邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第14話:この顔が憎い~アントニオ視点~

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※残酷なシーン、戦争シーンが出てきます。苦手な方は飛ばしてください。


私は無理やり外に連れ出された。その時だった。物凄い爆音が響き渡る。さらに次々と爆音が響き渡る。

「一体何事だ。とにかくアントニオを馬車に乗せて…」

と、次の瞬間、物凄い爆風が私たちを襲い、そのまま吹き飛ばされた。一体何が起こっているのだ?訳が分からず、辺りを見渡す。すると、あちこちから炎が上がっている。さらに街の人たちが悲鳴を上げながら、逃げまどっていた。

ふと近くに倒れているあの男と護衛たちが目に入った。どうやら爆撃にやられた様で、びくともしない。こいつ、命を落としたのか…

父親が命を落とした事を理解した私は、全く悲しくはなかった。それどころか…欲を出してわざわざこんなところまで私たちを追いかけてくるから…バカな男だ…

自分でもびっくりする程、冷静だった。その時だった。リサ叔母上と従妹たち、さらに祖父母が私の元に駆けつけてくれた。

「アントニオ、ここにいたのね。よかったわ…て、あなた血だらけじゃない。大丈夫なの。姉さんは?」

「母上は…母上はこの男に殺された…」

気が付くと涙が溢れていた。

「この方は…姉さんが働いていた家の伯爵様だわ。もしかして、あなたを連れ戻しに来たの?」

「そうだよ…それで母上はこの男の護衛に切られて、それで。とにかく母上の元に戻らないと!」

急いで家に戻ろうとしたのだが…

「アントニオ、ここは危険よ。とにかく、逃げましょう!」

「嫌だよ。母上を残して逃げるだなんて」

「アントニオの母親は、私たちが様子を見てくるから、とにかくアントニオはリサと子供たちと一緒に逃げなさい!いいね。リサ、アントニオを連れてすぐに行くんだ!」

お爺様がそう叫ぶと、おばあ様と一緒に我が家へと向かった。

「さあ、アントニオ、逃げましょう」

リサ叔母上に連れられ、私と従妹たちは必死に山に向かって逃げた。あちこちでケガ人や助けを求める声が聞こえた。どうしてこんな事になったのだろう。昨日まで平和だったのに…一体何が起こっているのだろう。

溢れる涙を必死に堪え、リサ叔母上たちと必死に逃げた。そして、何とか森に逃げこんだ。街は炎に包まれ、まさに地獄の様な光景だった。燃え盛る街を見ながら、同じように逃げて来た人たちが涙を流している。

リサ叔母上も僕と従妹たちを抱きしめながら泣いていた。結局その日は、一睡もできないまま夜を明かした。その後数日間、皆で森で過ごした。ずっと僕に寄り添ってくれるリサ叔母上。さらに従妹たちも

「アントニオお兄ちゃん、大丈夫?私たちが傍にいるからね」

そう言って抱きしめてくれた。彼女たちに支えられ、何とか日々を過ごす。ただ、いくら探してもお爺様とおばあ様の姿が見つからない。

どうか無事でいて欲しい…そう思いながら、森で過ごす。そして数日後、どうやら隣国が我が国に戦争を吹っかけて来たという事が分かった。手始めに、国境付近のこの街を攻撃した様だ。

そしてこの街に、沢山の騎士団たちがやって来た。その中に、見覚えのある顔が…

「お前、アントニオじゃないか。こんなところにいたのか。相変わらず、女みたいな顔をしているな」

そう、私を女みたいな顔だと馬鹿にし、実力を認めなかったかつての同期達の姿が…あの後順調に訓練を続けたこいつらは、立派な騎士になっていた。それがなんだか無性に悔しかった。

さらにお爺様とおばあ様の遺体が見つかったという知らせが入った。どうやら母上の様子を見にいった直後、爆撃にやられたそうだ。

「あの時私が、母上の事を話さなかったら…」

きっと今頃、お爺様もおばあ様も生きていたのに…そう思ったら、胸が張り裂けそうになった。私のせいで、お爺様とおばあ様が…いいや、それだけじゃない。私が無駄に女みたいな顔をしていたから、母上も殺されたんだ。

私がこんな顔でなければ、あの男もここまで追ってはこなかっただろう。もしかしたら、伯爵家で今頃普通に暮らしていたのかもしれない…

私が…私のこの顔が全てを奪ったんだ…この顔が憎い…憎くてたまらない…

「アントニオ、大丈夫?お爺様やおばあ様が亡くなったのは、あなたのせいではないわ。だから、自分を責めないで。ファレッスの街は、もうすぐ隣国に落とされるわ。このままだと、私たちの命も危ない。アントニオ、とにかく王都に避難しましょう。大丈夫よ、あなたは私が必ず守るから」

そう言ってほほ笑んでくれたリサ叔母上。でも…これ以上迷惑はかけられない。

「叔母上、私はもう一度騎士団に入り、隣国と戦います。ですから、どうか叔母上は従妹たちをつれて王都に避難してください」

「何を言っているの?戦争に参加するだなんて…もしあなたまで命を落としたら、私は姉さんに顔向けできないわ」

必死に訴えてくるリサ叔母上。でも私は、もう決めたのだ。何とかリサ叔母上を説得し、再び騎士団に入団する事を決めた。ただ…

この顔だとまたバカにされる…
この日から私は、鉄の仮面を被って生活をする事にした。決して素顔を晒さないために。何より、私自身がこの顔を見なくて済むために…

その後は必死に戦った。命を惜しまず、常に先陣を切り戦い続けた。私のせいで、大切な人たちは命を落としていった。だからこそ、私は命を懸けてこの戦争を終わらせる!その思いだけで、戦い続けた。

いつか叔母上と従妹たちと一緒に、ファレッスの街で平和に暮らすために。叔母上から両親や姉を奪った私が出来る、唯一の罪滅ぼしだから…そう思い、必死に戦った。そしてついに、隣国との戦争を終わらせることが出来たのだった。
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