53 / 73
第53話:旅立ちの時です
しおりを挟む
「キャリーヌ、気を付けて帰るのよ。サミュエル殿下と仲良くね。サミュエル殿下、どうかキャリーヌをお願いしいたします」
「キャリーヌがいなくなると思うと、なんだか寂しいな。またいつでも遊びにおいで」
「お兄様、お姉様、グラン、長い間お世話になりました。またいつか必ず遊びに来ます。本当にありがとうございました」
お姉様夫婦と甥のグランに頭を下げる。
今日はいよいよ、アラステ王国に帰る日だ。あの日逃げる様に国を出たことが、随分昔の様に感じられる。あの時の私は、全てに絶望し、悲しみのどん底にいた。そんな私を支えてくれたお姉様家族には、感謝しかない。
今日だって、わざわざ私の為に王宮まで足を運んでくださったのだ。そう、私は今回、アラステ王国が手配した馬車で、サミュエル様と一緒に帰国をするのだ。行きはクラミーがいてくれたとはいえ、1人でここまで来た。
でも帰りは、サミュエル様と一緒だ。
「キャリーヌ嬢、君のお陰で、ミリアムと心が通じ合う事が出来た。これからは私がミリアムを支えて行くから、どうか安心して国に帰ってくれ」
胸を叩きながらアピールしているのは、カイロ様だ。
「ありがとうございます、どうかミリアム様の事を、よろしくお願いいたします」
きっとカイロ様なら、ミリアム様を幸せにしてくれるだろう。そう思っている。
「キャリーヌ嬢、色々と妹がお世話になったね。君のお陰で、妹の世界が変わったよ。ありがとう」
何と王太子殿下にまで、お礼を言われたのだ。お世話になったのは、私の方なのだが…
必死にその事を訴えたが、笑って聞き流されてしまった。ちなみにサミュエル様と王太子殿下は、随分と仲が良くなった様で、今後も積極的に交流を深めていこうと話していた。
そして最後は…
「キャリーヌ、あなたに会えて私、本当に幸せよ。離れていても、ずっとあなたの事を思っているわ」
「ミリアム様…私もです!それにこのブローチもありますし」
今日も私とミリアム様の胸には、あのブローチが光っている。
「それからこれ、映像型通信機よ。この通信機があれば、いつでも顔を見ながら話しが出来るのですって。グランズ王国にいる次兄が贈ってくれたの」
「まあ、ミリアム様のお兄様がですか?このような高価なものを、よろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ。兄が私たちの為に贈ってくれたのだから。キャリーヌ、もしあなたに何かあったら飛んでいくから。サミュエル殿下、どうかキャリーヌをよろしくお願いします」
「もちろん、僕が責任を持ってキャリーヌを幸せにします。ミリアム殿下、本当にお世話になりました。なんとお礼を言っていいか…」
「お礼を言うのは私の方ですわ。キャリーヌ、自国に戻った後、しばらくは大変かもしれないけれど、きっとあなたなら大丈夫よ。もし何か困ったことや悩みがあったら、すぐに連絡をしてきて」
「ありがとうございます、ミリアム様。この映像型通信機があれば、いつでもお話しできますものね。帰国したら、すぐに通信を入れますわ。ミリアム様、本当にありがとうございました」
改めてミリアム様に頭を下げ、ギュッと抱きしめた。次はいつ会えるか分からない。でも…きっと私たちの友情が、色あせる事はない。そう確信している。
「キャリーヌ、そろそろ行こう」
「はい。それでは皆様、本当にお世話になりました」
サミュエル様と馬車に乗り込む。そして、ゆっくり馬車が動き出した。手を振り見送ってくれる人たちに、私も必死に手を振り返す。
「本当にありがとうございました。いつかまた、この地に必ず来ますから」
馬車の中から必死に叫ぶ。きっともう、聞こえていないだろう。それでも私は、叫ばずにはいられなかった。傷つき全てを奪われた私が、身一つで避難したカリアン王国。
そんなカリアン王国で、沢山の経験をし、沢山の事を学んだ。そしてこの国で出来た、かけがえのない人達。私にとって、全てが宝物だ。
「キャリーヌ、寂しいのかい?さあ、涙を拭いて」
次から次へと溢れる涙を、サミュエル様がハンカチで拭いてくれた。
「サミュエル様、私、この国でたくさんの事を学びました。この国には、沢山の思い出があって…もちろん、アラステ王国に帰りたくないという訳ではないのです。ただ…思い出が多すぎて…」
どうしても自分の中で、消化でききれないのだ。
「分かっているよ、キャリーヌにとってカリアン王国は、第二の故郷なんだよね。キャリーヌ、改めて僕と一緒に帰国する事を選んでくれて、ありがとう。ミリアム殿下に負けないくらい、僕がキャリーヌを支えるから」
ギュッとサミュエル様が私を強く抱きしめた。大きくて温かい、サミュエル様。この温もりが、私に安心感を与えてくれる。
「私も、サミュエル様を支えられる様に頑張りますわ。私達、絶対に幸せになりましょうね」
長い年月を経て、やっと私たちは結ばれたのだ。その上私の行いのせいで、2度もサミュエル様を傷つけてしまった。
だから今度は、私がサミュエル様を支えたい。
そうよ、泣いている場合ではないわ。サミュエル様を支えられる様に、これから頑張らないと!
「キャリーヌがいなくなると思うと、なんだか寂しいな。またいつでも遊びにおいで」
「お兄様、お姉様、グラン、長い間お世話になりました。またいつか必ず遊びに来ます。本当にありがとうございました」
お姉様夫婦と甥のグランに頭を下げる。
今日はいよいよ、アラステ王国に帰る日だ。あの日逃げる様に国を出たことが、随分昔の様に感じられる。あの時の私は、全てに絶望し、悲しみのどん底にいた。そんな私を支えてくれたお姉様家族には、感謝しかない。
今日だって、わざわざ私の為に王宮まで足を運んでくださったのだ。そう、私は今回、アラステ王国が手配した馬車で、サミュエル様と一緒に帰国をするのだ。行きはクラミーがいてくれたとはいえ、1人でここまで来た。
でも帰りは、サミュエル様と一緒だ。
「キャリーヌ嬢、君のお陰で、ミリアムと心が通じ合う事が出来た。これからは私がミリアムを支えて行くから、どうか安心して国に帰ってくれ」
胸を叩きながらアピールしているのは、カイロ様だ。
「ありがとうございます、どうかミリアム様の事を、よろしくお願いいたします」
きっとカイロ様なら、ミリアム様を幸せにしてくれるだろう。そう思っている。
「キャリーヌ嬢、色々と妹がお世話になったね。君のお陰で、妹の世界が変わったよ。ありがとう」
何と王太子殿下にまで、お礼を言われたのだ。お世話になったのは、私の方なのだが…
必死にその事を訴えたが、笑って聞き流されてしまった。ちなみにサミュエル様と王太子殿下は、随分と仲が良くなった様で、今後も積極的に交流を深めていこうと話していた。
そして最後は…
「キャリーヌ、あなたに会えて私、本当に幸せよ。離れていても、ずっとあなたの事を思っているわ」
「ミリアム様…私もです!それにこのブローチもありますし」
今日も私とミリアム様の胸には、あのブローチが光っている。
「それからこれ、映像型通信機よ。この通信機があれば、いつでも顔を見ながら話しが出来るのですって。グランズ王国にいる次兄が贈ってくれたの」
「まあ、ミリアム様のお兄様がですか?このような高価なものを、よろしいのですか?」
「ええ、もちろんよ。兄が私たちの為に贈ってくれたのだから。キャリーヌ、もしあなたに何かあったら飛んでいくから。サミュエル殿下、どうかキャリーヌをよろしくお願いします」
「もちろん、僕が責任を持ってキャリーヌを幸せにします。ミリアム殿下、本当にお世話になりました。なんとお礼を言っていいか…」
「お礼を言うのは私の方ですわ。キャリーヌ、自国に戻った後、しばらくは大変かもしれないけれど、きっとあなたなら大丈夫よ。もし何か困ったことや悩みがあったら、すぐに連絡をしてきて」
「ありがとうございます、ミリアム様。この映像型通信機があれば、いつでもお話しできますものね。帰国したら、すぐに通信を入れますわ。ミリアム様、本当にありがとうございました」
改めてミリアム様に頭を下げ、ギュッと抱きしめた。次はいつ会えるか分からない。でも…きっと私たちの友情が、色あせる事はない。そう確信している。
「キャリーヌ、そろそろ行こう」
「はい。それでは皆様、本当にお世話になりました」
サミュエル様と馬車に乗り込む。そして、ゆっくり馬車が動き出した。手を振り見送ってくれる人たちに、私も必死に手を振り返す。
「本当にありがとうございました。いつかまた、この地に必ず来ますから」
馬車の中から必死に叫ぶ。きっともう、聞こえていないだろう。それでも私は、叫ばずにはいられなかった。傷つき全てを奪われた私が、身一つで避難したカリアン王国。
そんなカリアン王国で、沢山の経験をし、沢山の事を学んだ。そしてこの国で出来た、かけがえのない人達。私にとって、全てが宝物だ。
「キャリーヌ、寂しいのかい?さあ、涙を拭いて」
次から次へと溢れる涙を、サミュエル様がハンカチで拭いてくれた。
「サミュエル様、私、この国でたくさんの事を学びました。この国には、沢山の思い出があって…もちろん、アラステ王国に帰りたくないという訳ではないのです。ただ…思い出が多すぎて…」
どうしても自分の中で、消化でききれないのだ。
「分かっているよ、キャリーヌにとってカリアン王国は、第二の故郷なんだよね。キャリーヌ、改めて僕と一緒に帰国する事を選んでくれて、ありがとう。ミリアム殿下に負けないくらい、僕がキャリーヌを支えるから」
ギュッとサミュエル様が私を強く抱きしめた。大きくて温かい、サミュエル様。この温もりが、私に安心感を与えてくれる。
「私も、サミュエル様を支えられる様に頑張りますわ。私達、絶対に幸せになりましょうね」
長い年月を経て、やっと私たちは結ばれたのだ。その上私の行いのせいで、2度もサミュエル様を傷つけてしまった。
だから今度は、私がサミュエル様を支えたい。
そうよ、泣いている場合ではないわ。サミュエル様を支えられる様に、これから頑張らないと!
1,167
あなたにおすすめの小説
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
どうやらこのパーティーは、婚約を破棄された私を嘲笑うために開かれたようです。でも私は破棄されて幸せなので、気にせず楽しませてもらいますね
柚木ゆず
恋愛
※今後は不定期という形ではありますが、番外編を投稿させていただきます。
あらゆる手を使われて参加を余儀なくされた、侯爵令嬢ヴァイオレット様主催のパーティー。この会には、先日婚約を破棄された私を嗤う目的があるみたいです。
けれど実は元婚約者様への好意はまったくなく、私は婚約破棄を心から喜んでいました。
そのため何を言われてもダメージはなくて、しかもこのパーティーは侯爵邸で行われる豪華なもの。高級ビュッフェなど男爵令嬢の私が普段体験できないことが沢山あるので、今夜はパーティーを楽しみたいと思います。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました
柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》
最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。
そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。
【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?
雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。
理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。
クラリスはただ微笑み、こう返す。
「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」
そうして物語は終わる……はずだった。
けれど、ここからすべてが狂い始める。
*完結まで予約投稿済みです。
*1日3回更新(7時・12時・18時)
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる