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第13話:前を向きたい
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「アントアーネ、本当に今日から貴族学院に行くのかい?君とラドル殿が婚約を解消したことで、さらにあることない事を言ってくる輩が沢山いるだろう。まだアントアーネに関する、悪い噂も払しょくできていない。
こんな状況で貴族学院に行けば、きっとアントアーネが傷つく結果になるだろう。とにかく、しばらくは貴族学院を休んだ方がいい」
お父様が心配そうな顔で、話しかけてきたのだ。お母様もお父様の後ろで、心配そうに頷いている。
「ご心配をおかけして、申し訳ございません。ですが私は、もう逃げないと決めたのです。私は悪い事をしている訳ではありませんわ。それなのに、私が学院を休まなければいけないだなんて、おかしい事だと思いませんか?
私はもう、逃げも隠れもしません。堂々と貴族学院に行くまでです」
私は何も悪い事をしていない。貴族令嬢らしく、胸を張って生きていく、そう決めたのだ。たとえ陰口を叩かれようと、もうどうでもいい。
「だが…」
心配そうな顔の両親を他所に、制服に着替え、玄関に向かおうとした時だった。
「アントアーネ、今は外に出てはダメよ」
なぜかお母様が、血相を変えて私の方にやって来たのだ。一体どうしたのだろう。
そっと玄関の方に目を向ける。すると…
「ラドル殿、一体何をしに我が家に来たのですか。アントアーネとあなたはもう、婚約を解消したのです。それなのに、今更」
「ディーストン伯爵、僕はアントアーネを愛しているのです。どうか彼女と話をする機会を与えて下さい。きっとアントアーネだって、本当は僕と婚約を解消したくはなかったはずです。
ですので、もう一度話を」
どうやらラドル様が、我が家に押しかけてきている様だ。あの人、あんなに酷い事をしたのに、どの面下げて我が家に来たのかしら。それに、訳の分からない事を叫んで。本当に迷惑な男。
あんな男に構っている暇はないわ。
「あっ…アントアーネ」
背筋を伸ばし、真っすぐと玄関にむかって歩いていく。
「ブラッディ伯爵令息様、おはようございます。お父様、行って参ります」
2人の方を一切見ず、彼らに声をかけそのまま馬車へと向かう。
「あっ…待って…」
しばらく沈黙が続いた後、後ろからラドル様の声が聞こえたが、既に馬車に乗り込んだ後。
「すぐに出発して」
私の声で、馬車が動き出す。
一体どういうつもりか知らないが、もう私に関わらないでほしい。本当に、憎らしい男…
ふと窓から空を見上げた。雲一つない青空が広がっている。なんだか今の私の気持ちを表している様だ。
この1年、たくさん泣いた。皆から悪口を吐かれ、家族を悲しませ、信じていた最愛の婚約者に裏切られ、本当に散々だった。
でも、私は昨日、生まれ変わったのだ。私は私の為に生きると。
しばらく走ると、貴族学院が見えてきた。辛くて苦しかったこの場所。きっと今日も、私の悪い噂でもちきりだろう。でも、そんな事はどうでもいい。
私は何も悪い事をしていないのだから。
馬車が停まると、ゆっくり大きく呼吸をした。大丈夫、悪口や陰口は慣れている。馬車から降りると、一斉に皆がこちらを向いた。
そして
“学院に来たわよ。すごいわよね、ラドル様から婚約を解消されたのに、いつも通り来るだなんて”
“ラドル様も、やっとあの性悪女から解放されたのね。良かったわ。それにしても、よく学院に来られたわよね”
周りからヒソヒソと話す声が聞こえた。分かっていたが、やはり胸が痛い。私は悪くはないのに、堂々としたいのに、心無い言葉がナイフの様に、私の胸に突き刺さる。
ダメよ、弱気になったら!
そう自分に言い聞かせ、真っすぐと前を向いて歩き出そうとした時だった。
こんな状況で貴族学院に行けば、きっとアントアーネが傷つく結果になるだろう。とにかく、しばらくは貴族学院を休んだ方がいい」
お父様が心配そうな顔で、話しかけてきたのだ。お母様もお父様の後ろで、心配そうに頷いている。
「ご心配をおかけして、申し訳ございません。ですが私は、もう逃げないと決めたのです。私は悪い事をしている訳ではありませんわ。それなのに、私が学院を休まなければいけないだなんて、おかしい事だと思いませんか?
私はもう、逃げも隠れもしません。堂々と貴族学院に行くまでです」
私は何も悪い事をしていない。貴族令嬢らしく、胸を張って生きていく、そう決めたのだ。たとえ陰口を叩かれようと、もうどうでもいい。
「だが…」
心配そうな顔の両親を他所に、制服に着替え、玄関に向かおうとした時だった。
「アントアーネ、今は外に出てはダメよ」
なぜかお母様が、血相を変えて私の方にやって来たのだ。一体どうしたのだろう。
そっと玄関の方に目を向ける。すると…
「ラドル殿、一体何をしに我が家に来たのですか。アントアーネとあなたはもう、婚約を解消したのです。それなのに、今更」
「ディーストン伯爵、僕はアントアーネを愛しているのです。どうか彼女と話をする機会を与えて下さい。きっとアントアーネだって、本当は僕と婚約を解消したくはなかったはずです。
ですので、もう一度話を」
どうやらラドル様が、我が家に押しかけてきている様だ。あの人、あんなに酷い事をしたのに、どの面下げて我が家に来たのかしら。それに、訳の分からない事を叫んで。本当に迷惑な男。
あんな男に構っている暇はないわ。
「あっ…アントアーネ」
背筋を伸ばし、真っすぐと玄関にむかって歩いていく。
「ブラッディ伯爵令息様、おはようございます。お父様、行って参ります」
2人の方を一切見ず、彼らに声をかけそのまま馬車へと向かう。
「あっ…待って…」
しばらく沈黙が続いた後、後ろからラドル様の声が聞こえたが、既に馬車に乗り込んだ後。
「すぐに出発して」
私の声で、馬車が動き出す。
一体どういうつもりか知らないが、もう私に関わらないでほしい。本当に、憎らしい男…
ふと窓から空を見上げた。雲一つない青空が広がっている。なんだか今の私の気持ちを表している様だ。
この1年、たくさん泣いた。皆から悪口を吐かれ、家族を悲しませ、信じていた最愛の婚約者に裏切られ、本当に散々だった。
でも、私は昨日、生まれ変わったのだ。私は私の為に生きると。
しばらく走ると、貴族学院が見えてきた。辛くて苦しかったこの場所。きっと今日も、私の悪い噂でもちきりだろう。でも、そんな事はどうでもいい。
私は何も悪い事をしていないのだから。
馬車が停まると、ゆっくり大きく呼吸をした。大丈夫、悪口や陰口は慣れている。馬車から降りると、一斉に皆がこちらを向いた。
そして
“学院に来たわよ。すごいわよね、ラドル様から婚約を解消されたのに、いつも通り来るだなんて”
“ラドル様も、やっとあの性悪女から解放されたのね。良かったわ。それにしても、よく学院に来られたわよね”
周りからヒソヒソと話す声が聞こえた。分かっていたが、やはり胸が痛い。私は悪くはないのに、堂々としたいのに、心無い言葉がナイフの様に、私の胸に突き刺さる。
ダメよ、弱気になったら!
そう自分に言い聞かせ、真っすぐと前を向いて歩き出そうとした時だった。
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