45 / 73
第45話:ブラッド様が来てくれました
「止めろ、アントアーネから離れろ!」
「ブラッド様!」
私達の元にやってきてくれたのは、ブラッド様だ。ラドル様を私から引き離してくれた。すかさずブラッド様の背中にしがみついた。本当に怖かった。まだ足が、ガタガタと震えている。
ブラッド様も、アイーナ様に襲われたとき、きっと今の私と同じように恐怖だっただろう。いいや、ブラッド様は薬を飲まされていて、体が自由に動かなかったのだ。私以上に、恐怖を感じていたのだろう。
「ブラッド殿、どうして君は、いつも僕の邪魔ばかりするのだい。アントアーネから離れてくれ。今大切な話をしていたのだから」
「大切な話だって?俺には嫌がるアントアーネを、無理やり襲っていたようにしか見えなかったけれど!」
「それはとんだ言いがかりだ。僕はただ、アントアーネとの時間を少しでも取りたくて、話しをしていただけだ。いつも君に邪魔されていて、時間が取れないからね。ブラッド殿、君はもうすぐリューズ王国に帰るのだろう?
それならさっさと、アントアーネを解放したらどうだい?アントアーネは、君が傍にいるせいで僕の傍に来られないのだよ。アントアーネと僕は、君には知らない絆があるのだから」
「絆ですって…その様なもの、あなたが私を裏切ったあの日に消え失せましたわ。とにかく、もう私達には関わらないで下さい。もしまたブラッド様に何かしたら、私は一生あなたを恨みますわ!」
「どうしてそんな酷い事を言うのだい?そうか、僕が皆から人気があるから、嫉妬してしまったのだね。アントアーネは可愛いな」
何を思ったのか、妄想に入ってしまったラドル様。ブラッド様も、さすがに顔を引きつらせている。
「ブラッド様、行きましょう。あの人に関わっていると、ろくなことはありませんわ」
「そうだね、行こうか」
急ぎ足でその場を立ち去る。
「待って、アントアーネ…」
「ラドル、ここにいたのだな。探したぞ。君に紹介したい令嬢たちが、君の事を待っているよ。さあ、行こう」
絶妙なタイミングで、彼の友人たちがやって来たのだ。
「君たち、何を言っているのだい?僕はアントアーネ以外の令嬢など、興味が…」
「ほら、いくぞ」
あっと言う間に、令息たちに連れていかれたラドル様。あの人たち、たまにはいい仕事をするわね。
そんな思いで、彼らを見送る。
「アントアーネ、大丈夫だったかい?」
「ええ、ブラッド様が助けて下さったので、私は大丈夫ですわ。私よりも、ブラッド様は大丈夫でしたか?得体のしれない薬を飲まされたのでしょう?」
「ああ、どうやらアイーナ嬢がすぐに何を飲ませたか白状した様で、解毒剤を飲んだから、今はすっかり元気だよ。先生の話だと、既に罪を認め、素直に話しをしている様だ。すまない。俺が油断したばかりに。アントアーネ、俺の事を信じてくれてありがとう」
「お礼を言われる様なことは、しておりませんわ。ブラッド様が、令嬢と教室であのような事をなさるわけがないですし、何よりもブラッド様の様子がおかしかったので」
「さすがアントアーネだね。それにしても、すっかり無駄な時間を過ごしてしまった。アントアーネ、中庭に行こう。まだライトアップされた中庭を、見ていないだろう」
「ええ、私は問題ありませんが、ブラッド様はアイーナ様から得体のしれない薬を飲まされたのでしょう?もう屋敷に戻って、休んだ方が…」
「解毒剤を飲んだから、もうすっかり元気だよ。それにせっかくの夜会だ。もう少し楽しみたいしね」
ブラッド様がそう言うのなら、まあいいか。
「承知いたしましたわ。それでは、中庭に参りましょう」
ブラッド様と一緒に、中庭へと向かった。
「ブラッド様、見て下さい。毎年こんな風に、ライトアップをしているのですよ。とても綺麗でしょう」
「本当に綺麗だね。いつも昼間の中庭しか知らないから、夜の中庭はとても新鮮だよ」
嬉しそうに中庭を見つめるブラッド様を見ていると、私もなんだか嬉しくなる。せっかくだから、あそこも見せよう。
「ブラッド様!」
私達の元にやってきてくれたのは、ブラッド様だ。ラドル様を私から引き離してくれた。すかさずブラッド様の背中にしがみついた。本当に怖かった。まだ足が、ガタガタと震えている。
ブラッド様も、アイーナ様に襲われたとき、きっと今の私と同じように恐怖だっただろう。いいや、ブラッド様は薬を飲まされていて、体が自由に動かなかったのだ。私以上に、恐怖を感じていたのだろう。
「ブラッド殿、どうして君は、いつも僕の邪魔ばかりするのだい。アントアーネから離れてくれ。今大切な話をしていたのだから」
「大切な話だって?俺には嫌がるアントアーネを、無理やり襲っていたようにしか見えなかったけれど!」
「それはとんだ言いがかりだ。僕はただ、アントアーネとの時間を少しでも取りたくて、話しをしていただけだ。いつも君に邪魔されていて、時間が取れないからね。ブラッド殿、君はもうすぐリューズ王国に帰るのだろう?
それならさっさと、アントアーネを解放したらどうだい?アントアーネは、君が傍にいるせいで僕の傍に来られないのだよ。アントアーネと僕は、君には知らない絆があるのだから」
「絆ですって…その様なもの、あなたが私を裏切ったあの日に消え失せましたわ。とにかく、もう私達には関わらないで下さい。もしまたブラッド様に何かしたら、私は一生あなたを恨みますわ!」
「どうしてそんな酷い事を言うのだい?そうか、僕が皆から人気があるから、嫉妬してしまったのだね。アントアーネは可愛いな」
何を思ったのか、妄想に入ってしまったラドル様。ブラッド様も、さすがに顔を引きつらせている。
「ブラッド様、行きましょう。あの人に関わっていると、ろくなことはありませんわ」
「そうだね、行こうか」
急ぎ足でその場を立ち去る。
「待って、アントアーネ…」
「ラドル、ここにいたのだな。探したぞ。君に紹介したい令嬢たちが、君の事を待っているよ。さあ、行こう」
絶妙なタイミングで、彼の友人たちがやって来たのだ。
「君たち、何を言っているのだい?僕はアントアーネ以外の令嬢など、興味が…」
「ほら、いくぞ」
あっと言う間に、令息たちに連れていかれたラドル様。あの人たち、たまにはいい仕事をするわね。
そんな思いで、彼らを見送る。
「アントアーネ、大丈夫だったかい?」
「ええ、ブラッド様が助けて下さったので、私は大丈夫ですわ。私よりも、ブラッド様は大丈夫でしたか?得体のしれない薬を飲まされたのでしょう?」
「ああ、どうやらアイーナ嬢がすぐに何を飲ませたか白状した様で、解毒剤を飲んだから、今はすっかり元気だよ。先生の話だと、既に罪を認め、素直に話しをしている様だ。すまない。俺が油断したばかりに。アントアーネ、俺の事を信じてくれてありがとう」
「お礼を言われる様なことは、しておりませんわ。ブラッド様が、令嬢と教室であのような事をなさるわけがないですし、何よりもブラッド様の様子がおかしかったので」
「さすがアントアーネだね。それにしても、すっかり無駄な時間を過ごしてしまった。アントアーネ、中庭に行こう。まだライトアップされた中庭を、見ていないだろう」
「ええ、私は問題ありませんが、ブラッド様はアイーナ様から得体のしれない薬を飲まされたのでしょう?もう屋敷に戻って、休んだ方が…」
「解毒剤を飲んだから、もうすっかり元気だよ。それにせっかくの夜会だ。もう少し楽しみたいしね」
ブラッド様がそう言うのなら、まあいいか。
「承知いたしましたわ。それでは、中庭に参りましょう」
ブラッド様と一緒に、中庭へと向かった。
「ブラッド様、見て下さい。毎年こんな風に、ライトアップをしているのですよ。とても綺麗でしょう」
「本当に綺麗だね。いつも昼間の中庭しか知らないから、夜の中庭はとても新鮮だよ」
嬉しそうに中庭を見つめるブラッド様を見ていると、私もなんだか嬉しくなる。せっかくだから、あそこも見せよう。
あなたにおすすめの小説
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
2度目の人生は好きにやらせていただきます
みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。
そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。
今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!
レジーナブックス様から書籍が4月下旬に発売されます!
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
記憶が戻ったのは婚約が解消された後でした。
しゃーりん
恋愛
王太子殿下と婚約している公爵令嬢ダイアナは目を覚ますと自分がどこにいるのかわからなかった。
眠る前と部屋の雰囲気が違ったからだ。
侍女とも話が噛み合わず、どうやら丸一年間の記憶がダイアナにはなかった。
ダイアナが記憶にないその一年の間に、王太子殿下との婚約は解消されており、別の男性と先日婚約したばかりだった。
彼が好きになったのは記憶のないダイアナであるため、ダイアナは婚約を解消しようとするお話です。