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第3話:ここに置いてもらえそうです
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逃げ足だけは本当に早いのだから…て、感心している場合ではない。私にはもう行く場所がないのだ。
「あの…お初にお目にかかります。第二王女のレアンヌ・ミル・ファリシアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
英雄様に向かってカーテシーを決める。ある程度のマナーは、お母様が教えてくれた。と言っても、本当にちょっとしたマナーだけだが…
「レアンヌだと?国王の娘は、あの生意気そうな王女1人だけだったと思ったが…」
生意気そうな王女とはきっと、カトレナ王女の事だろう。
「私は陛下の愛人の子供ですので、あまり公の場に出る事はありませんでした。その為、あなた様も私の存在をご存じなかったのでしょう。あの…私にはもう帰る場所はありません。どうか、ここに置いてもらえないでしょうか?もちろん、ただでとは言いません。掃除洗濯お料理、ある程度の事は出来ますので、どうかお願いします」
この屋敷を出されたら、私は野垂れ死ぬしか道はない。そう思い、必死に頭を下げた。
「…要するにあの生意気そうな王女が私の元に嫁ぐのが嫌だと言ったため、君が無理やり嫁いできたのだな。よく見ると、やせ細っているし、手も荒れているではないか!いくら愛人の子供だからって、王家の血を受け継ぐ王女にこんな酷い扱いをするだなんて!…わかった、好きなだけここにいてもらって構わない。ただし、私にはあまり関わらないでくれ。もちろん、夫婦として過ごすつもりもない。部屋は使用人に案内させよう」
どうやら私はこの家に置いてもらえる様だ。
「ありがとうございます!よろしくお願いします」
何度も何度も頭を下げた。
「そんなに頭を下げてもらわなくてもいいよ。それでは私はこれで失礼する。彼女を客間にでも案内していやってくれ」
近くにいたメイドに指示を出し、去っていく英雄様。
「レアンヌ殿下とおっしゃられましたね。どうぞこちらへ」
近くに控えていたメイドが声を掛けてきてくれた。
「殿下だなんて名ばかりですわ。どうか私の事は、レアンヌと呼んでください。それにもう、王女ではありませんから」
「…分かりましたわ、レアンヌ様。さあ、こちらです」
メイドに案内され、部屋へと向かう。
「とりあえずこちらのお部屋をお使いください。それでは私はこれで失礼いたします」
そう言うとメイドは出て行った。それにしても、立派な部屋ね。こんな立派な部屋を、私が使ってもいいのかしら?
ふと窓の外を見ると、大きな森が見える。早速窓を開ける。すると、小鳥たちがやって来た。
「こんにちは、今日からこのお家でお世話になるレアンヌよ。よろしくね」
“レアンヌ、君は僕たちと話が出来るのかい?人間なのに…”
小鳥たちがびっくりしている。
「ええ、出来るわ。これから仲良くしてね」
“ああ、もちろんだ。よろしくね。そうだ、この森にはたくさんの動物がいるんだよ。後で案内してあげるよ。きっと君なら、皆とも仲良くなれるよ”
「ありがとう。ただ私は居候の身だから、また落ち着いたら案内してくれるかしら?」
“もちろんだよ。それじゃあ、また来るね”
そう言って飛んで行った小鳥たち。この森の動物たちも、いい子ばかりの様ね。ここでの暮らしに慣れたら、動物たちにも会いに行こう。
よし、まずは荷物を解かないと!持ってきた荷物を解いていく。と言っても、私の荷物はあまりないが、どうやら王宮のメイドたちが色々と詰め込んだ様で、沢山のドレスが入っていた。でも、私にはこんなドレス、必要ないわ。それにこの格好も苦しいし。
いつもの様に動きやすいワンピースに着替えた。せっかくだから、お屋敷内を見学させてもらおうかしら?そう思っていると
「レアンヌ様、お食事をお持ちいたしました」
さっきのメイドが、わざわざ食事を持ってきてくれたのだ。
「まあ、わざわざ持ってきてくださったのね。ありがとうございます。まあ、何て美味しそうなお料理なのかしら?これ、全部私が食べてもいいのですか?」
「…ええ、もちろんですわ…」
「ありがとうございます。早速頂きますね。そうそう、次回から運んでいただくのは申し訳ないので、頂きに参りますわ。厨房に取りに行けばよろしいでしょうか?」
私の為にわざわざ持ってきてもらうだなんて、申し訳ない。そう思って提案したのだが…なぜか目を丸くして固まっている。あら?私、変な事を言ったかしら?それとも、図々しく厨房までお料理をもらいに行くといった事が気に入らなかった?
「あの…ごめんなさい。居候の身で、図々しいですわね。あの…もしよろしければ、厨房の一角を貸して頂ければ、自分で料理をさせていただきます」
「いえ…こちらこそ申し訳ございません。王女様とお伺いしていたので…レアンヌ様は旦那様と結婚されたとお伺いしました。ですから、お料理は私共が運ばせていただきます。それが私どものお仕事ですので」
「分かりましたわ。では、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げた。そして、早速お料理を頂く。一応臭いを嗅いで確認だ。万が一毒が入っていては大変だものね。
そしてゆっくり口に含んだ。これは美味しいわ。こんなにも美味しいお料理を頂けるだなんて。本当に幸せね。
あまりの美味しさに、夢中で食べていく。そして、あっと言う間に食べきってしまった。食後は湯あみもした。メイドが手伝ってくれようとしたが、今までも1人で洗っていたので、丁重にお断りした。
そして、フカフカのベッドに入る。なんて柔らかいベッドなのかしら。ホテルのベッドも柔らかかったけれど、ここのベッドはまた格別ね。
なんだかんだ言って英雄様はいい人の様だし、ここに置いてもらえる事になって、本当によかったわ。そう思いながら、眠りについたのだった。
「あの…お初にお目にかかります。第二王女のレアンヌ・ミル・ファリシアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
英雄様に向かってカーテシーを決める。ある程度のマナーは、お母様が教えてくれた。と言っても、本当にちょっとしたマナーだけだが…
「レアンヌだと?国王の娘は、あの生意気そうな王女1人だけだったと思ったが…」
生意気そうな王女とはきっと、カトレナ王女の事だろう。
「私は陛下の愛人の子供ですので、あまり公の場に出る事はありませんでした。その為、あなた様も私の存在をご存じなかったのでしょう。あの…私にはもう帰る場所はありません。どうか、ここに置いてもらえないでしょうか?もちろん、ただでとは言いません。掃除洗濯お料理、ある程度の事は出来ますので、どうかお願いします」
この屋敷を出されたら、私は野垂れ死ぬしか道はない。そう思い、必死に頭を下げた。
「…要するにあの生意気そうな王女が私の元に嫁ぐのが嫌だと言ったため、君が無理やり嫁いできたのだな。よく見ると、やせ細っているし、手も荒れているではないか!いくら愛人の子供だからって、王家の血を受け継ぐ王女にこんな酷い扱いをするだなんて!…わかった、好きなだけここにいてもらって構わない。ただし、私にはあまり関わらないでくれ。もちろん、夫婦として過ごすつもりもない。部屋は使用人に案内させよう」
どうやら私はこの家に置いてもらえる様だ。
「ありがとうございます!よろしくお願いします」
何度も何度も頭を下げた。
「そんなに頭を下げてもらわなくてもいいよ。それでは私はこれで失礼する。彼女を客間にでも案内していやってくれ」
近くにいたメイドに指示を出し、去っていく英雄様。
「レアンヌ殿下とおっしゃられましたね。どうぞこちらへ」
近くに控えていたメイドが声を掛けてきてくれた。
「殿下だなんて名ばかりですわ。どうか私の事は、レアンヌと呼んでください。それにもう、王女ではありませんから」
「…分かりましたわ、レアンヌ様。さあ、こちらです」
メイドに案内され、部屋へと向かう。
「とりあえずこちらのお部屋をお使いください。それでは私はこれで失礼いたします」
そう言うとメイドは出て行った。それにしても、立派な部屋ね。こんな立派な部屋を、私が使ってもいいのかしら?
ふと窓の外を見ると、大きな森が見える。早速窓を開ける。すると、小鳥たちがやって来た。
「こんにちは、今日からこのお家でお世話になるレアンヌよ。よろしくね」
“レアンヌ、君は僕たちと話が出来るのかい?人間なのに…”
小鳥たちがびっくりしている。
「ええ、出来るわ。これから仲良くしてね」
“ああ、もちろんだ。よろしくね。そうだ、この森にはたくさんの動物がいるんだよ。後で案内してあげるよ。きっと君なら、皆とも仲良くなれるよ”
「ありがとう。ただ私は居候の身だから、また落ち着いたら案内してくれるかしら?」
“もちろんだよ。それじゃあ、また来るね”
そう言って飛んで行った小鳥たち。この森の動物たちも、いい子ばかりの様ね。ここでの暮らしに慣れたら、動物たちにも会いに行こう。
よし、まずは荷物を解かないと!持ってきた荷物を解いていく。と言っても、私の荷物はあまりないが、どうやら王宮のメイドたちが色々と詰め込んだ様で、沢山のドレスが入っていた。でも、私にはこんなドレス、必要ないわ。それにこの格好も苦しいし。
いつもの様に動きやすいワンピースに着替えた。せっかくだから、お屋敷内を見学させてもらおうかしら?そう思っていると
「レアンヌ様、お食事をお持ちいたしました」
さっきのメイドが、わざわざ食事を持ってきてくれたのだ。
「まあ、わざわざ持ってきてくださったのね。ありがとうございます。まあ、何て美味しそうなお料理なのかしら?これ、全部私が食べてもいいのですか?」
「…ええ、もちろんですわ…」
「ありがとうございます。早速頂きますね。そうそう、次回から運んでいただくのは申し訳ないので、頂きに参りますわ。厨房に取りに行けばよろしいでしょうか?」
私の為にわざわざ持ってきてもらうだなんて、申し訳ない。そう思って提案したのだが…なぜか目を丸くして固まっている。あら?私、変な事を言ったかしら?それとも、図々しく厨房までお料理をもらいに行くといった事が気に入らなかった?
「あの…ごめんなさい。居候の身で、図々しいですわね。あの…もしよろしければ、厨房の一角を貸して頂ければ、自分で料理をさせていただきます」
「いえ…こちらこそ申し訳ございません。王女様とお伺いしていたので…レアンヌ様は旦那様と結婚されたとお伺いしました。ですから、お料理は私共が運ばせていただきます。それが私どものお仕事ですので」
「分かりましたわ。では、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げた。そして、早速お料理を頂く。一応臭いを嗅いで確認だ。万が一毒が入っていては大変だものね。
そしてゆっくり口に含んだ。これは美味しいわ。こんなにも美味しいお料理を頂けるだなんて。本当に幸せね。
あまりの美味しさに、夢中で食べていく。そして、あっと言う間に食べきってしまった。食後は湯あみもした。メイドが手伝ってくれようとしたが、今までも1人で洗っていたので、丁重にお断りした。
そして、フカフカのベッドに入る。なんて柔らかいベッドなのかしら。ホテルのベッドも柔らかかったけれど、ここのベッドはまた格別ね。
なんだかんだ言って英雄様はいい人の様だし、ここに置いてもらえる事になって、本当によかったわ。そう思いながら、眠りについたのだった。
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