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第55話:頭が混乱しています
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「ルージュ嬢、急に泣き出してどうしたのだい?」
不安そうにクリストファー殿下が問いかけて来た。私が泣いている?そっと頬に触れると、涙が流れていたのだ。
「ちょっと、クリストファー、あなたルージュに何を食べさせたのよ。ルージュが泣くだなんて。もしかして毒が?」
「違うの、セレーナ。あまりにも美味しくて、感動してしまって。クリストファー殿下、急に泣いてしまってごめんなさい。この野菜のロール、とても美味しいですわ。ありがとうございます」
クリストファー殿下に詰め寄るセレーナを必死に宥め、殿下にお礼を言った。
「それなら良かったよ。この料理、僕も大好きなんだ。僕の大切な人が、大好きだった料理だから…」
大切な人が好きだった料理?
1度目の生の時は、そんな話は聞いたことがなかった。もしかしたら、誰かもこのお料理を好きだったのかもしれないわね。
「そうだったのですね。私もこのお料理、大好きになりましたわ」
「それは良かった。それじゃあ、もっと食べて。そうだ、全部上げるよ」
「でも、それじゃあ殿下の分が…」
「僕はいつでも食べられるから。だから、ルージュ嬢にあげる」
そう言って私に全部くれたのだ。1度目の生の時も、いつもそう言って私に全部くれたのよね。お替りをする事が恥ずかしいと教えられていた私の為に、いつも譲ってくれて。その優しさが嬉しかったな…
どうしてだろう、あんなに酷い事をされて、ゴミの様に捨てられたのに。あんなにも彼に恐怖心を抱いしていたのに。
どうしてこんなにも、次から次へと楽しかった過去を思い出すのだろう。
ただ、私にとってこの野菜のロールは、それくらい思い出深いものなのだ。それをわざわざこのタイミングで作ってくるだなんて…
再び野菜のロールを口に入れる。そう、この味よ。本当に美味しいわ。
「ルージュがこんなにも嬉しそうにこの料理を食べるだなんて。クリストファー殿下、どうかこのレシピを教えていただけないでしょうか?公爵家でも食べさせてあげたいのです」
グレイソン様が、殿下にレシピをもらえる様に頼んでいる。でも、きっと教えてもらえないだあろう。この特製ソースは、王宮料理長秘伝なのだ。私も何度聞いても、教えてもらえなかった。
「申し訳ないが、このレシピは料理長秘伝のたれが使われていて。教える事が出来ないのだよ」
クリストファー殿下が、申し訳なさそうにグレイソン様に伝えた。
「あら、減るものでもないのだし、教えてあげたらいいじゃない。ケチね」
「ケチとはなんだよ!料理長は気難しい人という事くらい、セレーナだって知っているだろう?とにかく、無理な物は無理なんだ。ルージュ嬢、ごめんね。また明日も持って来るから」
「お気遣いいただき、ありがとうございます。王宮料理長は非常にプライドが高く、そうそうレシピを公表する様な人ではない事くらい、私も存じ上げております。ですから、どうか気にしないで下さい。グレイソン様、セレーナ、私の為にありがとう」
私は野菜のロールを今日食べられただけで満足だ。ただ…なぜか私の心がざわつく。私は一体どうしてしまったのだろう。
あれほど殿下を憎んでいたはずなのに…
ざわつく心を必死に隠し、その後も皆でお弁当を食べた。そして最後のデザートの時間だ。
「皆で一緒に食べようと思って、沢山デザートを持ってきたんだ。よかったら皆で食べよう」
クリストファー殿下が、イチゴのムースを大量に持ってきたのだ。
「このイチゴのムース。王宮主催のお茶会で、ルージュがものすごく気に入っていたものよね。よかったわね、ルージュ」
確かにこのムースは、私が一番気に入っていたものだ。それにしても、次から次へと私の好きな物を持ってきてくれるだなんて。
「沢山あるから、皆好きなだけ食べてくれ。ルージュ嬢も沢山食べて。このムース、大好きなのだろう?」
「はい、頂きますわ」
早速ムースを頂いた。相変わらずこのムースは美味しいわね。どんなお菓子よりも、このムースが一番だわ。
「ルージュ嬢は本当に美味しそうに食べるね。僕は君のその顔が、大好きだ…」
「えっ?」
今私の事、大好きと言った?びっくりして殿下の方を見ると、まっすぐこちらを見つめていた。なぜだろう、目をそらせない。
「僕もルージュが美味しそうに食事をしている姿を見るのが、大好きなんですよ。殿下、奇遇ですね」
そういてにっこり微笑んだのは、グレイソン様だ。さらに
「あら、それなら私もルージュが美味しそうに食べている姿、好きですわ」
「「「私たちも」」」
友人たちが次々と賛同するなか
「俺もマリーヌが美味しそうに食事をしている姿、大好きだな」
ポツリとアルフレッド様が呟いたのだ。
「もう、アルフレッド様ったら」
そう言ってみんなで笑った。一瞬にして和んだ空気になるのを感じる。
ただ…
クリストファー殿下ったら、急にどうしたのだろう…
不安そうにクリストファー殿下が問いかけて来た。私が泣いている?そっと頬に触れると、涙が流れていたのだ。
「ちょっと、クリストファー、あなたルージュに何を食べさせたのよ。ルージュが泣くだなんて。もしかして毒が?」
「違うの、セレーナ。あまりにも美味しくて、感動してしまって。クリストファー殿下、急に泣いてしまってごめんなさい。この野菜のロール、とても美味しいですわ。ありがとうございます」
クリストファー殿下に詰め寄るセレーナを必死に宥め、殿下にお礼を言った。
「それなら良かったよ。この料理、僕も大好きなんだ。僕の大切な人が、大好きだった料理だから…」
大切な人が好きだった料理?
1度目の生の時は、そんな話は聞いたことがなかった。もしかしたら、誰かもこのお料理を好きだったのかもしれないわね。
「そうだったのですね。私もこのお料理、大好きになりましたわ」
「それは良かった。それじゃあ、もっと食べて。そうだ、全部上げるよ」
「でも、それじゃあ殿下の分が…」
「僕はいつでも食べられるから。だから、ルージュ嬢にあげる」
そう言って私に全部くれたのだ。1度目の生の時も、いつもそう言って私に全部くれたのよね。お替りをする事が恥ずかしいと教えられていた私の為に、いつも譲ってくれて。その優しさが嬉しかったな…
どうしてだろう、あんなに酷い事をされて、ゴミの様に捨てられたのに。あんなにも彼に恐怖心を抱いしていたのに。
どうしてこんなにも、次から次へと楽しかった過去を思い出すのだろう。
ただ、私にとってこの野菜のロールは、それくらい思い出深いものなのだ。それをわざわざこのタイミングで作ってくるだなんて…
再び野菜のロールを口に入れる。そう、この味よ。本当に美味しいわ。
「ルージュがこんなにも嬉しそうにこの料理を食べるだなんて。クリストファー殿下、どうかこのレシピを教えていただけないでしょうか?公爵家でも食べさせてあげたいのです」
グレイソン様が、殿下にレシピをもらえる様に頼んでいる。でも、きっと教えてもらえないだあろう。この特製ソースは、王宮料理長秘伝なのだ。私も何度聞いても、教えてもらえなかった。
「申し訳ないが、このレシピは料理長秘伝のたれが使われていて。教える事が出来ないのだよ」
クリストファー殿下が、申し訳なさそうにグレイソン様に伝えた。
「あら、減るものでもないのだし、教えてあげたらいいじゃない。ケチね」
「ケチとはなんだよ!料理長は気難しい人という事くらい、セレーナだって知っているだろう?とにかく、無理な物は無理なんだ。ルージュ嬢、ごめんね。また明日も持って来るから」
「お気遣いいただき、ありがとうございます。王宮料理長は非常にプライドが高く、そうそうレシピを公表する様な人ではない事くらい、私も存じ上げております。ですから、どうか気にしないで下さい。グレイソン様、セレーナ、私の為にありがとう」
私は野菜のロールを今日食べられただけで満足だ。ただ…なぜか私の心がざわつく。私は一体どうしてしまったのだろう。
あれほど殿下を憎んでいたはずなのに…
ざわつく心を必死に隠し、その後も皆でお弁当を食べた。そして最後のデザートの時間だ。
「皆で一緒に食べようと思って、沢山デザートを持ってきたんだ。よかったら皆で食べよう」
クリストファー殿下が、イチゴのムースを大量に持ってきたのだ。
「このイチゴのムース。王宮主催のお茶会で、ルージュがものすごく気に入っていたものよね。よかったわね、ルージュ」
確かにこのムースは、私が一番気に入っていたものだ。それにしても、次から次へと私の好きな物を持ってきてくれるだなんて。
「沢山あるから、皆好きなだけ食べてくれ。ルージュ嬢も沢山食べて。このムース、大好きなのだろう?」
「はい、頂きますわ」
早速ムースを頂いた。相変わらずこのムースは美味しいわね。どんなお菓子よりも、このムースが一番だわ。
「ルージュ嬢は本当に美味しそうに食べるね。僕は君のその顔が、大好きだ…」
「えっ?」
今私の事、大好きと言った?びっくりして殿下の方を見ると、まっすぐこちらを見つめていた。なぜだろう、目をそらせない。
「僕もルージュが美味しそうに食事をしている姿を見るのが、大好きなんですよ。殿下、奇遇ですね」
そういてにっこり微笑んだのは、グレイソン様だ。さらに
「あら、それなら私もルージュが美味しそうに食べている姿、好きですわ」
「「「私たちも」」」
友人たちが次々と賛同するなか
「俺もマリーヌが美味しそうに食事をしている姿、大好きだな」
ポツリとアルフレッド様が呟いたのだ。
「もう、アルフレッド様ったら」
そう言ってみんなで笑った。一瞬にして和んだ空気になるのを感じる。
ただ…
クリストファー殿下ったら、急にどうしたのだろう…
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