もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
35 / 48

第35話:彼らに下った判決~ブラック視点~

両親と一緒に馬車に乗り込み、家路へと急ぐ。

「ブラック、今日のあなた、とても格好よかったわよ。いつもクールで感情を表に出さないあなたが、あそこまで感情的になるだなんて。きっと他の貴族たちも、驚いているわ。大丈夫よ、あなたの思い、きっと他の貴族にも伝わったはずよ」

母上が俺に声を掛けてくれる。

「陛下や王太子殿下も、ブラックの意見に賛成しているのだから、多分大丈夫だろう。泣いても笑っても、明日には判決がでる。それに明日は、伯爵家の人間もやって来るからな。気を引き締めていこう」

そうだ、明日はあいつらがやって来るんだ。ユリアをボロボロにして命を奪おうとしたあいつらが…

体中から怒りが沸き上がるのを必死に堪えた。あいつら、絶対にユリアと同じ苦しみを味わってもらうからな!

屋敷に戻ると、すぐにユリアの元へと向かった。メイドの話では、ついさっきまで友人たちがいたらしい。

「ユリア、よかったね。友人たちがお見舞いに来てくれて。だからどうか早く目覚めて欲しい。皆君が目覚めるのを待っているのだよ。それに明日は、いよいよあいつらが裁かれる日だ。今まで本当によく頑張ったね。もう何も頑張らなくてもいいから」

俺の問いかけに、全く反応しないユリア。いつも笑顔のユリアが、ずっと無表情で眠っているのだ。そんなユリアにこの日もずっと寄り添い続けたのだった。

翌日、いつもの様にユリアのおでこに口づけをすると、王宮へと向かった。今日はあいつらが正式に裁かれる日。第2回貴族裁判の日だ。

王宮に着くと、既にたくさんの貴族が待っていた。そしてしばらくすると、パラスティ伯爵と夫人、カルディアがやって来た。監獄にいた割には、3人ともやつれている様子はない。

もしかして貴族だからって、それなりの生活を送っていたのか?ユリアは今も、生死の境をさまよっていると言うのに!

ギロリとあいつらを睨むが、全くこちらを見ず、ただ俯いている3人。被告たちがやって来たことで、いよいよ最終審議の時だ。

「それでは第2回、貴族裁判を開催する。昨日の話では、3人の極刑が確定している。ただし、昨日ブラック殿が言った通り、3人にはユリア嬢が受けた苦しみと同じ、7年間毎月魔力の提供、すなわち治癒魔法を掛けた時と同じくらいの体の負担を負ってもらうかどうかの審議を行う事にする」

「ちょっと待って下さい。一体どういう事ですか?ユリアと同じ苦しみを、私たちが受けると言うのは。そもそも、ユリアは自ら治癒魔法を行っていたのです」

「そうですわ。大体あの女、治癒魔法くらいしか我が伯爵家の役に立てる事がなかったのです。本人も私たちの役に立てると、喜んで治癒魔法を掛けていたのですよ」

「大体私たちは、他の貴族には迷惑を掛けておりませんわ。それなのに、極刑自体納得できません!」

こいつら、ふざけているのか?ユリアが自ら望んで治癒魔法を掛けただと?魔法以外で役に立つことがない?そもそも他の貴族に迷惑を掛けていない?こいつら、全く反省していないのだな!

ユリアを一体何だと思っているのだ!体中から今までに感じた事のない怒りがこみ上げて来た。あいつら、許さない。いっそ俺の手で…

“ブラック、耐えろ!お前の気持ちは痛いほどわかる。でも、今は耐えるのだ!”

今にもあの3人に殴りかかろうとしている俺を、父上が必死に宥めている。ただ、隣の母上も俺と同じく、今にも殴りかかろうとしている。よく見ると、姉上に至っては、既に腕まくりをしているのを、王太子殿下が必死に止めている。

さらに他の貴族たちも、眉間に皺を寄せている。

「パラスティ伯爵、夫人、カルディア嬢、君たちに発言権は与えらえていない。それから君たちは、この国の人々に衝撃を与えるほどの罪を犯したのだよ!これ以上騒ぐ様なら、君たちの口を塞ごうか?」

王太子殿下が怖い顔で3人を注意している。王太子殿下の迫力にビビったのか、3人が黙り込んだ。こいつら、本当にゴミ以外なにものでもない!

「それでは昨日のブラック殿の意見に賛成の者は挙手を」

陛下の言葉で、次々と挙手をする貴族たち。ここに集まったほぼ全員の貴族が、挙手をしたのだ。

「それでは正式に、3人には7年間毎月魔力を提供するという罪を与える事にする。もちろん、極刑というのが大前提なので、万が一7年後命があったとしても、それ以降は魔力が尽きるまで、魔力提供を行ってもらうという事でいいな?」

「そんな、あんまりです!私たちはそこまで酷い事をしておりません。そもそもユリアは、誰からも必要とされてない人間ではありませんか?それなのに…」

「黙れ!黙って来入れていれば、ユリアを一体何だと思っているのだ。ユリアが必要とされていないだと?ユリアは皆から愛され、必要とされている人間だ!これ以上ユリアを侮辱する事は許さない!」

我慢していた感情が、一気にあふれ出す。

「さあ、さっさとこの罪人どもを連れて行け!もそもそこいつら、どんな生活をさせていたのだ?こいつらは犯罪者で死刑囚だ!薄暗い地下牢で生活させろ。それから食事も、固いパンとスープで十分だ!ユリアはずっと、そんな食事しか与えられていなかったのだからな。俺はお前たちを絶対に許さない!ユリアが味わった地獄の7年間を、嫌というほど味わうといい」

俺の迫力に、ひるむ3人。そんな3人を、騎士団員たちが連れて行く。刑が決定したからと言って、油断は出来ない。今後も3人の行く末を見届けないと!

最後までユリアに心無い言葉を吐いたあの3人を、俺は絶対に許さないからな。

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の前途多難な婚活──王太子殿下を突き飛ばしたら、なぜか仲良くなりました

森島菫
恋愛
シャーロット・フォード伯爵令嬢。 社交界に滅多に姿を見せず、性格も趣味も交遊関係も謎に包まれた人物──と言えばミステリアスな女性に聞こえるが、そんな彼女が社交界に出ない理由はただ一つ。 男性恐怖症である。 「そのままだと、何かと困るでしょう?」 「それはそうなんだけどおおおお」 伯爵家で今日も繰り返される、母と娘の掛け合い。いつもなら適当な理由をつけて参席を断るのだが、今回ばかりはそうもいかない。なぜなら「未婚の男女は全員出席必須」のパーティーがあるからだ。 両親は、愛娘シャーロットの結婚を非常に心配していた。そんな中で届いたこのパーティーの招待状。伯爵家の存続の危機を救ってもらうべく、彼らは気乗りしない娘を何とか説得してパーティーに向かわせた。 しかし当日、シャーロットはとんでもない事態を引き起こすことになる。 「王太子殿下を、突き飛ばしてしまったのよ」 「「はぁっ!?」」 男性恐怖症のシャーロットが限界になると発動する行動──相手を突き飛ばしてしまうこと──が、よりにもよってこの国の王太子に降りかかったのである。 不敬罪必死のこの事態に、誰もが覚悟を決めた。 ところが、事態は思わぬ方向へ転がっていき──。 これは、社交を避けてきた伯爵令嬢が腹を括り、結婚を目指して試行錯誤する話。 恋愛あり、改革あり、試練あり!内容盛りだくさんな伯爵令嬢の婚活を、お楽しみあれ。 【番外編の内容】 アンジェリアは、由緒正しいフォード伯爵家の次女として生まれた。 姉シャーロットと弟ウィルフレッドは貴族社会の一員として暮らしているが、アンジェリアは別の道を選びたかった。 「私、商人になりたい」 いつからか抱いたその夢を口にしてから、彼女の人生は大きく変化することとなる。 シャーロットが王太子ギルバートと関わりを深める裏で繰り広げられていた、次女アンジェリアの旅路。 衣食住に困ることのなかった令嬢生活を捨て、成功する保証の無い商人として暮らすことを決めた彼女を待ち受けている景色とは? ※完結した本編との絡みもありつつ物語が進んでいきます!こちらもぜひ、お楽しみいただければ嬉しいです。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む

浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。 「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」 一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。 傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

【完結】セクハラ護衛騎士と婚約者の観察日記

buchi
恋愛
ハンナは実は大富豪でもある伯爵家の娘。地味でおとなしいので、公爵家の一人娘の婿の座を狙う婚約者から邪魔者扱いされて、婚約破棄を宣言されてしまう。成績は優秀なので王女殿下のご学友に選ばれるが、いつも同席する双子の王子殿下に見染められてしまった。ただし王子殿下は、なぜか変装中で……変装王子と紡ぐ「真実の愛」物語。王道のザマアのはず(ちょっと違う気もするけど、いつものことさっ) 完結しました。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です