平民になった元公爵令嬢ですが、第二王子と幸せになる為に戦います

Karamimi

文字の大きさ
32 / 47

第32話:お母様のお兄様がやって来ました

しおりを挟む
「随分遅くまで長居してしまったね。そろそろ帰るよ。それじゃあ、マリー、ルーマさん、僕はこれで」

「またいつでも遊びに来てくださいね。マリアナちゃんの事、よろしくお願いします」

ルーマさんが何度も何度もエドワード様に頭を下げている。そしてエドワード様の乗った馬車が見えなくなるまで、手を振っていた。

「メイド長に話しは聞いていたけれど、とても素敵な青年じゃないか。この街の男どもにはいないタイプだね。でもマリアナちゃんには、ああいった男性の方があうのだろう。マリアナちゃん、きっとあなたの亡くなったお母さんが、あなた達をめぐり合わせてくれたんだよ。だってそうとしか考えられないだろう?こんな国の端にある小さな街で、全く縁もゆかりもない2人が再会するだなんて。こりゃ小説になりそうだ」

そう言ってルーマさんが笑っている。

「もう、ルーマさんったら。ルーマさん、今日はエドワード様と会って話してくれて、ありがとうございました。大好きな2人がこうやって仲良くしてくれるのが、なんだか嬉しくて…」

「私もずっとお坊ちゃんの事が気になっていたからね。今日話が出来てよかったよ。ほら、明日も早いし、そろそろ寝よう。明日も屋敷に行くのだろう?」

「はい、そのつもりですわ」

「マリアナちゃん、私はいつでもあなたの味方だよ。だから、自分が思う様に進めばいいからね。私はあなたを応援しているから」

そう言うと、ルーマさんは笑顔で去って行った。

彼女は私がどこから来たのか、今までどう生きて来たのか根掘り葉掘り聞いてきたりはしない。そえでももしかしたら、何かを感じ取っているのかもしれない。そんな気がした。

翌日
私はお母様が亡くなって以降、初めてお母様から貰ったブローチを胸に付け、ネックレスを首から下げた。今まではお母様の死を、頭のどこかで受け入れられなかった自分がいた。でも昨日、エドワード様と一緒にお母様の残してくれた思い出の品を見たら、少しだけ心の整理がついたのだ。

これからは私がお母様の意思を受け継いでいきたい、そんな思いから、お母様が大切にしていたネックレスとブローチを付けたのだ。

そしていつもの様に、屋敷へと向かう。

「あら、マリアナちゃん。可愛らしいブローチとネックレスを付けているのね。素敵なデザインだわ」

一緒に乗っていた先輩メイドが声を掛けてくれる。

「はい、母の形見でして。急に付けたくなって、付けてみたのですが…」

「いいじゃない!とても素敵よ。やっぱり若い女の子はおしゃれしないとね」

そう言ってほほ笑んでくれている。本当にこの屋敷で働いている使用人たちは、いい人ばかりなのだ。思い返してみれば、もし公爵令嬢だった頃にこのブローチとネックレスを付けていたら、継母か王妃様に取り上げられていただろう。あの人たちは、私がアクセサリーを付ける事を、嫌がっていたから…

今思い返しても、本当に意地悪な人たちだったわ。あんな意地悪な人たちが、今後もこの国を引っ張っていくのかと思うと、やっぱりこの国の為にも良くない!

でも、この地にいたら、私は何も動く事が出来ない。いっその事、王都に戻って色々調べてみる?でも…

「マリアナちゃん、今度は深刻そうな顔をしてどうしたんだい?それにしても、お坊ちゃまは本当にマリアナちゃんの事が好きなんだね。門の前で待っているよ」

窓を見ながら先輩メイドが笑っていた。私も窓の外をみると、確かに門の外で、エドワード様が待ってくれていた。

本当にあの人は…
彼の姿を見たら、何だが笑いが込みあげてきた。

「おはよう、マリー。それに皆も、おはよう」

「おはようございます、エドワード様」

「おはようございます、お坊ちゃま。お坊ちゃまは本当にマリアナちゃんに夢中ですわね。マリアナちゃんの事、大切にしてあげて下さいね」

生温かい視線を送りながら、嬉しそうに去っていく先輩メイドたち。エドワード様が私に夢中だなんて。なんて事を言っていくのかしら?そう思ったのだが、当の本人はあまり気にしていない様だ。

「マリー、お腹が空いただろう。すぐに朝食にしよう。それから、昨日君から預かったオルゴールなのだが、母上にも話をしたよ。早速今日にでも、鍵師に開けられないか依頼するつもりだ」

「まあ、もう話をして下さったのですね。ありがとうございます。でも、何も入っていないかもしれませんわ」

「それならそれでいいじゃないか。それにマリーだって、中を開けないと落ち着かないだろう」

確かに中が気になる。鍵師が開けてくれるのなら、それに越したことはない。そう思って依頼をしたのだが

「この鍵穴は、とても特殊ですね。私も初めて見ましたよ」

そう言って一生懸命開けようとしてくれたが

「これは無理ですね。いっその事、壊して開けた方が…」

「それはダメだ。このオルゴールは、マリーの母の大切な形見なんだ。開けられないなら仕方がない。ありがとう」

どうやら鍵師にも開けられない様だ。

「ごめんね、マリー」

「どうしてエドワード様が謝るのですか?それよりも、ありがとうございます。このオルゴールを大切に思ってくれて」

「当たり前だろう。このオルゴールは、君の大切な物なのだから。誰にも傷つけさせないよ」

そう言ってほほ笑んでくれるエドワード様。その時、ふと昨日ルーマさんが言っていた言葉を思い出す。

“あなたの亡くなったお母さんが、あなた達をめぐり合わせてくれたんだよ”

確かにお母様が、私をエドワード様の元に導いてくれたのかもしれない。なんだか急にそんな気がしてきた。


その時だった。

「マリーちゃん、ちょっといいかしら?」

奥様が私たちの元にやって来たのだ。奥様の後ろには…

「マリー、やっぱりマリーではないか」

「伯父様!どうしてこちらに?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ! 王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。 だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。 「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」 突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。 「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」 伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。 不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。 そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き―― 「君のような女性こそ、王国に必要だ。」 そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!? 婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!? 元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

処理中です...