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第75話:いつまで1度目の生の呪縛に囚われるのでしょうか?
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「ルージュ、ちょっといいかな?」
ノックする音が聞こえたと思ったら、グレイソン様が部屋に入って来たのだ。急いで涙をぬぐったのだが…
「ルージュ、どうしたのだい?泣いていたのかい?」
私が泣いている事に気が付いた様で、急いで私に駆け寄ってきてくれた。
「何でもありませんわ。辛い過去を思い出してしまっただけですので、気にしないで下さい」
そう、1度目の生の事を思い出してしまったのだ。そんな私の隣に、グレイソン様が座った。
「急に来てごめんね。今日のルージュ、様子がおしかしかったから、なんだか心配で…ルージュは殿下と、僕に出会う前に会った事があったのかい?君たちを見ていると、なんだか昔から知っているのではないかと思って…言いたくないのなら言わなくてもいいよ。ただ、なんだか心配で…」
グレイソン様が悲しそうに俯いた。彼にこんな悲しそうな顔をして欲しくない。グレイソン様には笑っていて欲しい。でも、真実を話すことは出来ない。
「昔…そうですね。殿下の事は今のグレイソン様に出会う前から、知っておりましたわ。私は殿下の事を深く恨んでおります。だから私が殿下と結ばれる事は、絶対にありません。どんな事があっても。過去の自分を断ち切るためにも、私は今、前に進もうとしているのです。ごめんなさい、私が話せるのはこんな内容くらいですわ」
きっとグレイソン様には、私の言った意味が分からないだろう。ただ、殿下を恨み、殿下を受け入れる事はないという事だけは分かってもらえただろう。
「殿下とルージュに何があったのかは知らないが、王宮主催のお茶会を全力で拒否したり、殿下に会った時怯えていた理由が何となくわかったよ。ルージュが殿下と関わると、辛そうな顔をしていたのはそのせいだったのだね。ごめんね、気が付いてあげられなくて」
「私が何も話さなかったのがいけないのです。グレイソン様、そんな悲しそうな顔をしないで下さい。私はあなたには笑っていて欲しいのです。グレイソン様が笑っていてくれたら、私も嬉しい気持ちになれますので」
「僕が笑っていたら、ルージュも嬉しくなるの?」
「ええ、そうですわ。なぜでしょう?よくわからないのですが、グレイソン様の笑顔が、私に元気を与えてくれるのです」
グレイソン様の笑顔は、私に元気をくれる。そして、前に進むための力を与えてくれるのだ。
「そんな風に言ってもらえると僕、ちょっと期待しちゃうな…ルージュが笑顔でいられる様に、僕も笑顔でいるよ。そうだ、今日はずっと一緒にいてもいいかな?1人になるとまた、ルージュは涙を流すだろう?ルージュが泣いていると思うと、心配で寝られないのだよ」
「それはその…一緒にお休みになるということですか?」
さすがにそれはまずいだろう。私達はもう14歳なのだ。さすがに異性同士が一緒に寝るだなんて。
「ぼ…僕はそう言うつもりで言ったわけではないよ。もちろん、ルージュが眠るまで傍にいたいという意味で…その、すまない…」
顔を真っ赤にしたグレイソン様が、俯いてしまった。その姿もまた、可愛らしい。そんなグレイソン様の手を握った。
「それでは私が眠るまで、傍にいて下さいますか?」
「ああ、もちろんだ。ずっと傍にいるよ」
一瞬にしてぱぁぁっと明るくなったグレイソン様の顔を見たら、なんだか笑いが込みあげてきた。彼といると、私の心は穏やかでいられる。このままずっと、グレイソン様と一緒にいられたら…
そんな思いが私の心を支配していく。
「ルージュ、ベッドに横になって。君が眠るまで、ずっと傍にいるからね」
「ありがとうございます。なんだか少し恥ずかしいですが…おやすみなさい、グレイソン様」
「おやすみ、ルージュ」
グレイソン様の手を握りながら、ゆっくり目を閉じた。手から伝わる温もりが心地いい。
私はそのまま眠りについたのだった。
“グレイソン…可哀そうに…”
ボロボロの服を着せられ、泣きじゃくるお母様。お父様も憔悴しきっている。ここは?
次の瞬間、大きな衝撃が襲ったと思うと、馬車から引きずりおろされ、お父様とお母様が騎士に剣で刺され、殺されてしまった。
“お父様、お母様!!”
泣きながら必死に叫ぶ。
“君が悪いのだよ、僕の可愛いヴァイオレットを虐めたのだから。死をもって償え”
目の前には、私を見下しあざ笑っている殿下とヴァイオレットの姿が!
“また私を殺すのですか?どうして?昨日あなたは、1度目の生を悔いているとおっしゃっていたではありませんか?そもそも私は、何も悪い事をしておりません。それなのに、両親まで殺して!”
そう必死に訴える。
“何を訳の分からない事を言っているのだい?悪い事をしていないだって?僕の可愛いヴァイオレットを傷つけたくせに。早くこの女を始末しろ”
殿下が近くにいた騎士に、指示を出している。剣をもって近づいてくる騎士。
“嫌、止めて。お願い!どうして…どうしてこんな事に!”
私は何を間違えた?私はただ、平穏な日々を過ごしたかっただけなのに…
“嫌よ、死にたくない。私はただ、家族や友人と穏やかな生活を望んだだけよ!それなのに、どうしてこんな目に!どうしてよ!”
悔しくて悲しくて、どうして私がまたこんな目に合わないといけないのという、絶望。さらに殺される恐怖。こんな思いはもう二度としたくない。そう思い、今まで必死に生きて来たのに!
やっぱり私は幸せになれないの?
「…ジュ、起きてくれて。ルージュ」
グレイソン様の声?
次の瞬間、ぱちりと目を覚ました。
今のは、夢?
ノックする音が聞こえたと思ったら、グレイソン様が部屋に入って来たのだ。急いで涙をぬぐったのだが…
「ルージュ、どうしたのだい?泣いていたのかい?」
私が泣いている事に気が付いた様で、急いで私に駆け寄ってきてくれた。
「何でもありませんわ。辛い過去を思い出してしまっただけですので、気にしないで下さい」
そう、1度目の生の事を思い出してしまったのだ。そんな私の隣に、グレイソン様が座った。
「急に来てごめんね。今日のルージュ、様子がおしかしかったから、なんだか心配で…ルージュは殿下と、僕に出会う前に会った事があったのかい?君たちを見ていると、なんだか昔から知っているのではないかと思って…言いたくないのなら言わなくてもいいよ。ただ、なんだか心配で…」
グレイソン様が悲しそうに俯いた。彼にこんな悲しそうな顔をして欲しくない。グレイソン様には笑っていて欲しい。でも、真実を話すことは出来ない。
「昔…そうですね。殿下の事は今のグレイソン様に出会う前から、知っておりましたわ。私は殿下の事を深く恨んでおります。だから私が殿下と結ばれる事は、絶対にありません。どんな事があっても。過去の自分を断ち切るためにも、私は今、前に進もうとしているのです。ごめんなさい、私が話せるのはこんな内容くらいですわ」
きっとグレイソン様には、私の言った意味が分からないだろう。ただ、殿下を恨み、殿下を受け入れる事はないという事だけは分かってもらえただろう。
「殿下とルージュに何があったのかは知らないが、王宮主催のお茶会を全力で拒否したり、殿下に会った時怯えていた理由が何となくわかったよ。ルージュが殿下と関わると、辛そうな顔をしていたのはそのせいだったのだね。ごめんね、気が付いてあげられなくて」
「私が何も話さなかったのがいけないのです。グレイソン様、そんな悲しそうな顔をしないで下さい。私はあなたには笑っていて欲しいのです。グレイソン様が笑っていてくれたら、私も嬉しい気持ちになれますので」
「僕が笑っていたら、ルージュも嬉しくなるの?」
「ええ、そうですわ。なぜでしょう?よくわからないのですが、グレイソン様の笑顔が、私に元気を与えてくれるのです」
グレイソン様の笑顔は、私に元気をくれる。そして、前に進むための力を与えてくれるのだ。
「そんな風に言ってもらえると僕、ちょっと期待しちゃうな…ルージュが笑顔でいられる様に、僕も笑顔でいるよ。そうだ、今日はずっと一緒にいてもいいかな?1人になるとまた、ルージュは涙を流すだろう?ルージュが泣いていると思うと、心配で寝られないのだよ」
「それはその…一緒にお休みになるということですか?」
さすがにそれはまずいだろう。私達はもう14歳なのだ。さすがに異性同士が一緒に寝るだなんて。
「ぼ…僕はそう言うつもりで言ったわけではないよ。もちろん、ルージュが眠るまで傍にいたいという意味で…その、すまない…」
顔を真っ赤にしたグレイソン様が、俯いてしまった。その姿もまた、可愛らしい。そんなグレイソン様の手を握った。
「それでは私が眠るまで、傍にいて下さいますか?」
「ああ、もちろんだ。ずっと傍にいるよ」
一瞬にしてぱぁぁっと明るくなったグレイソン様の顔を見たら、なんだか笑いが込みあげてきた。彼といると、私の心は穏やかでいられる。このままずっと、グレイソン様と一緒にいられたら…
そんな思いが私の心を支配していく。
「ルージュ、ベッドに横になって。君が眠るまで、ずっと傍にいるからね」
「ありがとうございます。なんだか少し恥ずかしいですが…おやすみなさい、グレイソン様」
「おやすみ、ルージュ」
グレイソン様の手を握りながら、ゆっくり目を閉じた。手から伝わる温もりが心地いい。
私はそのまま眠りについたのだった。
“グレイソン…可哀そうに…”
ボロボロの服を着せられ、泣きじゃくるお母様。お父様も憔悴しきっている。ここは?
次の瞬間、大きな衝撃が襲ったと思うと、馬車から引きずりおろされ、お父様とお母様が騎士に剣で刺され、殺されてしまった。
“お父様、お母様!!”
泣きながら必死に叫ぶ。
“君が悪いのだよ、僕の可愛いヴァイオレットを虐めたのだから。死をもって償え”
目の前には、私を見下しあざ笑っている殿下とヴァイオレットの姿が!
“また私を殺すのですか?どうして?昨日あなたは、1度目の生を悔いているとおっしゃっていたではありませんか?そもそも私は、何も悪い事をしておりません。それなのに、両親まで殺して!”
そう必死に訴える。
“何を訳の分からない事を言っているのだい?悪い事をしていないだって?僕の可愛いヴァイオレットを傷つけたくせに。早くこの女を始末しろ”
殿下が近くにいた騎士に、指示を出している。剣をもって近づいてくる騎士。
“嫌、止めて。お願い!どうして…どうしてこんな事に!”
私は何を間違えた?私はただ、平穏な日々を過ごしたかっただけなのに…
“嫌よ、死にたくない。私はただ、家族や友人と穏やかな生活を望んだだけよ!それなのに、どうしてこんな目に!どうしてよ!”
悔しくて悲しくて、どうして私がまたこんな目に合わないといけないのという、絶望。さらに殺される恐怖。こんな思いはもう二度としたくない。そう思い、今まで必死に生きて来たのに!
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次の瞬間、ぱちりと目を覚ました。
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