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第47話:まだ信じられません
「あの時の話を、聞いていらっしゃったのですね…」
「すまない、盗み聞きをするつもりはなかったのだが…ただ、君の気持ちが分かった今、どうしても俺の気持ちを伝えたくて。俺は臆病で、君に嫌われるのが怖くて、ずっと自分の気持ちを話せずにいた。
それでもどうしても、リューズ王国に君と一緒に帰りたくて。ずっとどのタイミングで君に気持ちを伝えようか、悩んでいたのだよ」
「ブラッド様は情けない男ではありませんわ。私の方こそ、ブラッド様との関係を壊したくなくて、ずっと自分の気持ちに蓋をしていたのです。あの…本当に私の事が、好きなのですか?」
「ああ、当たり前だろう。俺はずっと、それとなく君に気持ちを伝えていたつもりだったのだけれどな…やはり言葉にしないと、伝わらないものだね。アントアーネ、俺は君に出会った5歳の時から、ずっと君が大好きだ。
アントアーネに再会して、その気持ちは増々大きくなった。俺は君を愛している。どうか俺の気持ちを受け入れてほしい」
真っすぐブラッド様が、私を見つめる。その瞳はどこか不安そうだ。まさかブラッド様が、私の事をそんな風に思ってくれていただなんて。これは夢かしら?
「ブラッド様、私もあなたの事が、大好きですわ。辛いとき、ずっと私の傍にいてくれて、支え続けてくれたあなたを。正直もうあなた無しの人生など、考えられない程に。どうか私を、リューズ王国に連れて行ってください。
ずっとあなたと一緒にいたいです。」
ずっと願っていた。私もブラッド様がいる、リューズ王国に行きたいと。でもその願いは、私の我が儘だ。これ以上ブラッド様に、ご迷惑をかける訳にはいかないと。
でも、まさかこんな形で、願いが叶うだなんて…
「ありがとう、アントアーネ。君が僕の気持ちを受け入れてくれるだなんて、夢の様だよ。この10年、ずっと君の事を考えていた。二度と俺の気持ちが届く事はないと諦めていた。でも、まさか君に気持ちが届くだなんて。
アントアーネ、必ず君を幸せにするよ。だからどうか、ずっと俺の傍で笑っていてほしい」
「ええ、もちろんですわ。10年もの長い時間、お待たせてしてしまい申し訳ございませんでした。10年間離れ離れになっていた時間を、これからゆっくりと埋めて行きましょう。
リューズ王国で」
「ありがとう、アントアーネ」
ブラッド様の瞳から、大粒の涙が流れた。私の瞳からも、涙が流れる。
そしてお互いどちらともなく、ゆっくりと顔が近づき、そして唇が重なった。
ああ…本当に気持ちが通じ合ったのね。これは夢かしら?夢ならどうか、冷めないでほしい…
そう願わずにはいられない程、幸せな時間だった。
「随分と冷えて来たね。アントアーネが風邪をひいたら大変だ。そろそろ屋敷に戻ろう」
そう言うと、ジャケットを私の肩にかけてくれたブラッド様。今までブラッド様が着ていたジャケット。とても温かい。
馬車に向かって歩いていると、ホールの中で令嬢たちに囲まれているラドル様を見つけた。
相変わらず人気者の様だ。このまま彼女たちの中から、婚約者を選んだらいいのに。
「アントアーネ、ラドル殿は人気者だね。さあ、彼に見つからないうちに帰ろう」
「そうですわね。これから忙しくなりそうですし」
「まだ卒業まで、1ヶ月あるよ。準備はゆっくりで大丈夫だよ。とはいえ、伯爵たちには早めに報告した方がいいね。今日帰ったら、早速報告しよう」
「ええ、そうですね。お父様とお母様には、随分と心配をかけてしまいましたから」
きっと喜んでくれるだろう。もうすぐお兄様も帰って来る。どうやらリューズ王国から、令嬢を連れて帰って来るらしいし。
とはいえ、私の評判は下がったまま。両親はもちろん、お兄様や義理のお姉様になる方に、私のせいで嫌な思いをさせたら申し訳ないな…
「アントアーネ、そんなに悲しそうな顔をしてどうしたのだい?両親と離れて、リューズ王国に行くのが悲しいのかい?」
「いえ…私の評判は下がったままでしょう?私のせいで、もうすぐ帰って来るお兄様や、未来の義理のお姉様が嫌な思いをしたらどうしようと思って。それに残された両親の事も、心配で…」
「アントアーネは優しいね。大丈夫だよ、彼らはそんなに軟ではないし。それに噂なんて、そのうち落ち着くよ。君はリューズ王国に行く事だけを、考えたらいいのだから」
そう言って笑ったブラッド様。確かに私が嫌われているのは、今に始まった事ではない。私がこの国にいようがリューズ王国に行こうが同じだ。
むしろ私がこの国にいない方が、いい方向に向くかもしれない。
「すまない、盗み聞きをするつもりはなかったのだが…ただ、君の気持ちが分かった今、どうしても俺の気持ちを伝えたくて。俺は臆病で、君に嫌われるのが怖くて、ずっと自分の気持ちを話せずにいた。
それでもどうしても、リューズ王国に君と一緒に帰りたくて。ずっとどのタイミングで君に気持ちを伝えようか、悩んでいたのだよ」
「ブラッド様は情けない男ではありませんわ。私の方こそ、ブラッド様との関係を壊したくなくて、ずっと自分の気持ちに蓋をしていたのです。あの…本当に私の事が、好きなのですか?」
「ああ、当たり前だろう。俺はずっと、それとなく君に気持ちを伝えていたつもりだったのだけれどな…やはり言葉にしないと、伝わらないものだね。アントアーネ、俺は君に出会った5歳の時から、ずっと君が大好きだ。
アントアーネに再会して、その気持ちは増々大きくなった。俺は君を愛している。どうか俺の気持ちを受け入れてほしい」
真っすぐブラッド様が、私を見つめる。その瞳はどこか不安そうだ。まさかブラッド様が、私の事をそんな風に思ってくれていただなんて。これは夢かしら?
「ブラッド様、私もあなたの事が、大好きですわ。辛いとき、ずっと私の傍にいてくれて、支え続けてくれたあなたを。正直もうあなた無しの人生など、考えられない程に。どうか私を、リューズ王国に連れて行ってください。
ずっとあなたと一緒にいたいです。」
ずっと願っていた。私もブラッド様がいる、リューズ王国に行きたいと。でもその願いは、私の我が儘だ。これ以上ブラッド様に、ご迷惑をかける訳にはいかないと。
でも、まさかこんな形で、願いが叶うだなんて…
「ありがとう、アントアーネ。君が僕の気持ちを受け入れてくれるだなんて、夢の様だよ。この10年、ずっと君の事を考えていた。二度と俺の気持ちが届く事はないと諦めていた。でも、まさか君に気持ちが届くだなんて。
アントアーネ、必ず君を幸せにするよ。だからどうか、ずっと俺の傍で笑っていてほしい」
「ええ、もちろんですわ。10年もの長い時間、お待たせてしてしまい申し訳ございませんでした。10年間離れ離れになっていた時間を、これからゆっくりと埋めて行きましょう。
リューズ王国で」
「ありがとう、アントアーネ」
ブラッド様の瞳から、大粒の涙が流れた。私の瞳からも、涙が流れる。
そしてお互いどちらともなく、ゆっくりと顔が近づき、そして唇が重なった。
ああ…本当に気持ちが通じ合ったのね。これは夢かしら?夢ならどうか、冷めないでほしい…
そう願わずにはいられない程、幸せな時間だった。
「随分と冷えて来たね。アントアーネが風邪をひいたら大変だ。そろそろ屋敷に戻ろう」
そう言うと、ジャケットを私の肩にかけてくれたブラッド様。今までブラッド様が着ていたジャケット。とても温かい。
馬車に向かって歩いていると、ホールの中で令嬢たちに囲まれているラドル様を見つけた。
相変わらず人気者の様だ。このまま彼女たちの中から、婚約者を選んだらいいのに。
「アントアーネ、ラドル殿は人気者だね。さあ、彼に見つからないうちに帰ろう」
「そうですわね。これから忙しくなりそうですし」
「まだ卒業まで、1ヶ月あるよ。準備はゆっくりで大丈夫だよ。とはいえ、伯爵たちには早めに報告した方がいいね。今日帰ったら、早速報告しよう」
「ええ、そうですね。お父様とお母様には、随分と心配をかけてしまいましたから」
きっと喜んでくれるだろう。もうすぐお兄様も帰って来る。どうやらリューズ王国から、令嬢を連れて帰って来るらしいし。
とはいえ、私の評判は下がったまま。両親はもちろん、お兄様や義理のお姉様になる方に、私のせいで嫌な思いをさせたら申し訳ないな…
「アントアーネ、そんなに悲しそうな顔をしてどうしたのだい?両親と離れて、リューズ王国に行くのが悲しいのかい?」
「いえ…私の評判は下がったままでしょう?私のせいで、もうすぐ帰って来るお兄様や、未来の義理のお姉様が嫌な思いをしたらどうしようと思って。それに残された両親の事も、心配で…」
「アントアーネは優しいね。大丈夫だよ、彼らはそんなに軟ではないし。それに噂なんて、そのうち落ち着くよ。君はリューズ王国に行く事だけを、考えたらいいのだから」
そう言って笑ったブラッド様。確かに私が嫌われているのは、今に始まった事ではない。私がこの国にいようがリューズ王国に行こうが同じだ。
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