全てを失ったと思ったのですが…騎士団の隊長に拾われ溺愛されました

Karamimi

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第12話:貧乏性は健在です

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「お替りもありますよ。たくさん作ったので」

「それじゃあ、お替りを頂こうかな」

「はい!」

 ゼルス様が沢山食べてくれるとはいえ、ちょっと作りすぎてしまった。残ったら私のお昼ご飯として頂こう。

 そう思っていたのだが、なんだかんだで全てゼルス様が平らげてしまったのだ。すごい、さすが騎士様。食べる量も半端ない。あの量を平らげてしまうだなんて。

「美味しい料理をありがとう。それじゃあ、俺はそろそろ騎士団に向かうよ」

「お出掛けになられるのですか?」

「ああ、俺は騎士団の隊長だからな。基本的に毎日仕事に出掛けている。大体夜7時頃には帰って来るから」

「承知いたしました、それではそれくらいの時間に合わせて、晩御飯を準備いたします」

 隊長様なのだから、毎日忙しく働いていらっしゃるのだろう。ゼルス様が毎日気持ちよく過ごせるように、頑張らないと!

 その後ゼルス様は、昨日と同じ服装に着替えていらした。あの衣装が騎士様の衣装の様だ。

「それじゃあ、行ってくる。俺の部屋は掃除の為勝手に入ってもらっても構わないが、くれぐれも無理をしない様にしてくれ。それからこれ、1ヶ月分の給料だ。先に渡しておく。時間が空いたら好きな事をして過ごしてくれ。これが家の鍵だ」

 ゼルス様が分厚い封筒と、家の鍵を渡してくれた。さすがに前払いでこんな大金を頂く訳にはいきません!と言いたいところだが、あまり意見するとまた睨まれるので、ここは有難く受け取っておくことにした。

「ありがとうございます。気を付けて行ってらっしゃいませ」

「ああ、行ってくる」

 馬車に乗り込むゼルス様を見送った。それにしても、ガッチリした体をしていらっしゃるのね。騎士様は皆、あんな感じなのかしら?

 さて、ゼルス様も見送ったし、仕事を開始しましょう。そっと封筒の中を確認する。

 しっかり30万ゼニーが入っていたのだ。こんな大金、見た事も触った事もない。それに食費代として、10万ゼニーも貰っているし。どうしよう、失くしたら大変だ。

 部屋に隠しておかないと。どこがいいかしら?

 悩んだ末、クローゼットの奥にしまっておくことにした。

 さて、家事開始だ。まずは食器を綺麗に洗った。その後はゼルス様のお部屋の掃除と、洗濯を行う。今日は天気もいいし、せっかくなのでシーツも全て洗った。

「さあ、洗濯も終わったし掃除も終わったわ。次は何をしようかしら?」

 そこまでお家も広くない。いつもなら家事が終わったら、すぐにお店に出る準備をするのだが、お店に出る必要もない。

 早々に暇になってしまった。

 どうしようかしら…そうだわ、夕食の買い物がてら、街に出てみましょう。それに私、お母さんのおさがりのワンピースしか持っていないのよね。下着もボロボロだし、せっかくだからお洋服も買わないと。あまり貧相な服だと、ゼルス様の評判にも関わるかもしれないもの

 いくらただの家政婦とはいえ、あまりにも貧相な格好をしていたら、ゼルス様が給金をケチっていると思われるかもしれない。こんな大金をもらっているのに、もしそんな事を思われたら、申し訳なさすぎる。

 そんな思いで、ワンピースに着替え街に出た。

 ちょっと外に出ただけなのに、色々なお店がある。とりあえず洋服と下着を買わないと。

 そう思い、お店を見て回る。有難い事に、下着は安いのが見つかったのだが、洋服は可愛らしいものが多く、その分値段がはるのだ。

「う~ん…7800ゼニーか…結構するのね」

 1ヶ月30万ゼニーも貰っているくせに、何を言っているのか!そう思う自分もいるのだが、何分貧乏性なのだ。結局洋服を買えずにうろうろしていると…

「あら?このミシン、素敵ね」

 素敵なミシンと裁縫道具を見つけたのだ。それも中古品らしく、4800ゼニーで売っていた。そうだわ、このミシンを使って、服を作ればいいのだわ。

 ミシンに関しても、幼い頃から色々と作らされていた為、かなりの腕前なのだ。早速ミシンと可愛い布を買った。服にすると高いのに、布はとても安価で売っているのだ。3種類の布を買ったが、全部で1500ゼニーで済んだ。

 早速洋服作り開始だ。
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