私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi

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第19話:邪魔者は退散します

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「それならどうして、カイロ様を切なそうに見つめていたのですか?それにこの美しい木だって、本当はカイロ様に見せたかったのではないのですか?」

「ちょっと、キャリーヌ、少し黙って頂戴。私は別にカイロ様にこの木を見せたかったわけではないし、カイロ様の事なんて、これっぽっちも好きではありませんわ」

 プイっとあちらの方向を向いてしまったミリアム様。相変わらず素直じゃないわね。

「私の元婚約者も、他の女性にうつつを抜かし、私に側妃になれとおっしゃいました。確かにカイロ様はなんと申しますか、いつも令嬢に囲まれていて、その…私の元婚約者と似ていますものね。ミリアム様が嫌うのも無理はありま…」

「ちょっと、あなたの元婚約者とカイロ様を一緒にしないで。カイロ様は優しくて思いやりのある素敵な方よ!間違ってもあなたの元婚約者の様な、最低な人間ではないのよ。いくらキャリーヌでも、これ以上カイロ様の事を悪く言ったら、許さないわ!」

 勢いよく私に詰め寄るミリアム様。つい笑いがこみえげて、笑ってしまった。

「何がおかしいのよ!」

「ごめんなさい。確かにカイロ様は、私の元婚約者とは全く違いますね。だって彼は、いつもミリアム様の方しか見ていないのですもの。私がカイロ様をお誘いした時も“ミリアム殿下に誤解されたくはないから”と、一緒に来ることを拒否しておられましたし。とても誠実な方だと思いますわ。ただ…」

 交互に2人の方を見つめた。

「お2人とも、今まで一度でもご自分の気持ちを伝えたことがありますか?私たち人間は、魔法使いではありません。相手が何を考えているのか、知ることが出来ないのです。だからこそ、言葉と言うものがあるのです。どうか今一度、お2人で話し合ってください」

「でも…」

 俯くミリアム様を、真っすぐと見つめた。

「ミリアム様、あなた様はこの国に来て最初にできた大切なお友達です。初めて貴族学院に来たあの日、私は令嬢たちから無視され、心無い言葉を言われ、心が折れそうになりました。婚約者に裏切られ、逃げる様にして国を出て来た私を、この国の貴族たちは受け入れてくれないのだと思うと、とても悲しかったのです。そんな中、ミリアム様は私を心配そうに見つめていましたよね。あなた様は、誰よりも優しい人です。どうか、愛する人と幸せになってください。私の分まで」

 初めて出来た大切なお友達、ミリアム様。誤解されやすい性格をしているが、根は本当に優しくて素敵な人なのだ。どうか彼女には、幸せになって欲しい。

 何よりも、婚約者でもあるカイロ様は、ミリアム様を愛していらっしゃるのだから。これ以上すれ違い、お互いが傷つき続けるだなんて無意味な事、今日で終わりにして欲しい。

「キャリーヌ嬢、ありがとうございます。言葉にしないと伝わらない、本当にその通りですよね。ミリアム殿下、あなたと初めて出会った日の事を覚えていますか?」

「えっと…王宮のお茶会が初めてでしたよね。あの時あなた様はすごい人気で…」

「いいえ、その前に会っているのです。少し早く着いた私は、会場でもある王宮の中庭を散歩しておりました。その時、あなた様の姿を見かけたのです。傷ついた鳥に優しく語り掛け、手当てをしていましたよね。その時の鳥に向ける優しい微笑を見た瞬間、私はあなた様を好きになりました。あなた様はご存じないかもしれませんが、ミリアム殿下と私の婚約は、私の強い希望で結ばれたのです」

「そんな…それではカイロ様は…」

「はい、ずっとあなた様をお慕いしておりました。もちろん、今もです。ただ、私は口下手で、殿下とどう接していいか分からず…それになぜか私の周りには令嬢が集まっていて。それでもなんとか殿下に近づこうと頑張っていたのですが、上手くいかなくて。それでも私は、殿下を誰よりも愛しています。ずっと伝えたかったのですが、拒否されるのが怖くて。臆病者で、申し訳ございません」

「そんな…あなた様は臆病者なんかではございませんわ。私の方こそ、いつも冷たくあしらって…私も、その…あ…あなた様の事は、嫌いではありません事よ!」

 顔を真っ赤にして、必死にミリアム様が訴えている。

 ミリアム様ったら、相変わらずね。それでもミリアム様なりに、必死に気持ちを伝えたのだろう。そう思ったら、つい笑みがこぼれた。

「ちょっとキャリーヌ、何がおかしいのよ」

「ごめんなさい、何でもありませんわ。カイロ様、ミリアム様の嫌いじゃないは、“大好き”と言う意味です。ミリアム様は少し口下手ですが、一緒に過ごすうちに、少しずつ理解できるようになると思いますわ。それでは邪魔者は退散しますね。どうかお2人で、ゆっくり話してみてください。ミリアム様、私と話すときの様に、カイロ様とも話してくださいね。それでは失礼いたします」

 2人に頭を下げると、そのまま歩き出した。

 本当に世話の焼ける人たちね。

 でも…

 チラリと後ろを振り向くと、はにかみながらも話をしている2人の姿が目に入った。

 きっともう、あの2人は大丈夫だろう。なんだかそんな気がした。


 ※次回、ミリアム視点です。
 よろしくお願いしますm(__)m
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