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第23話:俺がアントアーネを大切に思う理由【4】~ブラッド視点~
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「それでね、その時急に大きな毒蛇が現れたのよ。でもね、ブラッド様は逃げずに戦おうとしたの、凄いでしょう」
「まあ、ブラッド様は、とても勇敢なのね」
「そうよ、とても強いのだから。お兄様と剣の腕だって互角なのよ」
「アントアーネ、勝手な事を言わないでくれ。君の兄上には、とてもかなわないよ」
「あら、そんな謙遜しちゃって」
「そうだぞ、ブラッド殿。君はとても強いんだ。そうだ、せっかくだから、久しぶりに対戦しよう。令息たちもどうだい?」
「いいね、僕も剣は得意なんだ」
「僕もやりたい」
次々と令息たちが、手をあげた。そして僕たちは、皆で怪我をしない程度に、打ち合いをした。
「ブラッド殿、君、本当に剣裁きがうまいんだね。まるで歯が立たないよ」
「本当だね、こんなに強いだなんて。ブラッド殿、今まで散々バカにして本当にごめんな。これからは僕とも仲良くしてほしい」
「「「「僕も」」」」
「ああ、分かったよ。実はね、僕に剣を教えてくれているのは、サルビア王国から来ている元剣士なんだ。よかったら、一緒に稽古を受けるかい?」
「いいのかい?本当にブラッド殿は、いい人なんだな」
そう言って令息たちが笑った。
「あら、さっきまでブラッド様をバカにしていたのに。げんきんな人たちね」
そう言ってアントアーネを含む、令嬢たちが笑った。
その日を境に、もう誰も僕の事をバカにする人たちはいなくなった。そして僕にも、沢山の友達が出来た。アントアーネもリューズ王国にしばらく滞在する様で、毎日が楽しくてたまらなかった。
アントアーネもすっかりリューズ王国になれ、友人も沢山出来た様だ。
だが、アントアーネはサルビア王国の令嬢だ。国に帰らないといけない。
「ブラッド様、この半年、とっても楽しかったわ。また必ず、遊びに来るわね。皆も、私と仲良くしてくれてありがとう」
半年間リューズ王国で過ごしたアントアーネは、別れを惜しみながら国に帰って行った。アントアーネが去ったリューズ王国は、なんだか火が消えた様に寂しくなった。
アントアーネに会いたくてたまらなかった。そんな俺を支えてくれたのが、友人達だ。
「ブラッド、そんなにアントアーネ嬢の事が好きなら、大きくなったら迎えに行けばいいじゃないか」
「そうだよ、アントアーネ嬢ならきっと、リューズ王国でもやっていけるよ」
そう言って笑った友人達。俺は確かに、アントアーネのことが好きだ。いいや、好きだという言葉では表せない程、アントアーネを愛している。
今の俺があるのも、アントアーネのお陰。いつか必ずアントアーネを迎えに行こう。そう思っていた。
でも…
俺たちが10歳になった時、別の令息と婚約したと聞かされた。どうやらずっと、アントアーネはその男の事が好きだった様だ。
その話を聞いた時、頭を鈍器で殴られる様な、ものすごい衝撃と共に、ショックで1週間熱を出して寝込んでしまった。どうやって生きていけばいいのか、分からなくなったほどに…
だが、月日が経つにつれ、俺はその現実をゆっくりと受け止めた。アントアーネは、俺の人生を変えてくれたかけがえのない子。俺の手で幸せにしてあげられないのなら、せめて彼女の幸せを願いたい。
そう思い、必死に諦めた。とはいえ、俺は完全にアントアーネを諦める事など出来なかった。両親からそろそろ婚約者を、そんな話も出たが、頑なに拒み続けた。
俺はきっと、アントアーネ以外もう愛する事は出来ないだろう。好きでもない女性と結婚して、愛のない生活を送るくらいなら、一生独身でいい。
そう思うようになっていた。
そんな中、今回の知らせを聞いたのだ。
いてもたってもいられず、アントニオ殿に無理やり頼んで、一緒にサルビア王国に連れてきてもらったのだ。
そこで見たアントアーネの姿は、想像を絶するものだった。こんなにも素敵で魅力的な女性が、まさかこんなにボロボロにされていただなんて。
そっとアントアーネの頬に触れた。
「アントアーネ、遅くなってごめんね。今度は絶対に、俺が君を守るから」
※次回、アントアーネ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
「まあ、ブラッド様は、とても勇敢なのね」
「そうよ、とても強いのだから。お兄様と剣の腕だって互角なのよ」
「アントアーネ、勝手な事を言わないでくれ。君の兄上には、とてもかなわないよ」
「あら、そんな謙遜しちゃって」
「そうだぞ、ブラッド殿。君はとても強いんだ。そうだ、せっかくだから、久しぶりに対戦しよう。令息たちもどうだい?」
「いいね、僕も剣は得意なんだ」
「僕もやりたい」
次々と令息たちが、手をあげた。そして僕たちは、皆で怪我をしない程度に、打ち合いをした。
「ブラッド殿、君、本当に剣裁きがうまいんだね。まるで歯が立たないよ」
「本当だね、こんなに強いだなんて。ブラッド殿、今まで散々バカにして本当にごめんな。これからは僕とも仲良くしてほしい」
「「「「僕も」」」」
「ああ、分かったよ。実はね、僕に剣を教えてくれているのは、サルビア王国から来ている元剣士なんだ。よかったら、一緒に稽古を受けるかい?」
「いいのかい?本当にブラッド殿は、いい人なんだな」
そう言って令息たちが笑った。
「あら、さっきまでブラッド様をバカにしていたのに。げんきんな人たちね」
そう言ってアントアーネを含む、令嬢たちが笑った。
その日を境に、もう誰も僕の事をバカにする人たちはいなくなった。そして僕にも、沢山の友達が出来た。アントアーネもリューズ王国にしばらく滞在する様で、毎日が楽しくてたまらなかった。
アントアーネもすっかりリューズ王国になれ、友人も沢山出来た様だ。
だが、アントアーネはサルビア王国の令嬢だ。国に帰らないといけない。
「ブラッド様、この半年、とっても楽しかったわ。また必ず、遊びに来るわね。皆も、私と仲良くしてくれてありがとう」
半年間リューズ王国で過ごしたアントアーネは、別れを惜しみながら国に帰って行った。アントアーネが去ったリューズ王国は、なんだか火が消えた様に寂しくなった。
アントアーネに会いたくてたまらなかった。そんな俺を支えてくれたのが、友人達だ。
「ブラッド、そんなにアントアーネ嬢の事が好きなら、大きくなったら迎えに行けばいいじゃないか」
「そうだよ、アントアーネ嬢ならきっと、リューズ王国でもやっていけるよ」
そう言って笑った友人達。俺は確かに、アントアーネのことが好きだ。いいや、好きだという言葉では表せない程、アントアーネを愛している。
今の俺があるのも、アントアーネのお陰。いつか必ずアントアーネを迎えに行こう。そう思っていた。
でも…
俺たちが10歳になった時、別の令息と婚約したと聞かされた。どうやらずっと、アントアーネはその男の事が好きだった様だ。
その話を聞いた時、頭を鈍器で殴られる様な、ものすごい衝撃と共に、ショックで1週間熱を出して寝込んでしまった。どうやって生きていけばいいのか、分からなくなったほどに…
だが、月日が経つにつれ、俺はその現実をゆっくりと受け止めた。アントアーネは、俺の人生を変えてくれたかけがえのない子。俺の手で幸せにしてあげられないのなら、せめて彼女の幸せを願いたい。
そう思い、必死に諦めた。とはいえ、俺は完全にアントアーネを諦める事など出来なかった。両親からそろそろ婚約者を、そんな話も出たが、頑なに拒み続けた。
俺はきっと、アントアーネ以外もう愛する事は出来ないだろう。好きでもない女性と結婚して、愛のない生活を送るくらいなら、一生独身でいい。
そう思うようになっていた。
そんな中、今回の知らせを聞いたのだ。
いてもたってもいられず、アントニオ殿に無理やり頼んで、一緒にサルビア王国に連れてきてもらったのだ。
そこで見たアントアーネの姿は、想像を絶するものだった。こんなにも素敵で魅力的な女性が、まさかこんなにボロボロにされていただなんて。
そっとアントアーネの頬に触れた。
「アントアーネ、遅くなってごめんね。今度は絶対に、俺が君を守るから」
※次回、アントアーネ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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