邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第4話:公爵家を探検します

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翌日目が覚めると、メイドが挨拶に来てくれた。

「レアンヌ様、本日からあなた様のお世話をさせていただく、専属メイドのリサと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

昨日のメイドが、改めて挨拶してくれた。

「ご丁寧にありがとうございます。リサさんとおっしゃるのですね。こちらこそ、お世話になります」

いくら陛下の命令だったとしても、勝手に押しかけていた私を置いてくれるだけでなく、メイドまで付けて下さるだなんて。英雄様はやっぱり英雄だけあって、お優しい方の様だ。

「レアンヌ様、どうか私の事はリサと呼び捨てにしてください。私はメイドですので。それにしても、レアンヌ様は、あまり王女様らしくないですわね。何でも1人でお出来になる様ですし…」

「私の母は元男爵令殿で、陛下の愛人でしたので、ずっと離宮に住んでいたのです。もちろんメイドもおらず、自分たちの事は何でも自分たちでしておりましたの。小さな厨房もありましたので、お料理も自分でしておりました。こんな私ですが、ここに置いてもらっても大丈夫でしょうか?」

よく考えてみれば、王女とは名ばかりの生活を送っていたのだ。そんな私が、専属メイドまで付けてもらってここにいてもいいのかしら?急に不安になって来たのだ。

「まあ、レアンヌ様は随分と苦労されたのですね。もちろんここにいらしてもらって大丈夫ですわ。ただ…旦那様は少し気難しいと申しますか…ですので、普通の夫婦生活を夢見られていらっしゃるなら、その…このお屋敷から出られた方がよろしいかと…」

普通の夫婦とは、どんなものなのかしら?正直よくわからない。

「私は7歳で母を亡くしてから、邪魔者として王宮内でも扱われておりました。ずっと1人で生きてきましたので、普通の夫婦というものがどういうものか分かりません。私はただ、このお屋敷においていただければ嬉しいと考えておりますの。もう私には、どこにも居場所がありませんので…」

もう王宮には帰れないだろう。帰ったところで、王妃様が何が何でも私を中には入れないだろうし、もしかしたら殺されるかもしれない。それならここに置いてもらえるなら置いてもらいたいのだ。

「そうだったのですね…お辛い話をさせてしまい、申し訳ございません。それでしたら、好きなだけ屋敷にいらしたら大丈夫ですわ。旦那様も、自分にさえ関わらなければ、好きなだけ居ても構わないとおっしゃっておりましたし。さあ、朝食にいたしましょう」

そう言うと、リサが食事を準備してくれた。朝からかなり豪華な食事だ。とても美味しくて、あっと言う間に平らげてしまった。こんなに美味しい食事を毎日食べていたら、あっと言う間におデブになりそうね。

食後はせっかくなので、公爵家を見て回る事にした。その事をリサに話すと、案内してくれるとの事。早速リサと2人で、屋敷を見て回る。

ちなみにメイドに敬語を使うのは良くないらしい。ずっと離宮で1人で過ごしていた為、貴族や王族の世界の常識を知らないのだ。でもこれからここでお世話になるのなら、少しは常識を覚えて行かないと。

一応読み書きは出来るから、本でも読んでマナーの勉強でもしようかしら?そんな事をつい考えてしまう。

「レアンヌ様、ここが食堂でここが厨房でございます。そしてここが居間でここが客間、この通路よりあちらは旦那様のお部屋と執務室がございますので、入らない様にお願いします」

「分かったわ。ここより先は行ってはいけないのね」

「次は中庭に行きましょう」

リサに連れられ、外に出て来た。

「まあ、なんて綺麗なお花なのかしら?こんなにも沢山お花が咲いているだなんて。あら?このお花は初めて見るわね。あら、こっちも」

離宮にも花は咲いていたが、こんなに綺麗には咲いていなかった。

「このお花はバラですわ。こっちはラベンダー。レアンヌ様は中庭は初めてですか?」

「ええ、基本的に離宮から出る事は禁止されておりましたし、離宮には中庭と呼ばれる、こんなにもお花が奇麗に咲いている場所はありませんでしたので」

「そうなのですね。それではこれからは、この中庭でゆっくりお茶を飲んだり、お菓子を食べたりして過ごしてください。読書をされてもいいかと」

「まあ、そんな事をしてもいいの?それは嬉しいわ。こんな美しい場所でお茶を飲んだら、さぞ美味しいのでしょうね」

想像しただけで、頬が緩む。

「それでは、早速お茶にしますか?すぐに準備いたしますね」

「えっ、いいの?」

「もちろんです。レアンヌ様はそちらのイスに座って、お待ちください」

優しい微笑を浮かべたリサが、そう言うと手際よくお茶とお菓子を準備してくれた。お菓子と言えば、自分で焼いたクッキーやマフィンくらいしか食べたことがないが、リサが準備してくれたお菓子は、とても豪華だ。

「こんな可愛らしいお菓子は初めて見たわ。これはなんというお菓子なの?」

「こっちがケーキで、こっちがマカロン。こちらがクッキーですわ」

「こんなにおしゃれなクッキーがあるのね。お菓子は全て自分で焼いていたから、こんなにもおしゃれなお菓子があるだなんて知らなかったわ。なんて可愛らしいお菓子なのかしら?食べるのが勿体ないわ…」

うっとりとお菓子を見つめる。すると、なぜか急にリサが目頭をハンカチで抑えだしたのだ。どうしたのかしら?
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