18 / 35
第18話:孤児院に行きました
しおりを挟む
しばらく2人で街を見て歩く。
「アナスタシア…お腹が空いただろう。食事にしよう。せっかくだから、平民の食事を食べてみようと思うのだが…」
「まあ、それはいいですわね。この国の平民たちが、どんな食べ物を食べているのか気になります。早速参りましょう」
2人で手を繋ぎ、一軒のお店に入った。ここが平民たちが食事をしているお店なのね。お店にはいくつもの机とイスが並んでおり、それぞれが食事を楽しんでいた。どうやら平民は、こうやって知らない人と同じ空間で食事をする様だ。
早速向かい合わせに座る。
「アナスタシアは食べたいものはあるかい?」
メニューを渡されたが、イマイチよくわからない。
「正直何がいいのか分かりませんので、カイ様にお任せいたしますわ」
「それじゃあ、この店のお勧め料理を出してもらう事にしよう」
近くにいた店員さんに声を掛け、注文している。そうか、こうやって注文するのね。しばらく待っていると、お料理が運ばれてきた。どうやら一気にお料理を出すスタイルの様だ。デザートも一緒に付いている。
なるほど、こうやってまとめて出すと、手間も省けるものね。このお店のお勧めは、牛タンのシチューとの事。
「このお肉、柔らかくて美味しいですわ。味付けもちょうどいいです」
王宮で食べるお食事も美味しいけれど、ここのお店のお料理も絶品だ。こうやって、平民たちの生活が知れるのも嬉しい。公爵令嬢だった頃は、この様なお店なんて、絶対に入れなかったものね。
美味しいお料理を頂いた後、お店を後にした。
「アナスタシア、どこか行きたい場所はあるかい?ドレスや宝石店もあるから、見に行こうか?」
カイ様が私に気を使って、そう言ってくれた。でも私は…
「それでしたら、孤児院に行きたいですわ。あの建物は孤児院ですよね」
私はある建物を指さした。
「孤児院にかい?でも今日は、街を見て回る為に来たのだが…まあ、アナスタシアが望むなら行こうか」
カイ様が承諾してくれたので、2人で孤児院に向かった。孤児院に着くと、院長先生が出てきてくれた。
「まあ、陛下、よく来てくださいました。あら?お連れ様ですか?」
「お初にお目にかかります。アナスタシアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
院長先生に挨拶をする。
「まあ、ご丁寧にありがとうございます。陛下の恋人ですね。よかったですわ、陛下は本当に心のお優しい方ですのに、中々良い縁談に恵まれなかった様で…この孤児院も、陛下が建ててくださったのです。戦争で親を失った子供たちの為に。さらに、心に深い傷を負った子供たちが、少しでも気持ちが落ち着くようにと、専属の医者まで雇って下さって。そのお陰で、子供たちも随分と笑顔が戻りました」
「院長、あまりベラベラと話さないでくれ」
「あら、本当の事でしょう?この国には、戦争で親を亡くした子供が大勢いるのです。そんな子供たちの為に、あちこちに孤児院を建て、定期的に見に来てくださっているのですよ。本当にお優しい方です」
なるほど、カイ様は傷ついた子供たちのケアにも力を入れていたのね。弱者でもある子供は、冷遇を受ける事も少なくない。そんな子供たちにもしっかり目を向け、手を差し伸べるだなんて…やっぱりカイ様は、素敵な方ね。
「院長、無駄話はもういいだろう。さあ、アナスタシア、子供たちの元に向かおう」
私の手を引き、子供たちの元へと向かう…かと思いきや
「悪いがここからは、君1人で行ってくれるだろうか?」
急に立ち止まったかと思ったら、そんな事を言いただしたのだ。
「あら?どうしてですの?一緒に行きましょう」
カイ様の手を引き、連れて行こうとする。すると
「おねえちゃん、だれ?」
子供たちが私たちに気が付いてやって来たのだ。すると
「うわぁぁぁん、おかおのこわいおにいちゃんが、またきた~」
子供たちが泣きながら逃げ出してしまった。どうやら子供たちは、カイ様が怖い様だ。
「すまん…私は子供たちに怖がられていて…それで…」
なるほど、それでカイ様は、子供たちの前に現れる事を躊躇したのね。
「カイ様、少しお待ちください」
カイ様に断りを入れ、子供たちの元へと向かう。
「こんにちは、私はアナスタシアよ。よろしくね」
子供たちに声を掛ける。すると
「アナスタシアおねえちゃん、ごほんよんで」
「おにんぎょうあそびをしよう」
子供たちが一斉に私の方にやって来た。早速子供たちと遊ぶ。しばらく遊んで仲良くなった後。
「実はね、皆が怖がっているおにいちゃんなんだけれど、私の大事なお友達なの。見た目は怖いけれど、とっても優しいのよ。連れて来てもいいかしら?」
子供たちの為に誰よりも動いているカイ様が、子供たちに怖がられたままなんて悲しすぎる。何とか子供たちと仲良くして欲しい。そんな思いで、子供たちに語り掛けた。
「あのおにいちゃん、こわい…でも、アナスタシアおねえちゃんが、そういうなら…」
顔が強張っているが、何とか了承してくれた。早速カイ様を連れてきた。子供たちもカイ様も、なぜか固まっている。
「みんな、カイ様はとても優しいのよ。そうだわ、カイ様、皆にご本を読んであげて下さい」
「私が本をかい、でも…」
「大丈夫ですわ。ほら、皆、丸くなって座りましょう」
子供たちと一緒に、丸くなって座る。ただ、やはりカイ様が怖い様で、私にしがみつく子供も多数。それでもカイ様が、一生懸命本を読んでくれた。すると、1人の女の子がカイ様の膝の上にちょこんと座ったのだ。
「おにいちゃん、ごほんよむのじょうずね」
そう言ってほほ笑んだ女の子。
「カイ様は全然怖くないでしょう。それに、カイ様はこの国を守ってくれたヒーローなのよ。あなた達が今幸せに暮らせるのも、カイ様たちが必死に戦ったおかげなの。それにみて、この筋肉。凄いでしょう」
すかさずカイ様の筋肉に触れた。国王陛下に失礼だったかしら?そう思いつつも、子供たちに語り掛ける。すると
「すごいきんにくね。おにいちゃんは、このくにのヒーローだったのね。かおがこわいヒーローだ」
そう言って子供たちが、カイ様の腕に捕まり出したのだ。その後は少しずつカイ様に懐いていった子供たち。最後は楽しそうに遊んでくれていた。
「アナスタシア…お腹が空いただろう。食事にしよう。せっかくだから、平民の食事を食べてみようと思うのだが…」
「まあ、それはいいですわね。この国の平民たちが、どんな食べ物を食べているのか気になります。早速参りましょう」
2人で手を繋ぎ、一軒のお店に入った。ここが平民たちが食事をしているお店なのね。お店にはいくつもの机とイスが並んでおり、それぞれが食事を楽しんでいた。どうやら平民は、こうやって知らない人と同じ空間で食事をする様だ。
早速向かい合わせに座る。
「アナスタシアは食べたいものはあるかい?」
メニューを渡されたが、イマイチよくわからない。
「正直何がいいのか分かりませんので、カイ様にお任せいたしますわ」
「それじゃあ、この店のお勧め料理を出してもらう事にしよう」
近くにいた店員さんに声を掛け、注文している。そうか、こうやって注文するのね。しばらく待っていると、お料理が運ばれてきた。どうやら一気にお料理を出すスタイルの様だ。デザートも一緒に付いている。
なるほど、こうやってまとめて出すと、手間も省けるものね。このお店のお勧めは、牛タンのシチューとの事。
「このお肉、柔らかくて美味しいですわ。味付けもちょうどいいです」
王宮で食べるお食事も美味しいけれど、ここのお店のお料理も絶品だ。こうやって、平民たちの生活が知れるのも嬉しい。公爵令嬢だった頃は、この様なお店なんて、絶対に入れなかったものね。
美味しいお料理を頂いた後、お店を後にした。
「アナスタシア、どこか行きたい場所はあるかい?ドレスや宝石店もあるから、見に行こうか?」
カイ様が私に気を使って、そう言ってくれた。でも私は…
「それでしたら、孤児院に行きたいですわ。あの建物は孤児院ですよね」
私はある建物を指さした。
「孤児院にかい?でも今日は、街を見て回る為に来たのだが…まあ、アナスタシアが望むなら行こうか」
カイ様が承諾してくれたので、2人で孤児院に向かった。孤児院に着くと、院長先生が出てきてくれた。
「まあ、陛下、よく来てくださいました。あら?お連れ様ですか?」
「お初にお目にかかります。アナスタシアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
院長先生に挨拶をする。
「まあ、ご丁寧にありがとうございます。陛下の恋人ですね。よかったですわ、陛下は本当に心のお優しい方ですのに、中々良い縁談に恵まれなかった様で…この孤児院も、陛下が建ててくださったのです。戦争で親を失った子供たちの為に。さらに、心に深い傷を負った子供たちが、少しでも気持ちが落ち着くようにと、専属の医者まで雇って下さって。そのお陰で、子供たちも随分と笑顔が戻りました」
「院長、あまりベラベラと話さないでくれ」
「あら、本当の事でしょう?この国には、戦争で親を亡くした子供が大勢いるのです。そんな子供たちの為に、あちこちに孤児院を建て、定期的に見に来てくださっているのですよ。本当にお優しい方です」
なるほど、カイ様は傷ついた子供たちのケアにも力を入れていたのね。弱者でもある子供は、冷遇を受ける事も少なくない。そんな子供たちにもしっかり目を向け、手を差し伸べるだなんて…やっぱりカイ様は、素敵な方ね。
「院長、無駄話はもういいだろう。さあ、アナスタシア、子供たちの元に向かおう」
私の手を引き、子供たちの元へと向かう…かと思いきや
「悪いがここからは、君1人で行ってくれるだろうか?」
急に立ち止まったかと思ったら、そんな事を言いただしたのだ。
「あら?どうしてですの?一緒に行きましょう」
カイ様の手を引き、連れて行こうとする。すると
「おねえちゃん、だれ?」
子供たちが私たちに気が付いてやって来たのだ。すると
「うわぁぁぁん、おかおのこわいおにいちゃんが、またきた~」
子供たちが泣きながら逃げ出してしまった。どうやら子供たちは、カイ様が怖い様だ。
「すまん…私は子供たちに怖がられていて…それで…」
なるほど、それでカイ様は、子供たちの前に現れる事を躊躇したのね。
「カイ様、少しお待ちください」
カイ様に断りを入れ、子供たちの元へと向かう。
「こんにちは、私はアナスタシアよ。よろしくね」
子供たちに声を掛ける。すると
「アナスタシアおねえちゃん、ごほんよんで」
「おにんぎょうあそびをしよう」
子供たちが一斉に私の方にやって来た。早速子供たちと遊ぶ。しばらく遊んで仲良くなった後。
「実はね、皆が怖がっているおにいちゃんなんだけれど、私の大事なお友達なの。見た目は怖いけれど、とっても優しいのよ。連れて来てもいいかしら?」
子供たちの為に誰よりも動いているカイ様が、子供たちに怖がられたままなんて悲しすぎる。何とか子供たちと仲良くして欲しい。そんな思いで、子供たちに語り掛けた。
「あのおにいちゃん、こわい…でも、アナスタシアおねえちゃんが、そういうなら…」
顔が強張っているが、何とか了承してくれた。早速カイ様を連れてきた。子供たちもカイ様も、なぜか固まっている。
「みんな、カイ様はとても優しいのよ。そうだわ、カイ様、皆にご本を読んであげて下さい」
「私が本をかい、でも…」
「大丈夫ですわ。ほら、皆、丸くなって座りましょう」
子供たちと一緒に、丸くなって座る。ただ、やはりカイ様が怖い様で、私にしがみつく子供も多数。それでもカイ様が、一生懸命本を読んでくれた。すると、1人の女の子がカイ様の膝の上にちょこんと座ったのだ。
「おにいちゃん、ごほんよむのじょうずね」
そう言ってほほ笑んだ女の子。
「カイ様は全然怖くないでしょう。それに、カイ様はこの国を守ってくれたヒーローなのよ。あなた達が今幸せに暮らせるのも、カイ様たちが必死に戦ったおかげなの。それにみて、この筋肉。凄いでしょう」
すかさずカイ様の筋肉に触れた。国王陛下に失礼だったかしら?そう思いつつも、子供たちに語り掛ける。すると
「すごいきんにくね。おにいちゃんは、このくにのヒーローだったのね。かおがこわいヒーローだ」
そう言って子供たちが、カイ様の腕に捕まり出したのだ。その後は少しずつカイ様に懐いていった子供たち。最後は楽しそうに遊んでくれていた。
応援ありがとうございます!
29
お気に入りに追加
5,843
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる