殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします

Karamimi

文字の大きさ
23 / 35

第22話:僕がバカだった…~ルイス視点~

しおりを挟む
そんな中、アナスタシアが目覚めたと言う知らせが入ったのだ。

「マルモット、アナスタシアが目覚めたそうだ。早速アナスタシアを迎えに行こう」

嬉しくてついマルモットを抱きしめながら、報告をした。やっと…やっとアナスタシアが目覚めたのだ。この3年、どんなに僕が、彼女が目覚めるのを待ち望んでいたか。

ただ、なぜかマルモットは、浮かない顔。どうしたのだろう?まあ、いいか。

翌日、早速アナスタシアに会いに行った。でも、僕とマルモットの結婚を知って、悲しそうな顔をしている。僕はとっさに、“これ以上王太子妃の座を空けておくことが出来なくて”と、嘘を付いてしまった。

本当はアナスタシアが目覚めない寂しさを埋めるために、マルモットと結婚したなんて、口が裂けても言えない。そして、彼女に側室として迎える事を伝えた。

難色を示すアナスタシア。何とか彼女を説得しようとしたところで、なんとマルモットが乱入してきたのだ。泣いて謝るマルモットを必死に宥めた。

僕たちの様子を見ていたアナスタシアは

“大好きな2人が幸せになってくれたのですもの。素直にお祝いさせて。おめでとう”

そう言ってほほ笑んでいた。よかった、アナスタシアが笑ってくれた。

とにかく、早く側室として迎える準備を始めないと!そんな思いから、僕はすぐにアナスタシアが暮らす離宮を整えた。本当は本宮に住まわせたいが、さすがにそれは出来ない。それでも、彼女が不自由なく暮らせるように、手配を進めた。

さらにアナスタシアの父親にも彼女を側室として迎え入れたいという話をしたら、それはそれは喜んでいた。よし、これで後は、彼女を迎え入れるだけだ。

やっとこれで、アナスタシアと結婚できる。マルモットが一応王妃だけれど、きっと優しい彼女なら、アナスタシアを立ててくれるだろう。そう思っていた、でも…

王宮への輿入れを翌日に控えた夜、アナスタシアは公爵家から移動し始めたのだ。彼女には、婚約者時代から居場所を特定できる機械が付いたイヤリングを付けさせていた。その機械が急に移動し始めたため、いち早くアナスタシアの異変に気が付けたのだ。


もしかしたら、誘拐されたのかもしれない。そう思った僕は、至急公爵と連絡をとり、アナスタシアを連れ戻す様騎士たちに指示を出す。大丈夫だ、居場所を特定できる機械を付けているのだから。

そう思っていた。でも…

「殿下、申し訳ございません。アナスタシア様の姿を見失ってしまいました。居場所を特定できるイヤリングは、男たちが持っておりました。彼らの話では、道に落ちていたとの事です」

騎士がアナスタシアに付けさせていたイヤリングを持って、やって来たのだ。

「何を言っているのだ?その男たちが、アナスタシアを誘拐した犯人ではないのか?とにかくアナスタシアを探せ!きっとまだ王都内にいるはずだ。それから、その男たちの行方も探すんだ!」

この国の騎士たちは何をしているのだ。どいつもこいつも、役に立たないのだから。そうだ、このイヤリング!録音機能もあるのだった。この録音をきけば、アナスタシアの事が分かるはず。

そう思い、早速イヤリングに録音されていた音声を確認する。すると…

王宮には来たくないと思っていた事。姉の様に慕っていた使用人が処刑され、ショックを受けている事。さらに彼女の親友でもあるマルモットが、本当は毒を彼女に盛り、アナスタシアの使用人のせいにした事。全てを絶望して、自ら公爵家を出たことがわかった。

「そんな…まさかマルモットが…僕と結婚したいが為に、アナスタシアに毒を…そんな事とは知らず、僕はアナスタシアを殺そうとした女と、まんまと結婚してしまったなんて…」

あまりのショックに、僕はその場にへたり込んだ。

よく考えてみれば、アナスタシアが毒を盛られたとき、彼女と一緒にいた。そして、彼女と彼女のメイドの証言で、アナスタシアの専属メイドが犯人という事になったのだ。

ろくに調査もせずに、僕は真犯人をまんまと次期王妃にしてしまったのだ。アナスタシア…すまない。僕はなんて過ちを犯してしまったのだろう…

とにかく、真実を知った以上、僕はもうあの女と婚姻を続ける事なんて出来ない!

その時だった。

「ルイス様、アナスタシアが行方不明になったと聞きましたわ。それで、アナスタシアは」

心配そうな顔をして、僕の元にやって来たマルモット。それにしても、すごい演技力だ。よくもまあ、こんな演技が出来るものだ。

「ああ、今騎士たちが必死に探しているよ」

「そうなのですね。どうしてアナスタシアは、そんなバカな事を」

僕に寄り添い、涙を流すマルモット。この涙に何度騙された事か…

「すまないが、今日は1人にしてくれるかい?」

すっとマルモットを振り払い、部屋を後にしたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたへの愛を捨てた日

柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。 しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。 レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。 「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」 エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。

【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います

ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には 好きな人がいた。 彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが 令嬢はそれで恋に落ちてしまった。 だけど彼は私を利用するだけで 振り向いてはくれない。 ある日、薬の過剰摂取をして 彼から離れようとした令嬢の話。 * 完結保証付き * 3万文字未満 * 暇つぶしにご利用下さい

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい

サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。 ──無駄な努力だ。 こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。

処理中です...