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第90話:アルフレッドに背中を押されました~グレイソン視点~
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「グレイソン、お前はどうしたいんだ?さっき言ったように、本当に公爵家を出ていきたいのか?そんな事をして、ルージュ嬢は本当に喜ぶのか?なあ、グレイソン!!現実から逃げようとするな!ちゃんと向き合えよ」
「…ルージュはきっと、そんな事をしても喜ばない。ルージュは僕に幸せになって欲しいと願って、僕の元を去ったのだから…」
「それじゃあ、お前はどうしたら幸せになれると思うんだ?お前はどうしたい?」
「僕は…」
言えない!これほどまでにルージュを傷つけた僕が、どうして今更ルージュに会いたい、ルージュとずっと一緒にいたいと言えるだろうか?ルージュだけじゃない、義両親やアルフレッド、公爵家の使用人、それに騎士団長たちまで巻き込んだのだ。
今更僕の願いを言える訳がない。
「またウジウジといらん事を考えているのだろう。いいか、グレイソン。俺はお前の素直な気持ちが聞きたいんだ。周りの事なんて、考えるな!お前の素直な気持ちを、俺に聞かせてくれ!お前はどうしたいんだ?」
「僕は…出来る事ならずっと、ルージュと一緒にいたい。ルージュと一緒に、公爵家でずっと暮らしたい。ルージュが僕の傍で笑ってくれているだけで、僕は幸せなんだ」
ポロポロと涙を流しながら、必死に訴えた。
「グレイソン、それでいいんだよ。いいか?お前にだって幸せになる権利はある。確かにちょっと間違った道を進んでしまったかもしれないが、その件は仕方がない。間違った道に進んで誰かに迷惑をかけてしまったのなら、素直に謝ればいいんだ。まあ、許してもらえるかどうかは別としてな。でもきっと、ルージュ嬢なら笑って許してくれると思うぞ」
「でも僕は、義両親や騎士団の関係者にも色々と話をしてしまったし…」
「グレイソンが公爵との養子縁組を解消して、騎士団の宿舎で生活するという話か?あれなら誰も真剣に取り合っていないから、安心しろ。そもそも貴族が平民になるだなんて、無理に決まっているだろう。グレイソンって優秀だと思っていたけれど、変なところで抜けているのだよな」
そう言って笑っているアルフレッド。
「騎士団長も笑っていたぞ。“グレイソンは生粋のお坊ちゃまだな。あれでは平民になって騎士団で暮らすなんてとても無理だ”てね。事務の人間も、話し半分で聞き流していたぞ。だから騎士団の方は気にしなくてもいい。ただ、ヴァレスティナ公爵は相当心配していたみたいだからな。公爵や夫人には謝った方がいいかもしれない。とにかく、お前が思っている以上に、皆真剣に取り合っていなかったって訳だ」
胸を張ってアルフレッドがそう教えてくれた。僕はそんなに世間知らずな事を話していたのか?結構本気で考えていたのだが…
「一度ヴァレスティナ公爵と夫人にも、自分の気持ちをきちんと話して、謝った方がいいな。それから、ルージュ嬢にも至急戻って来てもらうといい。きっと公爵なら、ルージュ嬢と連絡が取れるはずだし」
「でも義父上は、ルージュがどこにいるか分からないと言っていた…」
「そんな訳がないだろう。メイドも護衛も付けて自ら送り出したのだろう?連絡手段ぐらい確保しているだろう。もしかしたら、マリーヌたちですら、いつでも連絡が出来る様になっているのかもしれないな」
「それは本当かい?でも、僕はルージュに本当に酷い事をしてしまったんだ。今更どの面下げて、ルージュに会えばいいんだ」
「また情けない事を。今くっ付いている顔で会えばいいだろう。そもそもお前、いくつも顔を持っているのか?とにかく一度、ルージュ嬢と腹を割って話すべきだろう。また勝手な思い込みで暴走する様なことだけはするなよ。グレイソンが暴走すると、ろくなことがないかなら」
アルフレッドめ、好き勝手言って!僕の事を一体何だと思っているんだ。
ただ…
アルフレッドと話をして、なんだか心が少し軽くなった。確かに僕は、ルージュに恨まれているという一方的な思い込みで、ルージュを無視し、結果彼女を傷つけてしまった。ルージュの為にも、僕が身を引くのが一番だと思っていた。でも本当は、これ以上傷つきたくなくて、ルージュと向き合う事から逃げ続けていたのだろう。
その結果、ルージュを傷つけてしまったのだ。心のどこかで、僕が居なくなれば全て丸く収まるのではないか。そう考えてしまう自分もいる。
でもそれは、アルフレッドの言う様に、ただ逃げているだけなのだ。そう考えると、自分の行いがいかに愚かで恥ずかしい事か痛感した。
もう僕は逃げたくない。きちんとルージュと話がしたい。
でも…ルージュは相当な覚悟を決めて、国を出たのだろう。そう簡単に帰ってきてくれるだろうか…
ダメだ、弱気になったら。帰って来てくれるだろうか、じゃない。帰ってきてもらうんだ。そしてルージュに会えた暁には、今までの事をしっかり謝罪しよう。そして1度目の生の時の事も…
許してもらえるか分からないけれど、やれることはやりたい。その為にもまずは、義両親と話をしないと。
「…ルージュはきっと、そんな事をしても喜ばない。ルージュは僕に幸せになって欲しいと願って、僕の元を去ったのだから…」
「それじゃあ、お前はどうしたら幸せになれると思うんだ?お前はどうしたい?」
「僕は…」
言えない!これほどまでにルージュを傷つけた僕が、どうして今更ルージュに会いたい、ルージュとずっと一緒にいたいと言えるだろうか?ルージュだけじゃない、義両親やアルフレッド、公爵家の使用人、それに騎士団長たちまで巻き込んだのだ。
今更僕の願いを言える訳がない。
「またウジウジといらん事を考えているのだろう。いいか、グレイソン。俺はお前の素直な気持ちが聞きたいんだ。周りの事なんて、考えるな!お前の素直な気持ちを、俺に聞かせてくれ!お前はどうしたいんだ?」
「僕は…出来る事ならずっと、ルージュと一緒にいたい。ルージュと一緒に、公爵家でずっと暮らしたい。ルージュが僕の傍で笑ってくれているだけで、僕は幸せなんだ」
ポロポロと涙を流しながら、必死に訴えた。
「グレイソン、それでいいんだよ。いいか?お前にだって幸せになる権利はある。確かにちょっと間違った道を進んでしまったかもしれないが、その件は仕方がない。間違った道に進んで誰かに迷惑をかけてしまったのなら、素直に謝ればいいんだ。まあ、許してもらえるかどうかは別としてな。でもきっと、ルージュ嬢なら笑って許してくれると思うぞ」
「でも僕は、義両親や騎士団の関係者にも色々と話をしてしまったし…」
「グレイソンが公爵との養子縁組を解消して、騎士団の宿舎で生活するという話か?あれなら誰も真剣に取り合っていないから、安心しろ。そもそも貴族が平民になるだなんて、無理に決まっているだろう。グレイソンって優秀だと思っていたけれど、変なところで抜けているのだよな」
そう言って笑っているアルフレッド。
「騎士団長も笑っていたぞ。“グレイソンは生粋のお坊ちゃまだな。あれでは平民になって騎士団で暮らすなんてとても無理だ”てね。事務の人間も、話し半分で聞き流していたぞ。だから騎士団の方は気にしなくてもいい。ただ、ヴァレスティナ公爵は相当心配していたみたいだからな。公爵や夫人には謝った方がいいかもしれない。とにかく、お前が思っている以上に、皆真剣に取り合っていなかったって訳だ」
胸を張ってアルフレッドがそう教えてくれた。僕はそんなに世間知らずな事を話していたのか?結構本気で考えていたのだが…
「一度ヴァレスティナ公爵と夫人にも、自分の気持ちをきちんと話して、謝った方がいいな。それから、ルージュ嬢にも至急戻って来てもらうといい。きっと公爵なら、ルージュ嬢と連絡が取れるはずだし」
「でも義父上は、ルージュがどこにいるか分からないと言っていた…」
「そんな訳がないだろう。メイドも護衛も付けて自ら送り出したのだろう?連絡手段ぐらい確保しているだろう。もしかしたら、マリーヌたちですら、いつでも連絡が出来る様になっているのかもしれないな」
「それは本当かい?でも、僕はルージュに本当に酷い事をしてしまったんだ。今更どの面下げて、ルージュに会えばいいんだ」
「また情けない事を。今くっ付いている顔で会えばいいだろう。そもそもお前、いくつも顔を持っているのか?とにかく一度、ルージュ嬢と腹を割って話すべきだろう。また勝手な思い込みで暴走する様なことだけはするなよ。グレイソンが暴走すると、ろくなことがないかなら」
アルフレッドめ、好き勝手言って!僕の事を一体何だと思っているんだ。
ただ…
アルフレッドと話をして、なんだか心が少し軽くなった。確かに僕は、ルージュに恨まれているという一方的な思い込みで、ルージュを無視し、結果彼女を傷つけてしまった。ルージュの為にも、僕が身を引くのが一番だと思っていた。でも本当は、これ以上傷つきたくなくて、ルージュと向き合う事から逃げ続けていたのだろう。
その結果、ルージュを傷つけてしまったのだ。心のどこかで、僕が居なくなれば全て丸く収まるのではないか。そう考えてしまう自分もいる。
でもそれは、アルフレッドの言う様に、ただ逃げているだけなのだ。そう考えると、自分の行いがいかに愚かで恥ずかしい事か痛感した。
もう僕は逃げたくない。きちんとルージュと話がしたい。
でも…ルージュは相当な覚悟を決めて、国を出たのだろう。そう簡単に帰ってきてくれるだろうか…
ダメだ、弱気になったら。帰って来てくれるだろうか、じゃない。帰ってきてもらうんだ。そしてルージュに会えた暁には、今までの事をしっかり謝罪しよう。そして1度目の生の時の事も…
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