これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi

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第26話:素敵な日になりました

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 ジンクスはとにかく、せっかく教えてくれたのだ。2人で急いで丘の上へと向かう。

 ただ…

 丘に向かっている途中、ドーンと大きな音が鳴り響いた。空を見ると、大きな花火が上がっていたのだ。

「なんて綺麗なのかしら?まるで夜空に大輪の花が咲いた様だわ…」

 実は私、花火を見るのは初めてなのだ。人の多い王都では、花火などが上がる事はほとんどない。ついその場で立ち止まって見つめてしまった。

「ユーリ、花火が奇麗なのは分かるが、せっかくだから丘まで行こうよ」

 そう言って私の手を引っ張るディアン。どんどん上がっていく花火を見つめつつ、急いで丘に向かった。

 丘に着くと、恋人同士と思われる男女が、寄り添いながら花火を見ていた。それにしても、凄い数ね。領地にもこんなにたくさんのカップルがいるのね。

「ユーリ、見てごらん。丘から見る花火、本当に綺麗だよ」

 ふと空を見上げると、さっきよりも大きな花火が、目の前に広がっていた。

「なんて綺麗なのかしら?丘から見る花火は、また一段と迫力があるのね。本当に綺麗だわ」

「そうだね、きっとこの場所が、一番花火が奇麗に見られるのだろう。僕の家の領地でも、毎年花火が上がるけれど、こんなに間近で見たのは初めてだ。ユーリ、今日君と一緒にこんなに美しい花火が見られて、本当によかったよ。一緒に来てくれてありがとう」

「お礼を言うのは私の方よ。ディアンに再会してから私、本当に毎日が楽しくてたまらないの。私の傍にいてくれてありがとう、私、ディアンと再会できて本当に幸せだわ。でも…またしばらくお別れね」

 私はもうすぐ王都に戻らないといけないのだ。王都に戻ったら、貴族学院も始まる。そう簡単に領地にも来られないだろう。せっかくディアンと再会できたのに…

「そんなに悲しそうな顔をしないで。またすぐに会えるから。見て、ユーリ。最後の花火。とても綺麗だよ」

 ディアンが指さす方向には、一度に沢山の花火が一斉に上がったのだ。それがまた美しいのなんのって。

「本当に綺麗だったわね。なんだか私、この美しい花火を見たら、胸がいっぱいになったわ」

「確かにすごい迫力だったね。どうやら花火はもう終わりな様だ。せっかくだからまた、街に降りてお祭りを楽しもう。この後も色々な催し物があるそうだよ」

「そうね、せっかくだから楽しみましょう」

 再び2人で街に出て、お祭りを楽しむ。

「見て、ディアン。あそこでステーキの大食いをやっているわよ」

「本当だね、優勝者は牛肉1年分だって。面白そうだな。僕も出てみようかな?」

「大丈夫なの?あなた、そんなに食べられるの?」

「どうか分からないけれど、ぜっかくなら楽しまないとね。ユーリ、僕の食べっぷり、見ていてね」

 ディアンが大食いに参加しに行ってしまったのだ。本当にディアンったら…

 そう思っていたが、思いのほか健闘するディアン。つい大きな声で

「ディアン、頑張って。このままいけば、優勝できるわよ」

 そう叫んでしまった。ただ、あと少しのところで敗れてしまったのだ。残念ね。

 それでも周りからは

「兄ちゃん、華奢な体をしているのに、よく食べるね」

「本当にすごいよ」

 そう言って褒められていた。そして大食いに参加していた人たちが、一緒に祭りを楽しまないかと誘ってくれたのだ。

 どうやら彼らは街で飲食店を経営している様で、わざわざ店に私たちを招待してくれた。そして沢山のお料理を振舞ってくれたのだ。

 初めて食べるお料理ばかりで、どれもとても美味しかった。それに皆気さくな人ばかり。なんだか少しだけ、領民たちの生活が見られた気がして嬉しかったのだ。

 まさかこんな風に、領民たちと仲良くなれるだなんて。これも全てディアンが大食いを頑張ったからね。

 ディアンと一緒にいると、色々な体験が出来る。それに、楽しくてたまらない。もしも私の我が儘が叶うのなら、このままずっとディアンと一緒にいたい…

 ついそんな事を考えてしまう。

「ユーリ、僕の顔を見つめてどうしたんだい?」

 私の視線に気が付いたディアンが、不思議そうに話しかけて来たのだ。

「何でもないわ。それにしてもこのお料理、本当に美味しいわよ。ディアンは食べられなくて、残念ね」

「本当だよ。僕も料理、食べたかったな。でも、お腹が…」

「あれだけステーキを食べたのだから、これ以上はさすがに食べられないよな。ディアン、またいつでも家の店に遊びに来てくれ。もちろん、ユーリちゃんも」

「そうね、2人なら大歓迎よ。さあ、ユーリちゃんはまだたくさん食べられるでしょう。ディアンさんの分まで、沢山食べて」

 そう言って食事を勧めてくれる店主とおかみさん。本当に素敵な方たちだ。

 この日私たちは、時間が許す限り彼らと楽しい時間を過ごしたのだった。
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