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第82話:最後の戦い【その1】
「クレスロン元男爵の居場所は、見つかったかい?」
「いえ、まだ見つかっておりません。国中を探しましたが、どこにもいないのです。一体どこに隠れたのか…」
「レア様が追放された国もくまなく探しましたが、レア様も見つからなくて…もしかしたら、他国に逃げてしまったのかもしれません」
「君たち、2日で解決すると言ったよね?もう1週間も経つのに、まだ元男爵の手がかりも見つからないだなんて…」
ハァっとため息をつくジルバード様と、申し訳なさそうに俯くルリアン様達。彼女たちが非常に優秀な事は、誰よりも私がよく理解している。彼女たちの魔力はトップクラスで、特にアイリス様は、人を探す天才だ。
前世でも行方不明になった貴族の子供を、魔力を使い、一瞬で見つけたほどに…今もその能力は衰えていないはず…
それなのに、元男爵だけでなく、レア様まで行方をくらませているだなんて、何かがおかしい。
「ジルバード様、皆様をあまり責めないで下さい。私も一度、クレスロン元男爵家を視察してもいいでしょうか。少し気になる事がありまして…」
「ああ、構わないが…だがあの屋敷は、既にしらみつぶしに調査をして、何も出てこなかったとの調査報告が上がっている。俺も何度も足を運んだが、何も見つからなかったし…」
「皆様を信用していない訳ではないのです…ただ、なんだか引っかかって…」
「それでしたら、私たちが案内しますわ。早速参りましょう」
「勝手にアイリーンを連れて行かないでくれ。俺も一緒に行くよ」
女性陣に連れて行かれそうになる私の腕を、ジルバード様が掴み、そのまま抱き寄せられた。なぜかジルバード様は、未だに彼女たちの事を警戒しているのだ。彼女たちが一時期意地悪だったのは、魔王の呪いのせいだという事も説明したのだが、どうも信用できないらしい…
そんなジルバード様に、彼女たちもあきれ顔だ。
気を取り直して、クレスロン元男爵家の屋敷に到着した。そして、1部屋1部屋ゆっくりと見ていく。
「確かに変わった様子はなさそうですね。魔力で部屋を透視しても、特に何もなさそうですし…」
「そうなのですよ、男爵家には全く変わった様子がなくて…」
彼女たちから報告をもらった通り、確かに変わった様子は何もない。念のため、中庭も見て回る。
「あら?あの小さな小屋はなにかしら?」
「あの小屋は、物置用の小屋ですわ。あそこも透視したのですが、特に何もありませんでした」
なるほど、ただの小屋か…でも、なんだか気になる。無意識に小屋に足が向かい、扉を開けた。
確かに庭師たちが使っていたであろう、道具たちが並んでいた。
だが次の瞬間、猛烈な頭痛に襲われたのだ。あまりの痛さに、その場に倒れ込む。
「アイリーン、大丈夫かい?」
「「「「アイリーン様!」」」」
すぐにジルバード様が抱き起してくれたが、その場を動く事が出来ない。
「私は…大丈夫ですわ…ただ、一度外に…」
「ああ、分かった、とにかく一度、王宮に戻ろう」
「いいえ、少し休んだら、大丈夫ですわ。きっとあの小屋に、何かが隠されているはずです」
「それなら、私たちが再度小屋を調査いたしますわ。ですので、アイリーン様は…」
「いいえ、私が自ら行かないと、解決しない気がするの。少し休んだから、もう大丈夫よ」
外の空気を吸った瞬間、今までの頭痛が嘘のように、すっとおさまったのだ。きっとあの小屋に、何かが隠されている。そんな気がするのだ。
再び小屋の方に向かって歩き出した。
「待って、アイリーン、万が一の事があったら大変だ。顔色だってよくないよ。とにかく今日は、王宮に戻ろう」
「ジルバード殿下の言う通りですわ。ここは私達が調査をいたしますから」
「待って…」
あっと言う間にジルバード様に抱きかかえられ、そのまま王宮へと戻されてしまったのだった。
「いえ、まだ見つかっておりません。国中を探しましたが、どこにもいないのです。一体どこに隠れたのか…」
「レア様が追放された国もくまなく探しましたが、レア様も見つからなくて…もしかしたら、他国に逃げてしまったのかもしれません」
「君たち、2日で解決すると言ったよね?もう1週間も経つのに、まだ元男爵の手がかりも見つからないだなんて…」
ハァっとため息をつくジルバード様と、申し訳なさそうに俯くルリアン様達。彼女たちが非常に優秀な事は、誰よりも私がよく理解している。彼女たちの魔力はトップクラスで、特にアイリス様は、人を探す天才だ。
前世でも行方不明になった貴族の子供を、魔力を使い、一瞬で見つけたほどに…今もその能力は衰えていないはず…
それなのに、元男爵だけでなく、レア様まで行方をくらませているだなんて、何かがおかしい。
「ジルバード様、皆様をあまり責めないで下さい。私も一度、クレスロン元男爵家を視察してもいいでしょうか。少し気になる事がありまして…」
「ああ、構わないが…だがあの屋敷は、既にしらみつぶしに調査をして、何も出てこなかったとの調査報告が上がっている。俺も何度も足を運んだが、何も見つからなかったし…」
「皆様を信用していない訳ではないのです…ただ、なんだか引っかかって…」
「それでしたら、私たちが案内しますわ。早速参りましょう」
「勝手にアイリーンを連れて行かないでくれ。俺も一緒に行くよ」
女性陣に連れて行かれそうになる私の腕を、ジルバード様が掴み、そのまま抱き寄せられた。なぜかジルバード様は、未だに彼女たちの事を警戒しているのだ。彼女たちが一時期意地悪だったのは、魔王の呪いのせいだという事も説明したのだが、どうも信用できないらしい…
そんなジルバード様に、彼女たちもあきれ顔だ。
気を取り直して、クレスロン元男爵家の屋敷に到着した。そして、1部屋1部屋ゆっくりと見ていく。
「確かに変わった様子はなさそうですね。魔力で部屋を透視しても、特に何もなさそうですし…」
「そうなのですよ、男爵家には全く変わった様子がなくて…」
彼女たちから報告をもらった通り、確かに変わった様子は何もない。念のため、中庭も見て回る。
「あら?あの小さな小屋はなにかしら?」
「あの小屋は、物置用の小屋ですわ。あそこも透視したのですが、特に何もありませんでした」
なるほど、ただの小屋か…でも、なんだか気になる。無意識に小屋に足が向かい、扉を開けた。
確かに庭師たちが使っていたであろう、道具たちが並んでいた。
だが次の瞬間、猛烈な頭痛に襲われたのだ。あまりの痛さに、その場に倒れ込む。
「アイリーン、大丈夫かい?」
「「「「アイリーン様!」」」」
すぐにジルバード様が抱き起してくれたが、その場を動く事が出来ない。
「私は…大丈夫ですわ…ただ、一度外に…」
「ああ、分かった、とにかく一度、王宮に戻ろう」
「いいえ、少し休んだら、大丈夫ですわ。きっとあの小屋に、何かが隠されているはずです」
「それなら、私たちが再度小屋を調査いたしますわ。ですので、アイリーン様は…」
「いいえ、私が自ら行かないと、解決しない気がするの。少し休んだから、もう大丈夫よ」
外の空気を吸った瞬間、今までの頭痛が嘘のように、すっとおさまったのだ。きっとあの小屋に、何かが隠されている。そんな気がするのだ。
再び小屋の方に向かって歩き出した。
「待って、アイリーン、万が一の事があったら大変だ。顔色だってよくないよ。とにかく今日は、王宮に戻ろう」
「ジルバード殿下の言う通りですわ。ここは私達が調査をいたしますから」
「待って…」
あっと言う間にジルバード様に抱きかかえられ、そのまま王宮へと戻されてしまったのだった。
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