにも紹介したいから、一緒に来て」

そう言われた。お母様の親友か。どんな人だろう。楽しみだわ。

早速部屋に戻ると、青いドレスに着替えた。レオナルド様が私には青色が良く似合うと言ってくれたのだ、最近は青色のドレスを好んで着る様にしている。髪も綺麗にセットしてもらったら完成だ。

基本的に、私は外部の人と会う事があまりない。だから、今日お母様の親友に会えるのが楽しみなのだ。一体どんな人かしら?

お母様と一緒に、一足先に客間へと向かう。

「お母様の親友って、どんな人なのですか?」

「そうね、苦楽を共にした、大切な人よ。私がこの国を出た事で、随分心配させてしまった様で。本当に申し訳ない事をしてしまったわ」

お母様が悲しそうに呟いた。きっとお母様にとって、とても大切な人なのだろう。

「この国には、お母様の大切な人が沢山いるのですね。私にも、大切な人が沢山出来るかしら?」

「そうね、この国は私の生まれ育った故郷だから。私がこの国を出なければ、あなたにも今頃たくさんの友人が出来ていたかもしれないわ。それに、村にいた大切な友人達とも、さよならせずに済んだのに…本当にごめんなさい」

お母様が申し訳なさそうに頭を下げた。

「そんなつもりで言ったのではないのです。私の方こそ、ごめんなさい。確かに村のお友達とのお別れは辛かったけれど、あの時はあの時で幸せでしたし、今も今で幸せですわ。それに、レオナルド様というお友達も出来ましたし」

しまった、ついうっかりとレオナルド様の名前を出してしまったわ。

「レオナルド様?それって…」

お母様が何かを話そうとした時、タイミングよくメイドがやって来た。

「失礼いたします。王妃様、ミシュ…」

「セリーヌが来たのね。すぐに通してちょうだい」

メイドの言葉を遮り、お母様が嬉しそうに立ち上がった。

すると、金色の髪を腰まで伸ばした綺麗な女性が、ゆっくりと入って来た。どうやらこの人が、お母様の親友の様だ。

「セリーヌ、会いたかったわ」

「シャリー!」

小走りで女性の元まで向かうと、お母様がその女性に抱き着いた。その女性も、涙を流しながら、お母様を抱きしめている。

「セリーヌ、心配かけて本当にごめんなさい」

「本当よ、あなたが国を出て行った後の10年間、本当に時が止まったようだったのよ。でも、元気そうでよかったわ」

お母様にとってこの女性は、本当に大切な友人なのだろう。2人の姿を見て、そう思った。

「それにしても、こんなにも長い期間、会わせてもらえないなんて。オーフェン様の嫉妬深さまも相当なものね」

「仕方ないわよ。私がオーフェン様を裏切って国を出たのだから…そのせいで、随分と皆にも迷惑を掛けた様だし。レックス様も私を探すために、各国を飛び回っていたのでしょう。本当にごめんなさい。本来なら新婚で幸せな時期に…」

「本当よ!でも、戻って来てくれてよかったわ。それで、あなたの娘、オリビアちゃんは?」

美しいエメラルドグリーンの瞳と目が合った。

「あなたがオリビアちゃんね。なんて可愛らしいのかしら?シャリーの子供の頃によく似ているわ。でも、髪と瞳はオーフェン様に似たのね」

私の方にやって来て、嬉しそうに微笑んでくれた。この人、誰かに似ている…とにかく、私も挨拶をしないと。

「お初にお目にかかります。私はオリビア・ディア・ペリオリズモスです。どうぞお見知りおきを」

何度も何度も練習したカーテシーを、初めて披露した。どうだ、私のカーテシーは!

「あらあら、立派な王女様ね。それにしても可愛いわ」

そう言ってクスクスと笑っている女性。なぜかお母様も笑っているし…

ふとドアの方に目をやると、そこにいたのは…

「レオナルド様!」

なぜかレオナルド様が立っていたのだ。
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