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第81話:僕の選択~レドルフ視点~
「我がクレスロン男爵家は、何千年も前から、闇の一族としてひっそりと生きてきました。とはいえ、月日が経つにつれて、闇の力を持って生まれる者がどんどん減っていき、ついに4000年前に誕生した男を最後に、闇の力を持った人間は生まれなくなってしまったのです。
もちろん、闇の力を持った人間も、不老不死という訳ではありません。魔王の血を分けてもらう事で、今まで生きながらえてきたのです。その為、今回魔王が消滅してしまった事で、闇の力を維持するためには、新たな魔王が必要なのです。
そこで白羽の矢が立ったのが、レドルフ殿下、あなた様だったのです。闇の魔力を持った者曰く、あなた様の憎しみや悲しみは、4000年前、魔王になった当時の第二王子とよく似ているとおっしゃっていらっしゃいました。
魔王になるためには、強い憎しみや悲しみ、絶望と怒りの念が必要なのだとか。どうですか?殿下、このままジルバード殿下に全てを奪われ、絶望と怒り、悲しみの日々を送るよりも、いっそ魔王になって、この国を支配しては。
前の魔王は、少々どんくさいところがあったようで、この国を制圧できなかった様です。ですが優秀なあなた様ならきっと、この国を制圧できます。魔王になってこの国を手に入れる事が出来れば、アイリーン様も手に入れる事が出来るかと」
「さっきから聞いていれば、好き勝手言って!僕に魔王になれだって!ふざけないでくれ。どうして僕が、魔王なんかにならないといけないのだい?僕は魔王になんてならなくても、国王の座もアイリーンも手に入れて見せる」
魔王はずっと僕たちを苦しませてきた、悪い奴なんだ。どうして僕が、そんな奴にならないといけないのだ!ふざけるのも大概にしてほしい。
「お言葉ですが、それではどうやって国王の座も、アイリーン様も手に入れるとおっしゃるのですか?既に国中が、ジルバード殿下の王太子就任を祝福しております。その上あなた様は今、厳しい監視下にあるのでしょう?最悪の場合、無実の罪を着せられ、処刑されるなんてことも…」
「処刑だって?僕は王族だよ。王族が処刑だなんて…」
「ですが前の魔王は、第二王子でありながら、処刑が決まっていたそうですよ。レドルフ殿下だって、十分考えられます。確かに魔王は、あまり印象は良くありませんが、それもその人次第。ただ魔王になる事で、絶大な力を手に入れる事が出来るのです。そうすれば、この国はあなた様の思いのまま。
とはいえ、急に魔王になれと言われても、殿下も混乱しているでしょう。もしあなた様の決心がついたら、この通信機から連絡をください。これは闇の魔法が掛けられた、特殊な通信機なのです。
絶対に他者にバレる事はありませんので、ご安心を。それでは私はこれで、失礼いたします」
「待ってくれ…」
風の様にスッと消えたクレスロン元男爵。ありえない、いくら僕たちが魔力持ちだからと言っても、魔法陣なしで瞬間移動が出来るだなんて…
その上、いとも簡単に護衛たちを倒すだなんて…
「魔王か…」
僕は幼い頃から、魔王は国を滅ぼす恐ろしい奴だと教わって来た。僕もずっと、魔王が憎くてたまらなかった。
でも…
「魔王になれば、この国は僕のものになる。そのうえ、アイリーンも…」
もしこのまま何もしなければ、ジルバードに全てを奪われ、惨めな人生を送るだけ。もしかしたら、クレスロン元男爵が言った通り、僕はジルバードによって殺されてしまうかもしれない。
そんなのは、絶対に嫌だ!そもそも第二王子のくせに、全てを僕から奪ったジルバードを絶対に許す事なんてできない。あいつを奈落の底に叩き落としてやりたい。
その為には、絶大な力が必要だ…
どうせ僕には、もう何も残っていないんだ。
それならいっその事、魔王になるのも悪くはない。
僕はそっともらったばかりの通信機に手を伸ばしたのだった。
※次回、アイリーン視点に戻ります。
よろしくお願いします。
もちろん、闇の力を持った人間も、不老不死という訳ではありません。魔王の血を分けてもらう事で、今まで生きながらえてきたのです。その為、今回魔王が消滅してしまった事で、闇の力を維持するためには、新たな魔王が必要なのです。
そこで白羽の矢が立ったのが、レドルフ殿下、あなた様だったのです。闇の魔力を持った者曰く、あなた様の憎しみや悲しみは、4000年前、魔王になった当時の第二王子とよく似ているとおっしゃっていらっしゃいました。
魔王になるためには、強い憎しみや悲しみ、絶望と怒りの念が必要なのだとか。どうですか?殿下、このままジルバード殿下に全てを奪われ、絶望と怒り、悲しみの日々を送るよりも、いっそ魔王になって、この国を支配しては。
前の魔王は、少々どんくさいところがあったようで、この国を制圧できなかった様です。ですが優秀なあなた様ならきっと、この国を制圧できます。魔王になってこの国を手に入れる事が出来れば、アイリーン様も手に入れる事が出来るかと」
「さっきから聞いていれば、好き勝手言って!僕に魔王になれだって!ふざけないでくれ。どうして僕が、魔王なんかにならないといけないのだい?僕は魔王になんてならなくても、国王の座もアイリーンも手に入れて見せる」
魔王はずっと僕たちを苦しませてきた、悪い奴なんだ。どうして僕が、そんな奴にならないといけないのだ!ふざけるのも大概にしてほしい。
「お言葉ですが、それではどうやって国王の座も、アイリーン様も手に入れるとおっしゃるのですか?既に国中が、ジルバード殿下の王太子就任を祝福しております。その上あなた様は今、厳しい監視下にあるのでしょう?最悪の場合、無実の罪を着せられ、処刑されるなんてことも…」
「処刑だって?僕は王族だよ。王族が処刑だなんて…」
「ですが前の魔王は、第二王子でありながら、処刑が決まっていたそうですよ。レドルフ殿下だって、十分考えられます。確かに魔王は、あまり印象は良くありませんが、それもその人次第。ただ魔王になる事で、絶大な力を手に入れる事が出来るのです。そうすれば、この国はあなた様の思いのまま。
とはいえ、急に魔王になれと言われても、殿下も混乱しているでしょう。もしあなた様の決心がついたら、この通信機から連絡をください。これは闇の魔法が掛けられた、特殊な通信機なのです。
絶対に他者にバレる事はありませんので、ご安心を。それでは私はこれで、失礼いたします」
「待ってくれ…」
風の様にスッと消えたクレスロン元男爵。ありえない、いくら僕たちが魔力持ちだからと言っても、魔法陣なしで瞬間移動が出来るだなんて…
その上、いとも簡単に護衛たちを倒すだなんて…
「魔王か…」
僕は幼い頃から、魔王は国を滅ぼす恐ろしい奴だと教わって来た。僕もずっと、魔王が憎くてたまらなかった。
でも…
「魔王になれば、この国は僕のものになる。そのうえ、アイリーンも…」
もしこのまま何もしなければ、ジルバードに全てを奪われ、惨めな人生を送るだけ。もしかしたら、クレスロン元男爵が言った通り、僕はジルバードによって殺されてしまうかもしれない。
そんなのは、絶対に嫌だ!そもそも第二王子のくせに、全てを僕から奪ったジルバードを絶対に許す事なんてできない。あいつを奈落の底に叩き落としてやりたい。
その為には、絶大な力が必要だ…
どうせ僕には、もう何も残っていないんだ。
それならいっその事、魔王になるのも悪くはない。
僕はそっともらったばかりの通信機に手を伸ばしたのだった。
※次回、アイリーン視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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